新潟市が政令指定都市に移行し、4月1日で15年。
日本海側の拠点都市を目指して取り組んできた一方、人口減少が進み、街の衰退も叫ばれる。
政令市新潟の現在地と、今なお続く模索を取材した。

政令指定都市移行から15年が経った新潟市
政令指定都市移行から15年が経った新潟市
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にぎわい創出へ 古町に“広場”誕生

3月25日、完成を祝うイベントが開かれたのは、新潟市中央区の古町十字路に面した広場。

古町ルフル前に完成した広場
古町ルフル前に完成した広場

2020年に開業した再開発ビル・古町ルフルと一体で整備が進められてきた。

古町ルフル
古町ルフル

杉本一機キャスター:
イベントの開催などに活用される広場は、大階段やエスカレーターで地下商店街・西堀ローサと直結。古町地区の歩いて回る人の流れをつくることが期待されています

古町ルフル前の広場は西堀ローサと直結
古町ルフル前の広場は西堀ローサと直結

今もにぎわいづくりに向け、試行錯誤が続く街。その姿は、この15年で大きく変化した。

政令市となるも人口減少・街は衰退…

2007年4月1日、本州日本海側唯一の政令指定都市となった新潟市。

2007年4月1日 新潟市は政令指定都市に
2007年4月1日 新潟市は政令指定都市に

8つの区が誕生し、各地域の個性を生かした街づくりにより、産業の発展や人や物の交流の活性化を目指した。

一方でこの間、急激に進んだのが人口減少。
政令市移行当時、81万人を超えた市の人口は2021年には78万人まで減った。

新潟市の人口
新潟市の人口

人口の減少を背景に、古町ルフルが建つ場所に位置していた大和新潟店が2010年に閉店。
その後、中心市街地のにぎわいを支えてきた商業施設が相次いで撤退するなど、街の衰退が叫ばれている。

大和新潟店が閉店(2010年)
大和新潟店が閉店(2010年)

実際に地価を見てみると、市内で最も高い商業地は2008年の1平方メートルあたり68万円から54万円に下落。
日本海側の拠点都市を目指したものの、近隣の金沢市に大きく抜かれ、富山市にも迫られている。

公示地価(商業地の最高地点)
公示地価(商業地の最高地点)

街づくり前進へ 官民で進める市の活性化

杉本一機キャスター:
60年ぶりのリニューアル工事が進む新潟駅。その新たな姿が見えてきています

政令市としての存在感を取り戻したい新潟市は、2022年を“街づくりを前進させる重要な年”と位置付ける。

にいがた2km(新潟駅~古町)
にいがた2km(新潟駅~古町)

街づくりを前に進めるため、市が特に力を入れるのが『にいがた2km』と名付けた新潟駅から古町を結ぶ都心エリア。
集中的に活性化を図り、市全体に活力を波及させる、成長のエンジンとすることを目指す。

中心部を成長のエンジンに
中心部を成長のエンジンに

こうした行政の動きに呼応し、中心部では街づくりの主体となる市民にも変化が見られている。

古町ルフル前の広場の完成に合わせ、古町地区では上古町や人情横丁から古町通9番町まで10ある商店街が一体となってイベントを開催。

古町ルフル前広場の完成に合わせ商店街がイベント開催
古町ルフル前広場の完成に合わせ商店街がイベント開催

新潟古町まちづくり 川上英樹さん:
この規模のイベントは初めて。一人ひとりの力は小さいが、みんなが同じ方向で、同じ情熱を持ちはじめれば、本当に強いものだと思う

こう話すのは、今回のイベントを企画し、自身も古町に商店を構える川上英樹さん。

新潟古町まちづくり 川上英樹さん
新潟古町まちづくり 川上英樹さん

これまで、それぞれの団体が個別に行ってきた活性化策に“地区一体”で取り組むことで、魅力の発信を強化する。
そこには中心市街地として市全体のけん引役を担っていく意識の高まりがあった。

新潟古町まちづくり 川上英樹さん:
やっぱり中心が何とかなっていないと、街としての成長はないと思う。同じ気持ちで、中心街として成長エンジンとして動いていかなきゃいけない

「成長エンジンとして動いていく」
「成長エンジンとして動いていく」

にぎわいを取り戻すため、力が注がれる中心部。

一方で、その外に目を向けると別の課題も見えてくる。

人口減少で増す負担 公共施設の統廃合へ

15年前と比べて8000人減と、8区の中で最も人口減少が進んだ西蒲区。
政令市移行を前にした合併計画に沿って、新潟市は10年間で約2700億円をかけ、各区に相次いで公共施設を建設。

新潟市の各区に公共施設を整備(2005年度~2014年度)
新潟市の各区に公共施設を整備(2005年度~2014年度)

その結果、“住民1人あたりの公共施設保有面積”は全政令市の中で最大に。

住民1人あたりの公共施設保有面積(2019年度末)
住民1人あたりの公共施設保有面積(2019年度末)

人口減少により維持費負担が大きくなるなか、公共施設の統廃合が避けられなくなっている。
その議論のたたき台として、市が3月にまとめた案で廃止の選択肢も挙げられた施設の一つ、西蒲区の角田地区コミュニティセンター。
2億7000万円をかけ、8年前にできたばかりの施設だ。

角田地区コミュニティセンター(新潟市西蒲区)
角田地区コミュニティセンター(新潟市西蒲区)

角田地区コミュニティセンターの利用者:
近いし、温かみがある。ここに来てワイワイしゃべると気も晴れるし、すごくいいところ

角田地区コミュニティセンターの利用者:
災害時は避難する場所であり、地域をつなぐ場所

角田地区コミュニティセンターの利用者:
廃止はやめてもらいたい

市は2022年度から施設再編の議論を本格的に進める方針だが、市民との丁寧な意見交換が求められることになる。

2022年度から本格的な議論開始へ
2022年度から本格的な議論開始へ

地域によって、異なる様々な課題や模索がみられる政令市・新潟。

(Q.政令市としての新潟市の現状は?)
新潟市 中原八一 市長:
『日本海側の核にしていくんだ』と目指してきたが、人口減少という厳しい状況にも直面している。政令市新潟の発展の見取り図を打ち出して対策を取っていきたい

新潟市 中原八一市長
新潟市 中原八一市長

環境が激変するなか、どう発展の道筋を描くのか…政令市としての力が問われる。

(NST新潟総合テレビ)

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NST新潟総合テレビ
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