キャッシュレス化で“ミニ財布”派が増加

消費税増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元制度、そしてスマホ決済の普及によって「キャッシュレス化」が進んでいる。

それに伴い、“財布”にも変化が起きている。

日本ファイナンシャルアカデミーが2月に20~40代の男女300人を対象に実施したアンケート調査で、「キャッシュレス支払いの方が多い」「キャッシュレス支払いのみ」と回答した“キャッシュレス派”に「キャッシュレス化に伴い、財布の形に変化はあった?」という質問をしたところ、約4割が「はい」と回答。

キャッシュレス化とともに、財布の形も変化していることが明らかになったのだ。
 

(画像:日本ファイナンシャルアカデミー)
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また、キャッシュレス派に「現在、主に使っている財布のタイプ」を聞いたところ、「ミニ財布」を使う人は45%で「長財布」の43%を上回り、カードケースなどを使い「財布を持たない」人は11%という結果だった。

1割超が財布を持たなくなっているのだという。
 

(画像:日本ファイナンシャルアカデミー)
(画像:日本ファイナンシャルアカデミー)

今後の財布の動向について、日本ファイナンシャルアカデミーの担当者は「キャッシュレス決済が日常的になればなるほど、お財布が登場する場面は減る。また、世の中的にもミニマル(=最小限)が好まれる傾向があり、わざわざ、かさばる長財布を好む傾向は薄れるのではないか」と話してくれた。

では実際に百貨店の財布売り場でも、財布の需要の変化は見られるのか?

阪急うめだ本店の担当者に話を聞いた。
 

百貨店の売れ筋も“長財布”から“ミニ財布”へ変化

――売れる財布には変化がある?

売れ筋は、カードやサービス券、小銭など、かさばるものが何でもたくさん入る、収納力がある大容量の“長財布”から、容量はそれほど大きくないけれど、バッグの中で場所を取らない“2つ折り・3つ折りのミニ財布”へと変化してきています。

――とくに、どんな財布が売れている?

財布でいうと、折り財布が人気です。

また、最近では、以前は財布としてグループ分けがされていなかったような、ポケットが4~6個付いていて小銭も少し入るような“カードケース”も人気です。

――ミニ財布はどのような人が買っていく?

20~40代の比較的若い世代層が中心です。

バッグの小型化とキャッシュレス化の影響

――財布の需要が変わり始めたタイミングは?

ここ2~3年、ファッショントレンドでバッグの小型化が進んでおり、それに合わせて、その小さいバッグに入れることができるコンパクトサイズの財布のニーズが高まってきました。

――キャッシュレス化も関係している?

電子マネーやスマートフォンの普及で、キャッシュレスの電子マネーでの支払いや、ポイントカードのアプリ化など、財布の中で場所をとっていた小銭やカード類を減らすことができるようになったことが大きいと思われます。

長財布の売上げシェアは2年前の半分

――長財布の売り上げは落ちている?

ミニ財布の人気によって、2年前と比較すると、売り上げは落ち込んでいます。
財布売場全体の売上に占めるシェアは、2年前は64%だったのが、現在は30%になりました。

――今、売り場にある財布の割合は?

長財布が2割、ミニ財布が3割、その他が5割です。

イメージ(2つ折りミニ財布)
イメージ(2つ折りミニ財布)

財布の多様化・細分化が進む

――今後もミニ財布が売り場に占める割合は増えていく?

従来、財布売場に陳列していた、キーケースなどの“スモールレザーグッズ”は、マーケットの変化によって、形状が変わってきています。

例えば、キーケースなどは、車のキーレス化をはじめ、家の鍵もカード形式の電子キーが増えているなど、持ち歩くキー自体が少なくなっており、従来のように4~5個もつけることができるものは、ニーズがなくなってきています。

財布についても、従来のように“長財布“や”2つ折り・3つ折り財布”だけが財布ではなく、ウォレットバッグやカードケース型、スマホケースに収納機能がついたものなど、さまざまな種類があります。

今後、ますます世の中のキャッシュレス化が進むと、お札や小銭を入れるための“財布”自体を持たない、という方も増えてくると思われます。

その意味では小型化だけではなく、仕様、機能、素材など、使用者の用途に応じて、さらに多様化・細分化していくものと思われます。

メーカーは財布に代わる“新たな入れ物”を開発中

小型化が進み、持たない派も増えている財布。今後はどうなっていくのか?
日本ハンドバッグ協会の担当者にも話を聞いた。

――財布の需要に変化は感じている?

メーカーから、長財布よりも小型の財布の需要が増えている、という話は聞いています。
そういった話が出始めたのは、政府がキャッシュレス決済を推進し始めてからだと思います。


――財布は今後どうなっていく?

今は財布という概念を取り払って、各メーカーが財布に代わる“新たな入れ物”の開発を進めています。

“新たな入れ物”というのは、サコッシュ(=つりひものついた、革または布製の小型のかばん)のような、ハンドバッグと財布の中間のような位置付けです。

 

キャッシュレス化によって、今、大きな変化が起きている財布。
財布に代わる“新たな入れ物”が主流になる日も遠くないのかもしれない。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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