東京五輪で新設されたスケートボード種目で、初代金メダリストとなった堀米雄斗。
今月24日、日本で初めて開催された世界最高峰のアクションスポーツの祭典「X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo」でも金メダル獲得と、結果を残しつづけている。

一方、今年の全国高校サッカー選手権で名門・青森山田を優勝に導き、高校3冠を達成した松木玖生。鳴り物入りで今季入団したJリーグ・FC東京で、完全に主力を掴んだ怪物MFだ。

スケートボードで世界的アスリートに仲間入りした23歳と、欧州リーグへの挑戦を公言し続け、サッカーで世界を目指す18歳が初対面し、トップアスリートだからこそわかり合えるメンタルや夢、3年後のパリ五輪について語った。

2人にとってゆかりある国立競技場

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東京五輪で新装された国立競技場は、若き2人にとってゆかりある場所だ。堀米雄斗は2021年夏、東京五輪の開会式で国立競技場の地に立った。

「凄く大きい場所で、自分が開会式で入った時に、感動するものとかもあったし、五輪だけでしか味わえない感覚も味わえたので良い経験ができました」

一方、今年1月、国立競技場で行われた高校サッカー決勝でゴールも決める活躍を見せ、優勝を勝ち取った松木玖生。

「まずロッカーが綺麗だなと思いました(笑)。ピッチから見ると観客は凄い入るなって。芝はサッカーがしやすいようになっていたので、やりやすいピッチだったなと思います」

4月29日には国立競技場の改修後、初めてのリーグ戦をFC東京が開催。ガンバ大阪との一戦でも躍動が期待されている。

2人にとって思い出深い“国立”についての話題から始まったこの対談は、プロのアスリートとして戦うためのメンタルに話題が移った。

堀米「なんで緊張しないんですか?」

かつて堀米と米ロサンゼルスで同居していたX Games Summer 2021の金メダリスト、ダショーン・ジョーダンは、堀米の強さの理由をこう挙げる。

「雄斗はプレッシャーに強いんだ。大舞台に強いんだよ」

松木も堀米の姿を見て、同様に感じていた。

松木:
堀米選手のスケートボードを見て、勝負強いなって思いましたね。
サッカーでもチームとして試合はするんですけど、最終的には個人の能力で得点を決められるようなシーンだったり、アピールできるようなシーンがあるので、(その目線で見ると)堀米選手は勝負強いなと思いました。
自分は試合中あまり緊張しない方ですけど、五輪の時、堀米選手はその舞台に立つ時に緊張していましたか?

堀米:
めっちゃ緊張してましたね。五輪以外の試合でも全部緊張するんですけど、五輪は今まで以上に、まあ一番プレッシャーのかかる大会だったし、本当に緊張しましたね。

松木:
すごい結果を残して、緊張がいい感じになったって感じですよね。

堀米:
緊張している方が良いのかもしれないです。わかんないですよね、そこは。
(松木選手は)緊張しないって言っていましたが、なんで緊張しないんですか?
俺も緊張しないで大会に出てみたいです。緊張しない方法みたいなのがあれば教えて下さい。

松木:
自分に関しては性格の問題で、元々気が強い方なので逆に楽しいみたいなって。大舞台でいっぱい人が見てくれたら自分のプレーが出せるっていう感覚を持っていて。
大会でも普段と変わらないような試合をするので、そこは普段通りっていうのを心がけてますね。

堀米:
見られている感じをプラスにできるっていうのは本当に良いなって思います。
自分のプレーができなかった時のこととかを考えてしまうことが多いので、そういうのを好む性格になれたらいいなって思いました。

夢のために必要な語学

金メダリストも驚く強心臓ぶりを垣間見せた松木。
その松木が最終的な夢と話したのは、プレミアリーグに所属し、チャンピオンズリーグに出場し優勝することだ。その夢を叶えるため、英語の勉強を始めているという。この対談でもアメリカを拠点に世界と戦う先輩・堀米に、語学に関する質問をしていた。

松木:
自分の目標は日本ではなく海外で活躍することなので、そこに向けて英語だけが語学じゃないですけど、学びたいと。
ただ全然会話できるレベルではないので、(どう学べばいいか)堀米選手に聞いてみたいです。

堀米:
自分もあんまり英語は得意じゃなくて日常会話くらいしか話せないので、勉強を教えられるくらいになるまで頑張りたいです。
アメリカに来る前は「アメリカ住んでいれば勝手に覚えるよ」って言われていて。4〜5年住んで日常会話くらいは話せるようになったんですけど、自分でちゃんと勉強しないとそこから先に進まないとわかったので、これから勉強も少しずつやっていきたいです。

そして英語を使わないと忘れちゃうので、英語を使っていくっていうのは大事だと思います。家庭教師をつけるよりも、アメリカの女の子や友達と話してた方がずっといいなって思っていて、意識して会話するようにしてますね。

松木:
今英語はYouTubeを見たり、高校の頃はオンラインで授業受けたりしていて、今後も生活がちょっと定まってきたらオンラインとかで受けたいなって思ってます。
FC東京の中でも監督が外国人監督だったり、外国でプレーしていた選手たちがFC東京に入ってきているので、そういう選手たちとコミュニケーションをとっていきたいですし、そういう意味でも英語の勉強は大事かなと思います。

堀米の原点「アメリカでプロに」という夢

松木:
アメリカで普段なにしてますか?

堀米:
結構家にいるのが好きなので家にいて、それかショッピングを友達としています。ご飯が好きなので食べに行く感じですね。アメリカにいるからといって観光もあまりしないですし、海もあまり好きじゃないので行かなかったり、結構家に固まってることが多いですね(笑)。

松木:
それは外国人の友達ですか。

堀米:
アメリカの友達で、今もルームメートがいるので、その子と買い物行ったりしてますね。

おととし、アメリカ・ロサンゼルスに4LDKの豪邸を購入した堀米。
今やスケートボード界でスターとなった堀米が、その原点は「アメリカでプロになりたい」という夢だった。

幼い頃からスケートボードに夢中になっていた堀米は、自らが好きなスケーターがアメリカに住み、そしてYouTubeで配信される彼らを見るうちに、スケートボードの本場で成功したいと思うようになった。

堀米:
スケートボード自体今は五輪とかで知られていると思うんですけど、前は日本では全然知られてなかったし、スケートボードで食べていける人も本当に少なかったし。
自分の憧れていたプロスケーターみたいな生活は日本ではできないって分かっていたので、そこでアメリカでプロスケーターになりたい気持ちが強くなって、アメリカで成功したいって思いました。

最初に周りの人からそれは難しい、日本人ができるはずないとかいろいろ言われてきたんですけど、そういうのは気にせず自分の夢に向かって、あとスケートボードが好きだったので好きなことをずっとやってきて、今ちゃんと夢が叶えられたので、自分の夢とか海外で活躍したいっていう夢があれば、ずっと目指して誰かになんと言われようと自分の夢を突き通してほしいです。


自らの夢を信じ続けてつかんだ現在地。堀米は世界を見据える松木に、夢を貫き通すことの大事さを伝えた。

松木:
どのスポーツでも大事なことだと思うんですけど、自分も周りにいろいろ言われますが、そんなの関係なしに自分自身のプレーをこだわってやってるので、自分の気持ちはぶらさずにいきたいと思ってます。
最終的な夢はプレミアリーグでチャンピオンズリーグに出場して優勝する。そのチームに貢献することを一番の夢として持っているので、今は基礎技術だったり戦術的な部分を落とし込んで、一人でも活躍できるような選手になりたいと思ってます。

堀米:
スケートボードのコンテストや五輪が夢って言ったんですけど、ストリートカルチャーも凄く大事で、そっちの方がメインです。
今回の五輪が終わった後もスケーターオブザイヤー(※1年間を通して最も活躍した選手に授与される。堀米は最終候補6人に選出)という賞を狙ってたんですけど、五輪で勝ったからといって獲れなかったので、やはり大会じゃないところでも頑張っていきたいです。
大会の中ではパリ五輪が自分の中での夢なので、両方頑張ることが一番の目標です。

共に世界の頂点を目指す2人には直近で『パリ五輪』という3年後に迫った大きな目標がある。

堀米:
パリに向けて新しい技を練習しているし、今五輪で2連覇できるのは自分しかいないのでそれをちゃんと叶えられるように、毎日そういったことを考えながらスケボーをしています。楽しむことも忘れずスケボーしている感じです。

松木:
自分に関しては出なければならない大会だと思っていて。
パリ五輪で終わりではなくて、さらにその上を目指すためにも通過点としてある大会なので、もっと先の世界に行くためにその大会は大事だと考えてます。

堀米:
(パリ五輪の)開会式で会いたいですね。まだ出られるか分からないですけど。


3年後のパリ五輪での再開を誓った2人。
2人が描く成長曲線から目が離せない。