出雲産の野菜を使ったイタリア料理の教室が人気となっている。
講師は島根県出雲市出身の料理研究家だ。コロナ禍だからこそ大事にしたい家庭の料理に彩りを添え、食を通じて心の安らぎを届けたいと奮闘している。

イタリアで10年間修行・現地で講師も… こだわりは地物野菜 

イタリア料理の教室「effe-co.(エッフェ・コー)」は、出雲をはじめとする山陰の各地、そして東京でも定期的に開かれている。

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この日、出雲市内で開かれた教室では、キャベツと小麦を使ったスープに、パスタの一種・ニョッキのレシピが紹介された。ニョッキにはホウレン草が練り込まれている。

どれもイタリアの家庭で親しまれている料理だが、そのこだわりは、出雲産だということ。「地物」の野菜をたくさん使う。

料理研究家・板倉布左子さん:
これは「まにわ農園」(出雲市)さんのキャベツなんですけど、試食したら甘くてとっても美味しかった

24歳でイタリアへ… 農家から“直接”野菜を仕入れ「味の深み」実感

講師を務めるのは、料理研究家の板倉布左子さん(42)だ。

出雲市出身で、24歳の時にイタリアへ渡った。10年間修行し、現地の料理学校で講師を務めるまで腕を磨いた。

板倉さんが地物の野菜にこだわるのは、イタリアでの経験からだ。現地では、野菜を作った農家が市場に集まるのが一般的で、農家と直接会話をしながら食材を仕入れていたという。

料理研究家・板倉布左子さん:
スーパーで袋に入って並んでいるものを買うのと、生産者から直接話を聞いて買う野菜では、家に帰ってからの調理・心構えが全然違う。これが旬なんだ、“はしり”なんだとか、食にまつわるいろいろな知識は、味を濃くしてくれる

味に深みを出すには、まず食材を知ることだと、板倉さんは考えている。

イタリアでの経験をもとに、地元の農家が直接野菜を持ち寄り販売できるイベントを出雲市で立ち上げるなど、料理教室以外のところでも、食材を楽しむことの大切さを訴えている。

参加者:
地元食材が料理に変わっていくので、地元がますます好きになった所がある

参加者:
今までなら煮物しかできないと思っていたものが、おしゃれなイタリア料理になるのがすごく素敵だと思う

コロナ禍で苦境続くも… 「だからこそ」食を通じ心のやすらぎを

ただ、肝心の料理教室も、新型コロナに振り回されていた。

料理研究家・板倉布左子さん:
料理教室は対面がメインだが、2020年にコロナになってから約1年くらいストップした

コロナ禍の当初は料理教室が開催できず、今も感染の状況によっては、中止する場合もある。収入も、コロナ禍前の半分程度に減少し、板倉さんも苦境に立たされている。

一方で、コロナ禍だからこそ自宅でおいしい料理を手軽に作りたい、という声が高まっているという。

参加者:
素材の味が生きていて、作りやすいし、おいしくて簡単で良い。食材・作り方がシンプルで毎回作ってみようと思う

参加者:
外出しにくい時間が続いたので、家で何品か作って、外食気分になるという時がありました

2022年3月、板倉さんは初めての料理本を出版した。ちょっとしたひと手間で家庭が明るくなる料理を…。そうしたヒントを、各ページに盛り込んだ。

料理研究家・板倉布左子さん:
辛い時も楽しい時もリラックスする時も、常にごはんはある。料理をする時間が楽しくもあり、癒やしでもあり、よい時間になればと思っています

家庭での料理の時間を、癒やしの時間に。コロナ禍が続く中、食を通じて心のやすらぎを届けたいと、板倉さんの奮闘は続く。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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