雨宮帆風記者:
こちらは3月に廃校になった小学校です。プールは残されたままになっています
2021年3月に廃校になった静岡・沼津市の内浦小学校。
プールはいまも残されたまま、使用されていない。このように、本来の目的を終えて利用されないまま放置されている施設を「遊休資産」という。

この小学校のプールは、沼津市が有効的な使い方を募集している遊休資産のひとつ。
少子化によって学校の統廃合が進み、遊休資産の増加が予想される中、こうした資産の有効活用が課題となっている。
廃校のプールがスケートボード場に
雨宮帆風記者:
こちらも同様に廃校になった小学校のプールですが、今話題のスケートボートなどが体験できる施設へと変身をとげています

約10年前に廃校となった静浦東小学校。
プールの使い方を市が公募し、民間の事業者によってBMXやスケートボードの練習場へとリノベーションされた。
沼津市はいま、公共施設の新しい使い方を検討し、民間の協力を得ながらまちの活性化や課題解決に役立てる“リノベーションまちづくり”を進めている。有効活用しようと取り組んでいるのは、遊休資産だけではない。
沼津市まちづくり政策課・半藤和重係長:
これまで使われてこなかった、行政としても目的以外で使わせてこなかった場所があります。例えば河川敷とか、道路の歩道だとか、公園。そういったところを活用する

昼間の公園でごろり昼寝も
河川敷や公園、道路など、いままで民間の事業者がなかなか使用できなかった公共の空間。こうした空間も、民間の力を活用することで、まちの活性化と魅力の再発見につなげようと、沼津市は2020年10月から実証実験を始めた。
“週末の沼津”と呼ばれる取り組みだ。

「週末の沼津」実行委員:今田大登さん:
「週末の沼津」はマーケットとして、沼津や沼津周辺の農家や飲食店、または雑貨屋に協力をいただいて中央公園にて行っています。沼津に住んでいながら沼津を知らない方がたくさんいて、こういう使い方ができることを知ってもらえたらいいなと思います
沼津駅から約500m。周辺に住宅だけでなく市役所やオフィスが立ち並ぶ沼津中央公園に、変わった光景が広がっていた。

雨宮帆風記者:
現在午後1時です。平日の昼休みの時間帯なんですが、公園でハンモックを使って休憩する人の姿があります
公園の中央には、ハンモック22台にピクニックシート。リモートワークスペースなども設置されている。

「週末の沼津」実行委員・今田大登さん:
平日のシエスタという取り組みです。平日の昼間で眠くてまどろんでしまう人もいると思いますが、ここのハンモックで昼休憩して、ぜひ午後を有意義に変えていただければと思います
シエスタとはスペイン語で昼休みを指す言葉だ。
緊急事態宣言を受けて密を避けるため、「週末の沼津」を平日の昼間に「平日のシエスタ」として実施した。昼休みに開放的な公園で密を避けながら、ワイシャツ姿でハンモックでくつろぐ人や、木陰のリモートワークスペースでパソコンを広げ作業をする人の姿も見られた。

いつもの公園が新鮮なスペースに
日替わりでコーヒーや弁当なども販売されている。
公園を訪れた人:
仕事の合間の昼休みで来ています
別の利用者:
月曜日からハンモックあるなと思って。密になりにくいのでいいのかなと思う。すごい新鮮ですね。続けてもらえると利用したいなと思う

「週末の沼津」実行委員・今田大登さん:
オープン空間だと密を避けられるということで、来る方も安心できます。この周辺で働いていて公園に来てはいるけれど、あまり日常使いしていなかったり、少し寂しいと感じる空間を、日常使いとして当たり前の空間にしてもらえれば。普段働いている中で、決まった店に行って会社に戻るところが、中央公園でこういった活動をすることによって、他の選択肢が増えたというのがよかった

普段は遊んだりスポーツをしたりする公園が、サラリーマンの昼休みの憩いの場として、また気分転換できる仕事場として活用された。
公共の空間をこれまでと違う使い方をすることで、魅力をさらに引き出すことが、この実証実験のねらいだ。
まちをリノベーション 沼津市のねらい
沼津市まちづくり政策課・半藤和重係長:
使われなくなったものを壊して新しいものにするのではなく、できるだけあるものを生かして新しい価値を作り出して、街を良くしようと思います。沼津は東京に近いこともあって、大学に進学したりすると皆さん東京の方に行ってしまい、そのまま戻らないという方も多いんですが、『リノベーションまちづくり』を進めることによって新たな雇用を生み出したりとか、魅力的なまちを作っていくことで、このまちに住んでよかったと、住み続けたいと思ってもらえるようなまちにしていきたいなと思っています

廃校となった学校をはじめ、公園などの有効活用を目指す沼津市の取り組み。
人口減少が続く中で、大勢の人に「この町に住みたい」と思ってもらうために、試行錯誤が続いている。
(テレビ静岡)