お酒の強さ・弱さには、地域差があると言われる。この説を科学的に調査した「お酒に強い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」が発表され、青森県がトップとなった。

調査結果は、株式会社ユーグレナ(本社:東京都)とグループ企業が提供する、遺伝子解析サービスの利用者2万1371人(20歳以上の男女)のゲノムデータから導き出したもの。

検査には遺伝子解析キットを使用(提供:ユーグレナ)
検査には遺伝子解析キットを使用(提供:ユーグレナ)
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ユーグレナによると、アルコールの分解に関わる遺伝子「ALDH2(アルデヒドデヒドロゲナーゼ)」には、二日酔いのなりやすさに関わる項目があり、「お酒を飲んでも二日酔いになりにくいタイプ(GG)」「お酒を飲むと二日酔いになりやすいタイプ(AG)」「そもそもお酒が飲めないタイプ(AA)」の3タイプに分かれるとのこと。

このうちのGGの遺伝子を持つ人をお酒に強いとみなし、この割合が高い順に並べた。ランキングを見ると、1位が青森県(68.92%)、2位が沖縄県(67.92%)、3位が岩手県(67.59%)、4位が秋田県(65.92%)、5位が山形県(65.88%)。

反対に下位を見ると、47位が奈良県(47.86%)、46位が岐阜県(47.88%)、45位が和歌山県(48.23%)、44位が宮崎県(48.65%)、43位が福井県(49.00%)となった。※カッコの数字はお酒に強い遺伝子タイプが占める割合

ランキングのトップ10がこちら(提供:ユーグレナ)
ランキングのトップ10がこちら(提供:ユーグレナ)

東北と沖縄に“酒豪遺伝子”が…なぜ?

ここで注目したいのが、お酒が得意な上位に東北地方、苦手な下位に近畿・中部地方が多いことだ。調査結果を日本地図に色付けで反映してみても、はっきりと地域差がみられた。

調査結果を日本地図に反映したもの(提供:ユーグレナ)
調査結果を日本地図に反映したもの(提供:ユーグレナ)

この違いはどんなことが影響しているのだろう。ユーグレナの担当者に聞いてみた。


――青森県が1位。要因として考えられることは?

大変恐れ入りますが、要因は当社では調べておりません。一説もあるという範囲で補足させていただくと、もともと日本に住んでいたグループはお酒に強い。そこに大陸から中国地方や近畿、中部などにお酒の弱いグループが入ってきた。そのため、相対的に東北や沖縄が強いと言われているようです。

47都道府県のランキング(提供:ユーグレナ)
47都道府県のランキング(提供:ユーグレナ)

――お酒の強さは後天的に変えることはできる?

遺伝型は決まっていて、後天的に変えることはできません。検査結果が「そもそもお酒が飲めないタイプ(AA)」の方は、遺伝的にALDH2がほとんど、または全く働かない体質で、そこで差が出てきております。お酒が飲めない方が飲める方と同じ量を飲んでしまうと病気のリスクが高まる要因にもなるため、自分の身体にあった量を飲むことが大切です。

自分に適した量を飲むことが大切(画像はイメージ)
自分に適した量を飲むことが大切(画像はイメージ)

――遺伝子解析サービスはどのように解析する?

オンラインで遺伝子解析キットを購入、ご自身で遺伝子解析キットに唾液を入れて返送いただきます。送付された唾液から細胞を採取してDNAの情報を読み取ります。約1~2カ月で、ウェブ上のマイページにて疾患のリスクや体質の傾向に関する情報、ご自身がどの遺伝子タイプに属しているのか、タイプにどんな傾向があるのか確認いただけます。

高血圧で短命県…それでも青森県はお酒

それでは、お酒の強い県民はどんな生活を送っているのだろう。ランキング1位となった青森県の県酒造組合に聞くと、酒豪っぷりが明らかとなった。


――青森県はお酒に強い。どう受け止めている?

青森県は豊かな自然があり、3方を海に囲まれた県なので酒の肴になるつまみも多く、お酒を楽しむ良い環境にあり、お酒の飲める酒好きが集まり居座った為、酒に強い遺伝子が多いのではないか、という声がありました。

また「記憶が毎回なくなり気をつけようとしてるのですが、遺伝子が作用しているのであれば仕方がないとも思えてきます」「無理して飲んでいるのかと思っていたが、遺伝だった」という反応もあります。青森では、朝にラーメンを食べる「朝ラー」という文化があり、しょっぱくて味が濃いものが好きです。高血圧で短命県でもあります。

朝早くからラーメンを食べる文化もある(画像はイメージ)
朝早くからラーメンを食べる文化もある(画像はイメージ)

――酒豪の多さに関連するエピソードを教えて。

ねぶたを観るときは片手にビールですし、平日に缶ビール500ミリを6本飲む方もいます。日本酒を飲むときには、ビールやハイボールやレモンサワーがチェーサー代わりになることも多いですね。酒を持ち込んで集まって飲むとき、人数に対して酒の量がだいぶおかしい。それなのに足りないという声もありました。


――青森県ではどんなお酒が好まれる?

日本酒が好まれ、寒い割に燗酒はあまり飲まず、冷酒を飲んでいる人が多いそうです。冠婚葬祭はもちろんのこと、日常から自宅で晩酌する人も多いといいます。


――青森県のお酒の魅力を教えて。

青森県の酒蔵は18蔵と東北では一番少ないですが、個性豊かな酒蔵が多く、味もバラエティー豊かです。また、青森県は食の宝庫で旬の魚介類、畜産、農作物もたくさんあります。地場の食材や郷土料理と地酒は最強のコンビではないでしょうか。

青森県の地酒(提供:青森県酒造組合)
青森県の地酒(提供:青森県酒造組合)

新鮮な魚介類をはじめ、おいしいものが多いからこそ、お酒もすすむのかもしれない。その一方で飲み過ぎは禁物。ランキング上位となった県民の皆さんも、体調と相談しながらお酒を楽しんでほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。