農家の課題を解消へ

軽トラックを購入する感覚で導入してほしいという、農家に寄り添った収穫ロボットとは。

まるまると育ったピーマンを収穫するロボット。
これまでになかった工夫がなされている。

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農業が抱える問題と向き合っているスタートアップ企業「AGRIST」が今、取り組んでいるのが...。

AGRIST・高橋慶彦取締役COO:
(問題は)収穫をするという部分の労働力。今パートや外国人がそこを担っているが、その部分の高齢化やそもそも地域にその仕事をする人がいないというのが非常に大きな課題となっている。

高齢化などによる労働力不足を解決するために開発されたのが、ピーマン収穫ロボット"L"。
最大の特徴は、農家の欲しいにとことん寄り添った製品設計だ。

このピーマン収穫ロボットの重さは16キロ、ハウス内に取り付けられたワイヤにロボットを引っ掛けボタンを押すだけ。

搭載されたカメラがピーマンのサイズを認識し、ワイヤをつたいながら自動で収穫する。

地面ではなく、空中を移動することにも理由があった。

AGRIST・高橋慶彦取締役COO:
地面が少しぬかるんでいたり、葉っぱが落ちたりしていて、地面を走りながら収穫するというのは非常に難しい。

低価格化にも力を入れた。
収穫アームをまっすぐ動くだけのシンプルな形状にしたり、高価なセンサーは使わないなどをすることでコストを削減。

その導入費用は150万円と、軽トラックを購入する感覚で導入できるようにする予定だ。

AGRIST・高橋慶彦取締役COO:
(収穫ロボットは)高いと1,000万円を超えるような金額になっている。10分の1くらいのコストで、われわれのロボットが農家に利用できるというような形でイメージしている。

収穫ロボットは高価で取り入れたくても取り入れられないという、農家の声を反映した費用設定。さらに農家への優しさは、ほかにも。

2本のベルトでピーマンの茎を取り巻きながら収穫すると、AIが大きさを認識して、収穫したピーマンはすぐにでも出荷できるようなへたの長さになって出てくる。

特許も取得した独自技術でへたを2度切り、0.5ミリ以下にカットすることで、出荷までの手間が省けるようにした。

共同開発を行うピーマン農家、福山さんも期待を寄せている。

共同開発者・ピーマン農家 福山望さん:
(収穫ロボットが)できれば若い人たちも増えていくと思うので、人口も増えて、新富町にとってはかなり光が見えてきている。

AGRIST・高橋慶彦取締役COO:
これまで農家が蓄積してきたさまざまな経験や勘というものを、AIや収穫ロボットという形でそれを再現し、新規で始める農家やこれから農業分野に参入する法人などが「これであれば農業がスタートできるのでは」という確度を上げていきたいと考えている。

(「Live News α」12月20日放送分)