懐かしい“あの言葉”が辞書から消える

12月17日、約8年ぶりに全面的に内容が刷新される「三省堂 国語辞典」。約3500語もの新たな言葉が追加される一方で、約1100語の言葉がなくなる。

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1990年代に渋谷を中心に流行した「コギャル」。

【改訂前の三省堂 国語辞典​】

「コギャル」
顔を黒く焼いたりする、ファッションがはでな女子高生など。

改訂前は記載があった「コギャル」という言葉も消えてしまう。

三省堂 辞書出版部 奥川健太郎さん:
(コギャルは)そういうファッションの方もいないし、検索もされていない。(コギャルは)今の方々が使っている言葉からは遠のいたという判断。

他にも、電信音の着信音だけだった携帯電話に大きな変化をもたらした「着メロ」。

2014年に発売された第7版では「着分」「着帽」「着メロ」「着目」としっかり記載されていたが、今回発売される第8版では「着分」「着帽」「着目」となり、「着メロ」が消えてしまっている。

携帯電話にまつわる言葉では、「着うた」「携帯メール」「赤外線通信」などの言葉も今回、姿を消している。また、今ではキャビンアテンダントと呼ばれる「スッチー」や東京メトロに名称が変わるなどした「営団」なども最新版には記載されない。

コロナやスマホ関連の言葉が新たに追加

一方、新しく辞書に入る言葉には「黙食」「おうち〇〇」「人流」などのコロナ禍に広まった言葉も。さらに「着メロ」などに変わって、スマホにまつわる言葉も新たに掲載される。

【改訂版(第8版)三省堂 国語辞典​】

「チル」
のんびりとくつろぐこと。
「ぴえん」小声で泣きまねをするときのことば。また、小さく泣く声。

他にも、スマホでネットショッピングをする人が増え、「置き配」も新たな言葉として加わった。

三省堂では5人の編集委員が中心となって、まず「削除する言葉」と「新たに加える言葉」を挙げていく。そして、議論をした上でメンバーに異論がなければ、消すか加えるかが決定となり、辞典を編集していくという。

三省堂 辞書出版部 奥川健太郎さん:
一般の方々の生活語彙として広く使われているか、そして、流行語ではなく長く使われているか。その2点が大きいです。

なぜ? 「レコード」は残るのに「MD」は消える

梅津弥英子キャスター:
約8年ぶりに生まれ変わる三省堂の国語辞典。この中に新しい言葉が加わる一方、古くなったため消えてしまう言葉があるということなんです。例えば「MD(ミニディスク)」。加藤さん、覚えていますか?

加藤綾子キャスター:
覚えていますよ。高校生や大学生のときは、これを中心に生活っていう感じでしたよね。

梅津弥英子キャスター:
レコード、カセットテープ、CDという流れがあり、1990年代の一時代を築いたのがこのMDだったんです。その後、2000年代に入ってiPodなどの録音機器が登場することによって、存在感が薄まってしまったということなんです。それで今回、辞書から消えてしまいます。

梅津弥英子キャスター:
ところが、レコードやカセットテープ、CDという言葉は残るんです。なんでMDより古い言葉が残るのにMDが消えてしまうのか?三省堂の編集の方に聞くと「今使われている言葉かかどうか」というのが、辞典に残るかどうかのポイントなんだそうです。

レコードやカセットテープというのは小説や会話で出てきますが、MDというのはほとんど使われなくなっている。こういった現状から消えてしまうということなんです。

加藤綾子キャスター:
レコードとかカセットテープの方が、思い出と一緒に残っているっていう印象がある。レコードもアーティストの方が出していたりとか、CDを買うとかありますよね。でもMDを買うってなかったですよね。

梅津弥英子キャスター:
確かに、アーティストのジャケットになったMDってなかったですもんね。思い出としてなかなか定着しなかったということなんですかね…。MDの他にも消える言葉があります。こちら「テレカ」「ピッチ」「企業戦士」などなど。柳澤さんはこの中で気になるものはありますか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
僕はこの「消える」っていう表現があんまり好きじゃないかな。言葉っていうのは、時代の足跡・レガシーだと思うんですよ。それを消しちゃいけないと思う。もしどうしても消すのだったら、消した言葉の辞書を作ってほしいと思いますね。これはしっかり残していかないといけないと思います。

加藤綾子キャスター:
歴史の一つでもありますからね。でもコロナに関する言葉は、早く消えてほしいなぁなんて思ってしまうんですけど…

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
良いことだけじゃなく悪いことも、歴史の一コマとして残さなきゃいけない部分もあると思います。

(「イット!」12月6日放送分より)