クレジットカード会社が“カードレス”を加速

クレジットカード会社が“カードレス”の動きを加速させている。

カードレスの動きを見せているのは、セゾンカードなどを発行するクレディセゾンだ。
プラスチックカードの受け取りを待たずにすぐに利用したいという声を受け、2019年11月からスマホ上でバーチャルカードを発行する「セゾンカードレス決済」を開始。

利用できる店舗やサービスが限られていたが、これをさらに発展させた「新たなペイメントサービス」を2020年の秋をめどに開始するというのだ。これによって、すべての店舗ですぐにスマホを使った決済が利用できるのだという。

クレジットカード会社が“カードレス”に舵を切るというのは大きな転換だが、これにはどのような理由があるのか?
また、決済は「カードではなくスマホ」という流れは今後ますます加速していくのか?

クレディセゾンの広報担当者に話を聞いた。

(画像はイメージ)
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カードレス化によるセキュリティー面の対策は?

――昨年11月に開始した「セゾンカードレス決済」はどんなサービス?

「セゾンカードレス決済」は、時間も場所も選ばない非対面(オンライン)での入会手続きと、プラスチックカードの受け取りを待たずに、審査完了後スマートフォンでの即時利用が可能なサービスです。

提携先である株式会社パルコのPARCOカードの新規入会のお客様を対象としてスタートしました。

パルコアプリ「POCKET PARCO」で入会手続き、審査完了後には決済用QRコードを使ったパルコでのお買い物が可能になり、プラスチックカードは後日、郵送となります。

また、12月にはヤマダ電機との提携カード「ヤマダLABI ANAマイレージクラブカードセゾン・アメリカンエキスプレス・カード」にも同様のサービスを開始しています。


――「セゾンカードレス決済」と「新たなペイメントサービス」の違いは?

「セゾンカードレス決済」は、提携先のアプリを通して、入会申込み・提携先店舗に限定したQRコード決済、かつ後日プラスチックカードをお届けするというものでした。

今年の秋リリース予定の「新たなペイメントサービス」は、プラスチックカードは発行せず、当社アプリ(セゾンPortal)上でバーチャルなクレジットカードを発行します。

アプリ上で、セキュア(=安全)な環境のもとでカード番号などの情報を確認できるため、オンラインショップや、モバイル決済サービス(「Apple Pay」など)の利用登録をしていただくと実店舗での利用が可能となり、利用先を問わず、カード加盟店での利用ができる“スマホ完結型のサービス”です。

ただし、プラスチックカードをご希望のお客さまには、カード番号などの情報を一切記載しない番号レスのカードを発行します。こちらは、海外での利用や非接触IC決済が未対応な加盟店でのご利用を想定しています。

番号レスプラスチックカードの券面イメージ(画像:クレディセゾン)
番号レスプラスチックカードの券面イメージ(画像:クレディセゾン)


――セキュリティー面ではどのような対策を考えている?

審査完了後、ご登録のメールアドレス宛に、アプリ「セゾンPortal」のログインに必要な情報をお届けします。

ご自身でアプリをダウンロードいただき、ログインを行っていただく際、「ID」「パスワード」に加えて、スマホ端末認証(指紋など)で二段階認証の上、アプリの利用が可能となります。

また、カードを利用した際は利用する度にアプリに利用の通知をするため、不正利用が発生した時にはアプリ上で、すぐに利用停止続きも可能です。

「スマホ完結型サービスの提供が必須」と考えた結果

――このようなサービスを開始するのはなぜ?

2019年度の調査でスマホの保有率が約8割となり、若年層を中心に、何でもスマホで対応できることが当たり前となっている中、“時間や場所を問わない申し込み”、“リアル・WEBを問わない決済”、そして、あらゆる手続きを行える、スマホ完結型のサービスの提供が必須と考えています。


――スマホによるキャッシュレス決済に慣れ、財布からカードを取り出す手間を敬遠する人もいる?

政府の主導するキャッシュレス・ポイント還元施策など、モバイル決済における決済シーンは増えています。
お財布から現金だけでなく、カードを取り出さなくても、スマホさえあれば、という便利さに気付いた方も多くいらっしゃると思います。

また、モバイル決済の場合、手がふさがっていても片手で決済できますので、今後もあらゆるシーンでの利用が見込まれると思います。


担当者「スマホ決済の需要は高まる」

――今後、決済は「カードではなくスマホ」という流れが加速すると思う?

スマホ決済ができる加盟店が増えておりますし、若年層をはじめとして、よりスマホ完結のサービスが増えることも見込まれることから、決済ツールとしてのクレジットカードは必須であるとしても、プラスチックカードを必要としない、スマホ決済の需要は高まると思います。

ただ、幅広い年齢層における、多様なニーズにお応えするために、プラスチックカードがあった方がよいケースにも対応していくべきと考えます。

“カードレス化”の動きは他社に広がるかも?(画像はイメージ)
“カードレス化”の動きは他社に広がるかも?(画像はイメージ)


クレジットカード会社「クレディセゾン」が加速させる“カードレス”。背景にはスマホ完結型サービスへの需要の高まりがあり、そうしたサービスの提供が必須という判断があったようだ。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。