この季節、美しく色づくイチョウ。鮮やかな黄色が印象的だ。街路樹ではよく見かけるが、なぜか一カ所にイチョウの木が集中し、絶景スポットとなっている場所が福岡県にある。そのイチョウにまつわる知られざるエピソードとは…。

元ブドウ畑に約80本のイチョウ
福岡県広川町。広さ3300平方メートルに、約80本のイチョウが植えられている。

畑だった土地に、なぜ“イチョウの森”があるのか。このイチョウは、管理人の丸山修二さん(67)の父、元運さんの手によって植えられたもの。

きっかけは24年前。元運さんの妻で、修二さんの母親であるスナエさんが亡くなったことだ。それまで夫婦2人で営んでいたブドウ畑を辞め、手入れのしやすいイチョウを植えた。

はじめはギンナンをとるためだったが、結果として人が集まる絶景スポットとなったのだ。
丸山修二さん:
植えた当初の苗は、60cmくらいですかね。どんどん成長して、今ではこんな立派なイチョウの木になった

見に来た人との交流を楽しみに
2020年はコロナ禍のため一般に開放しなかったが、その美しさは口コミやSNSで広がり、今では県内屈指の紅葉スポットとして多くの客が訪れる。


丸山修二さん:
父は毎年、多くの方がイチョウを見に来られて、その人たちと話をするのを楽しみにしていました

父・元運さんも闘病の末、2020年に91歳で他界した。
「このイチョウ畑を今後も守っていきたい」
修二さんが見つめる“黄色い風”の中には、元運さんとスナエさんがほほ笑む姿が浮かんでいるようだ。

植えてから25年。今秋のイチョウは散ってしまったが、思いは受け継がれていく。
(テレビ西日本)