店での支払いや役所の受付など、今ではすっかりアクリル板やビニールシート越しでの対応が当たり前になった。新型コロナの感染対策だが、話が聞き取れないなど会話をしにくいと思う時もあるのではないだろうか?

こうした中、京セラは12日、話した言葉をアクリル板などに文字として映し出す「わかりやすい字幕表示システム」を開発したと発表した。

(出典:京セラ)
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この「字幕表示システム」は、スマートフォンにつないだマイクで、受け付ける側(伝える側)の音声を取得し、自社開発したスマホアプリで文字に変換。

それを16×13×16cm程度の小型プロジェクターで、アクリル板などに張った透明スクリーンに投影する
という仕組みになっている。

事前に登録した言葉を自動で強調表示することや、会話に合わせて図解を表示することも可能で、透明スクリーンはビニールシートなどにも簡単に貼り付けることができるという。

同社は、会話がマスクやアクリル板越しで行われるようになったことで、「声が聞きづらい」「口元が見えない」などのコミュニケ―ション障害が生まれていると指摘。

特に聴覚障がい者の中には、口の動きや表情が読み取れず、会話が困難だと感じている人も多いそう。さらに加齢によっても聴覚が衰えることから、超高齢社会の日本ではコロナ禍のコミュニケ―ション障害が大きな課題になっていることが開発の背景にあるとしている。

文字を強調することも (出典:京セラ)

この「わかりやすい字幕表示システム」は、11月から横浜市中区役所の高齢・障害支援課窓口で実証実験を行う予定だという。

たしかに、以前に比べて窓口で相手の言葉を聞き返してしまうことが増えたようにも思う。
こうした悩みが解消されそうだが、伝える側からすると、裏返しの文字が見えてしまうのだろうか?また現在は一方のみとなるが、双方向で字幕化することは考えていないのか?

担当者に聞いてみた。

聴覚障がい者との対話がきっかけで開発

――最も大きな開発動機は何?

聴覚障がい者との対話がきっかけでした。新しい生活様式で、マスク着用者が増えて、生活や職場でのコミュニケーションに非常に苦労しているという体験を聞き、少しでも解決したいと思い、開発を始めました


――アクリル板にマイクとスピーカーを付けたものより、どこが優れている?

音から情報を入手することが難しい聴覚障がい者や、聴覚に衰えのある高齢者に情報を伝えられるという点です。


――透明スクリーンとはどんなものなの?

透明度を維持したまま、プロジェクターからの映像を鮮明に映すことができるスクリーンです。


――音声認識の精度はどれくらい?マスクをしていると普通より低くなるのでは?

精度は、一般的な音声認識の精度と同程度です。マスクによる影響は、ほとんどありません。

双方向の言葉の字幕化は検討中

――伝える側には文字が裏返しに見えるの?

反転文字を同時にアクリル板に投影しているので、受け付ける側(伝える側)は、正しい方向で文字を見ることができ、音声が正しく変換されているか確認できます。ただ、その反転文字は、相手側には見えない工夫をしており、読み取りの邪魔をしないようにしています。


――双方向の言葉を字幕にする予定は?

考えています。現状は一方向だけの表示です。技術的には、双方向も可能です。今後は、双方向で理解し合えるようなコミュニケーションシステムにしていきたいと考えています。


――実証実験は、京セラ社の受付では使わないの?

現在は使っていません。今後は、導入を検討予定です。

(画像はイメージ)

「わかりやすい字幕表示システム」は図解を表示することもできるので、聴覚障がい者だけでなく誰にとっても便利そうだ。実証実験もまだだが、さらに双方向も実現すれば、withコロナ生活のスタンダードになるかもしれない。