FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回は、社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者が「天皇皇后両陛下 オンラインでのご公務」を伝える。ポイントは「皇后さまのアドリブに陛下の絶妙なお答え」。

2年連続“新年ビデオメッセージ”

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
陛下は、2021年に続き2年連続で元日にビデオメッセージを寄せられました

この記事の画像(26枚)

フジテレビ社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
コロナ禍で実施できない「新年一般参賀」のお言葉に代わるもので、収録は仕事納めの12月28日夕方でした。陛下は、大雪やオミクロン株の感染状況の推移をとても心配されていて、撮影4日後の元日に公開されるメッセージが、その時のその状況に合ったものになるように、またご自分の思いにぴったりと合う言葉を探して、直前まで推敲を重ねられていたそうです。

ビデオメッセージの一部です。

新年ビデオメッセージ・天皇陛下:
今私たちはオミクロン株という新たな変異ウイルスの脅威にも直面しています。私たち皆がこれまでの経験に学び、感染症の対策のための努力を続けつつ、人と人とのつながりを一層大切にしながら、痛みを分かち合い支え合ってこの困難な状況を乗り越えていくことを心から願っています

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
このように陛下は、オミクロン株の脅威に具体的に触れて警戒が必要だと呼びかけられました。ただ一方で、2021年に比べてワクチン接種が進んだり、明るい兆しにも触れて、「皆さんにとって明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを心から願っています」というふうに、夢という前向きな言葉をお使いになりました

また皇后さまも次のように述べられています。

新年ビデオメッセージ・皇后さま:
今年が皆様にとって少しでも穏やかで実り豊かな年となりますよう心からお祈りしております

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
同じように皇后さまも「実り豊かな年」という前向きな言葉をお使いになりました

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
長女・愛子さまも、12月に成年を迎えたご感想の中で「平穏で彩り豊かな暮らし」という表現を使われていたんですが、こういう制約の多い生活が長く続く中で少しでも行く手に光が感じられて、“コロナ疲れ”を乗り越えられるような気遣いだったのではないかなと思います

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
こうしたビデオメッセージを含めて、両陛下のオンラインでの活動はこの1年で12件に及びました。画面越しでも心を通わせられるように工夫をされて、また会話からはお人柄も垣間見えました

オンライン公務に「新たな可能性と手応え」

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
まずは、5月末に行われた全国植樹祭(島根県)での様子ですが、陛下はご自分が移動することで密を作って地元に負担をかけてはいけないというお考えから、島根県の会場に足を運ぶことは断念されて、代わりに赤坂御用地から初めて式典にリモートで出席をされました

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
この行事では、毎回苗木を植えるなどの作業があり、それを手伝った小学生に直接お声を掛けられるんですが、今回リモート出席という初めてのケースでどう対応されるのか私たち記者も注目していました

陛下は、マイクを使って画面越しに会場の小学生に呼びかけられました。

全国植樹祭・天皇陛下:
緑の少年団の皆さん、きょうは私たちに丁寧に説明をして頂きどうもありがとう。皆さんには、これからも緑を守り、育てる気持ちを大切に持ち続けて頂きたいと思います。どうかくれぐれも体に気をつけて、実り多い学校生活を送ってください

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
一人一人と会話を交わすことはできなくても、直接何とか呼びかけたいという陛下のお気持ちによるもので、マスク越しですが優しいまなざしが伝わってきますよね。リモート出席という方法が果たしてうまくいくのかどうか、両陛下には期待と不安がおありだったようですけれど、式典会場との一体感を感じることもできて、オンラインによる活動にこの式典を通じて「新たな可能性と手応え」をお感じになったそうです

一体感を作る工夫とユーモア

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
続いて、オンライン越しにも心を少しでも通わせようと工夫されている場面をまたご紹介します。

2021年10月30日に和歌山県で行われた国民文化祭の交流の映像です。

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
両陛下の後ろに和歌山県のキャラクター・紀州犬の「きいちゃん」のぬいぐるみが並べられて…

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
机には特産品のみかんや柿もありました。現地のものを並べて、少しでも一体感を持つというご配慮が感じられました

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
この後、高校生との交流で印象的な場面がありました。コントラバスを演奏する男子生徒との会話の中で、皇后さまが急にお隣の陛下に「お弾きになったことは?」とお尋ねになりました

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
懇談相手の高校生ではなくて、傍らの皇后さまから突然質問を受けて、陛下は少し驚いた様子で胸に手を当てて「コントラバスは…ない」と答えになって、二人で顔を見合わせて笑っていらしたんです

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
それで高校生や立ち会ってた側近の幹部みんなに笑いが広がりました。皇后さまから、こういうふうにアドリブで陛下に話を振られるという場面は珍しくて、また陛下のお答えにもすごくユーモアがあって高校生と心を通わせようというための工夫が感じられました

加藤綾子キャスター:
ユーモアを大切にされるご夫妻のお人柄が伝わってきますね?

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
そうですね、一気に和やかになりました。陛下は、「感染が収束しない現状では、オンラインは有効な手段だ」というふうに捉えられています。ただ、やはりコロナによって実際に現地を訪れて、直接交流ができないというもどかしさもおありになって、今回の新年のビデオメッセージでも言葉にされています

新年ビデオメッセージ・天皇陛下:
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まり、皆さんと再び直接お会いできる日が来ることを心待ちにしています

社会部宮内庁担当・宮﨑千歳記者:
年が明けて、また感染者が増えていますけれど、引き続きオンラインを活用しながら、2022年こそwithコロナで実際に訪問ができて、直接交流できることを願って、活動を日々模索されていくことになるのではないかと思います

一つ一つのお言葉に「希望」「夢」「実り」

加藤綾子キャスター:
どんな状況にあっても、本当に国民に心を寄せてくださっているというのが伝わってきますね?

住田裕子弁護士:
準備を入念にされていて、一つ一つのお言葉に「希望」「夢」や「実り」とか、何か夢を膨らませるようなありがたいお話が続きますよね。でも、やっぱり早く直接にお目にかかりたい。
本当に皆さんが心待ちにしてると思います。一言一言の重みを直に聞かせていただくのもまた素晴らしいことだと思います

加藤綾子キャスター:
どんなお姿で登場されるんだろうって、女性からするとどんなファッションなんだろうというところも気になりますよね

住田裕子弁護士:
特に最近は愛子さまも加えられて、それぞれ色調を合わせていらして、いつも楽しみです

加藤綾子キャスター:
ご家族揃ってのコーディネートというのも楽しみの一つですね

(「イット!」1月5日放送より)