新型コロナワクチンの3回目接種加速に向け、「1日100万回」という目標を掲げる岸田政権。
政府の大方針を受け、各地の自治体では接種券の発送前倒しや、医療従事者の確保を早めたりするなど対応に必死だ。 しかし、ワクチンそのものの供給が滞れば接種の加速は実現できない。 1、2回目接種の際には、想定を超えるスピードで接種が進んだことにより、供給が追いつかなかった事態が生じた。

日本医師会の中川会長も3回目接種の加速に当たって、「地域の医療機関からはワクチン供給の先行きに不安の声が常に上がっている」と政府に釘を刺している。

接種対象全員のワクチン確保

堀内ワクチン接種相は、15日の記者会見で「ファイザー社とモデルナ社のワクチンを合わせて、接種の対象となる(18歳以上の)1億人すべての方が接種できる量のワクチン、1億820万回分を5月16日までに配送する」と表明した。 会見では、配送スケジュールを説明するために「ワクチンの種類別×都道府県別×週あたりの配布数」とした15ページの資料を配付。政府関係者もこのスケジュール通りに配送すればワクチン不足は起きないとして「予約枠さえ埋めてもらえれば大丈夫だ」と自信を示す。 また自治体からも「供給見通しが立っているので接種体制が作りやすい」と評価する声が出ているという。

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3回目接種 自治体でバラツキのワケは

一方で、3回目接種については自治体ごとにバラツキが出ている。
接種率が10%を超える地域が多い中、秋田県は8%、神奈川県は9%に留まっている。(※2月17日公表時点)

政府関係者は「自治体によっては接種券の印刷を業者に頼んでいるが、、8カ月としていた接種間隔が前倒されたことで、接種券を印刷し直したりするところがあり、接種券の配送に時間がかかってしまう」と背景を説明する。

堀内ワクチン接種相が自治体と相次ぎ会談

「1日100万回接種」の目標達成の最大のカギとなるのは自治体による接種だ。
政府関係者によると、官邸幹部が堀内ワクチン接種相に対し、自治体と会談を数多く行うよう指示したという。堀内ワクチン接種相は2月中旬から横浜市の山中市長をはじめ、神奈川県の黒岩知事や岡山県の伊原木知事などと立て続けにテレビ会談を行い、接種の加速に向けた協力を呼びかけ意見交換した。 午前中だけで4つの自治体に対して、接種の協力を呼びかけることもあるとう。

神奈川県・黒岩知事とテレビ会談を行う堀内ワクチン接種相
神奈川県・黒岩知事とテレビ会談を行う堀内ワクチン接種相

岸田政権が掲げる「1日100万回接種」の目標達成に向け、堀内ワクチン接種相が自治体に対してどこまで接種の協力を呼びかけられるか、そして課題があればそれをどこまで受け止められるか、正念場を迎える。

(フジテレビ政治部・安藤優子)

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