気候変動や食物資源、天然資源に関わるさまざまな問題を解決するためのカギは、海に潜んでいる。

しかし、詳しい海洋調査が行われているのは、全海域の約5%に過ぎない。

月よりも地球の7割を覆う海の方が未知なのだという。そのワケは、海洋研究には膨大な費用と時間が必要で、研究自体が学者や専門家たちだけのハイエンドで閉鎖的な分野であるとされているから。

その現状を変えようとしているのが、東京大学の藤井輝夫教授率いる研究チーム。

今まさに開発しているのが、「誰でも簡単に海洋データを収集できる」低コストで自由度の高い観測システム。

藤井教授は「海は非常に広く、海全体を細かく良く知るということはまだまだ難しく、一般の方々に参加してもらって測ったデータをどんどん集めていきたい」と話すように、“誰でも簡単に海洋観測ができるシステムを作る”ために、2018年にOMNI(オムニ)プロジェクトを立ち上げた。

観測機器の材料は100円ショップや秋葉原の電気街などで手に入るものだ。

専門的な知識がなくても、誰でも簡単に組み立てることができる。

電源はソーラーパネル。手作りのシリコン製の浮きの中に、保存用のタッパーに入れられたGPSや半導体基盤、バッテリーなどが入っている。

浮きから突き出した棒の先端にはセンサーが取り付けられていて、これを海に浮かべることにより、水温や海面上昇率(波の高さ)、緯度経度などのデータを得ることができる。

GPSが取り付けられた観測システム

本来は数百万もする調査機器が、4万円ほどの費用で作ることができる。研究チームはさらに低コスト化すべく日々試行錯誤を続けている。

取得したデータはリアルタイムでサーバーに送られ、ウェブに公開される。データの活用法は無限大だ。

神奈川県・逗子開成中学校・高等学校で行われたワークショップでは、この観測システムの活用法を生徒たちが考えていた。

生徒たちからは、「津波の観測など防災対策に役立てられないか?」、 「世界各地の海に浮かべて地球温暖化の研究に使えるのでは?」などの意見が出された。彼らのアイディアが、いつか地球の未来に役立つ日が来るかもしれない。

藤井教授は「漁業者はもちろん、釣り人や、サーファーなど、誰もが手軽に使えるシステムにしたい。海から恩恵を受けつつ、できることは何かを考えるようなきっかけとして、OMUNIがその役割を果たせればいいのかなと思います」と語った。

「フューチャーランナーズ~17の未来~」
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SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。
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