長野・小川村に移住した男性が、特産の「西山大豆」を栽培。ハンバーガーなどにして販売している。メニューの原点はなんとアフリカ。
大豆と縁のある男性が営む「食堂」を取材した。

西山大豆を使った料理
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ハンバーガーに、キッシュ、そしてスムージー。実はいずれも大豆が使われている。

小川村産の「西山大豆」…甘みがあり、粒が大きい

長野県小川村の大豆畑

ここは小川村の大豆畑。11月15日に訪れると、収穫期を迎えていた。

中村雄弥さん:
みどりみどりしたときよりも枯れて、これよりもう少し濃くなってこげ茶みたいになっていくと、落ち着く感じがする

6年前、地域おこし協力隊員として小川村に移住してきた中村雄弥さん(44)。

中村雄弥さん

栽培しているのは、小川村や長野市中条などのいわゆる西山地区で作られる「西山大豆」だ。
一時、生産量が激減したが、今 その価値が見直されている。

特産の「西山大豆」

中村雄弥さん:
甘みが強くて食べ応えがある。西山は傾斜地で水はけがいいところで、寒暖差が大きいことで粒の大きな大豆が育つといわれている。そういう伝統的なよさがある

「大豆ファン増やしたい」いろいろなメニュー開発・販売

中村さんは、大豆を栽培しているだけではない。

中村雄弥さん:
タイのガパオライスを「西山大豆」を使って作る。これだけじゃないけど、いろんな料理と「西山大豆」を結びつけて

だいず食堂パチョコ

「西山大豆」の魅力を広めようと、2年前に妻の明日香さんと村内の道の駅の一角に店を構えた。
その名も「だいず食堂パチョコ」。

大豆たっぷりの「ガパオライス」(600円)に、地元産のビーツやリンゴを混ぜた「豆乳スムージー」(Mサイズ350円)もある。

豆乳スムージー

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん:
実際に大豆を使った魅力的なレシピを提供することで、大豆のファンを増やしたいなと

一番人気はハンバーガーだ。

大豆を発酵させたインドネシアの伝統食「テンペ」を挟んだ「テンペバーガー」(600円)。

こちらは西山大豆の木綿豆腐と鶏のむね肉を練り合わせた「豆腐ナゲットバーガー」(500円)。

そしてもう一つ、「だいずニャマバーガー」(500円)。中身は、一見、肉のように見えるが…

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん:
西山大豆をすりつぶして、多少タマネギも入っているが、ほぼ大豆

「だいずニャマ」は、大豆、タマネギ、地粉をこねて焼いたものだ。

記者リポート:
ふわふわしていて柔らかいです。豆という感じはなくて食べやすいです

大豆がつないだ「アフリカとの縁」

この「だいずニャマ」、中村さんが初めて作ったのは信州から遠く離れたアフリカの地だ。

中村さんは名古屋の出身。新聞記者として松本などで働いた後、2007年に国際協力機構・JICAの「青年海外協力隊」として東アフリカの「マラウイ」へ赴任した。担当したのは、エイズウイルス患者への栄養改善指導などだった。

世界最貧国の一つとされるマラウイ。住民の多くは、たんぱく源である肉や魚を口にすることができず、低栄養状態だった。

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん:
せっかく高たんぱくで栄養があるのにもったいない。大豆のイメージをよくするメニューを開発して提供すれば、もしかしたら食べてもらえる

思いついたのが大豆のハンバーグ。現地の言葉で肉を意味する「ニャマ」からとって「だいずニャマ」と名付けた。

現地では、大豆が家畜のエサに使われていたため、当初 住民には抵抗感があったというが、次第に評判となった。

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん:
現地の人は油で焼いたり揚げたものが大好きなんで、「これは肉じゃないか!」という感じで結構、食べてくれるようになった

帰国後もアフリカでの暮らしが忘れられなかった中村さん。自給自足の生活がしたいと移住先を探し、新聞記者時代の松本で慣れ親しんだ北アルプスが望めるという理由もあって、小川村を選んだ。

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん:
来てみると小川村が大豆の名産地であると聞いて、本当にびっくりして。まったく事前情報がなかったので、これは本当に運命だなと

アフリカで熱心に向き合っていた大豆との「再会」。
地域の協力も得て、すぐに大豆栽培に取り組み、地域おこし協力隊員として、みそ造りや豆腐作りを子ども達に体験してもらう「食育」にも力を入れてきた。

「西山大豆」をおやきに並ぶ小川村の名物に

そして、任期を終えた2019年に満を持して店を開いた。

妻・明日香さん:
夫が大豆に命をささげているので、ただ売るだけじゃなくて自分で育てたい気持ちも強い。情熱はありますよね

豆腐ナゲット

客:
豆腐ナゲットを2つ

ナゲットを受け取ると、すぐにパクリ。小さな子どもも食べやすいメニューだ。

客:
このナゲットが子どもも私も大好き。ありがたい、罪悪感なく食べられる

妻・明日香さん:
ハンバーガー4つですね

ハンバーガーを注文したのは地元に住む男性。「だいずニャマバーガー」が気に入り、定期的にテイクアウトしていると言う。
自宅に戻ると、早速 昼食にハンバーガーを味わった。

ハンバーガー購入の男性:
具も良い。素朴でそれなりの味が出ている

男性の妻:
大豆がこんなにおいしく食べられるなんて不思議なくらい

アフリカで出会い、信州で再び巡り会った大豆。中村さんは「西山大豆」を、おやきと並ぶ名物にしたいと意気込んでいる。

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん

だいず食堂パチョコ・中村雄弥さん:
今はおやきの村というイメージがすごく強いと思うので、「おやきと大豆の村だ」となる一つのステップというか、そういう風になっていけば

(長野放送)