相次ぐクマの出没。その範囲は、山間部から市街地に広がっている。なぜクマは人里まで下りてくるようになったのか。その背景には、わたしたち人間の行動が深く関わっていた。

人里に「野生のクマ」

のそのそと、うろつくクマ。時折、あたりを見渡す様子も。

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目撃されたのは、鳥取・若桜町の集落に近い林道。2022年度は2件の目撃情報がある若桜町。鳥取県内有数の「クマ出没エリア」だ。その理由を探るため、取材に向かった。

クマと遭遇・大久保広明さん:
ちょうどそこのカーブを曲がったあたりで、いきなり現れた。そのときクマが立ち上がって「ガオー!」って感じだったので、一生懸命逃げました

クマに遭遇した経験を話す大久保さん。仕事で山に入ったときに、体長2メートル近いクマと鉢合わせになったという。

(Q.時期はいつごろでした?)
クマと遭遇・大久保広明さん:

どうだろうなぁ。このくらいの時期だったと思うけどね
(Q.6月、7月あたり?)
はい

鳥取県内の過去5年間の月別のクマの目撃件数。実は6月が最多で167件、8月にかけての夏場に集中している。いったいなぜなのか?

鳥取県 緑豊かな自然課・福田素子さん:
5月6月は繁殖期なので、若いオスグマが行動範囲を広げる

オスのクマの活発化。初夏はクマの繁殖期で、オスグマがメスを探し求めて行動範囲を広げるため、人と遭遇する機会も増えるという。

原因は人間にも…

さらに近年は、クマと遭遇する地域に異変も。

クマと遭遇・大久保広明さん:
車で走っていたら、クマが道を横断していた。多分、車に驚いて、階段を上がって山に帰っていきました
(Q.山奥だけでなく集落の方でも見られる?)
昔は山に入ったらクマに遭遇するイメージだったけど、最近は下(集落)のほうでも見かけるかな?

同じような状況は松江市でも。5月23日、島根・松江市の住宅地の近くで目撃された。人里にまで下りてくるようになったクマ。背景には何があるのか?

鳥取県 緑豊かな自然課・福田素子さん:
県が保護してきた面があり、(かつては絶滅危機に瀕していた)ツキノワグマの個体数が回復してきた

個体数の増加…。鳥取県内にも生息するツキノワグマは、絶滅のおそれがあるとして、県が狩猟を禁止するなど保護してきた。
その結果、鳥取、岡山、兵庫の東中国地域で1990年代に150頭ほどだった個体数は、2022年、その5倍あまりの約800頭にまで回復。絶滅のおそれがなくなるまでに繁殖した。
その結果、縄張りから追い出され、行き場を失ったクマがエサを求めて市街地にまで移動しているとみられている。

さらに、中山間地域の過疎化による耕作放棄地の増加。

若桜町 農山村整備課・林辰彦さん:
こうやって手入れができていないと、クマも自分の生息ゾーンだと認識してしまう。また、所有者が不明な果実の木に、クマが目をつけ食べていくケースもある

耕作放棄地や管理されていない山林など、人間の気配が感じられないエリアをクマは自分の縄張りと認識。こうした場所が住宅地近くにも出現するようになったことで、クマの縄張りが広がり、人間と出会う機会も増えていたのだった。

“クマと遭遇”にどう対処?

クマが人里に現れる原因を、わたしたち人間が自ら作っていたのだ。では、クマと遭遇した場合、どう対処すればよいのか。

鳥取県 緑豊かな自然課・木山真大さん:
急いで走ってしまうと、逆にクマが追いかけてくる危険がある。音を立てずに後ずさりしていただくのがよい

人の手が入らない土地が増えたことで、人里にも現われるようになったクマ。その生態をよく理解すれば、共存の道が開けてきそうだ。

(TSKさんいん中央テレビ)