学力+α(非認知能力)の可視化が合否を決める
2020年の教育改革が目指す「学力+α」が既に当たり前のアメリカの教育では、「+α」の重要性が加速するばかり。なぜなら「+α」の存在が大学、特にトップの大学の合否を左右するからなのです。「+α」とはその生徒がその子らしくある理由。その子の人間的魅力。つまり目に見えない非認知な部分です。強い「+α」なしに、アイビーリーグの合格はない、と言っても過言ではありません。
そこで今アメリカで大人気なのが学校では手が回らない「+αの最強化」をお手伝いする大学受験塾(大学入試コンサルタント)なのです。
アメリカ版世界に負けない教育は「大学受験塾」
College Admission Consultant(大学入試コンサルタント)で検索すると驚くほどの数がヒットしますが、大学受験塾の仕事は、ズバリ、 「この子にはこんな素晴らしい人間的魅力があります」という非認知な部分を受験担当者に容易に認知させることにあります。
塾の始まりは高校1年生。4年ある高校生活で受験は4年生の秋から始まるので戦いは高校1年生から4年生が始まるまでの3年間。その間大学受験塾は生徒一人一人の人間的魅力を最強化するために非認知能力のマッピングに始まり、成果と成長をモニターし、3年かけて克明に記録していきます。そしてその子の「人間的魅力」を見える形で作り上げていきます。

例えば私が住むワシントンDCにあるお受験塾(娘が通った高校で長らく受験指導をしていた先生が始めた塾)の費用は年間100万円から150万円。もちろん払える人と払えない人が出てきます。そうなのです。非認知能力教育はいつだってトップから始まるのです。
ではこの塾では一体どんな「授業」がなされているのでしょうか?
人間的魅力を可視化するハウツー
例えばここにテストの点数ではアイビーリーグ合格圏内だけど、+αをどうすればいいかわからない。そんな生徒がいるとします。このままでは確実に毎年何万人と出る満点でも不合格の一員となってしまいます。
そこで大学受験塾のコンサルタントが詳細にこの子を分析し、点と点をつないで人間的魅力を作って行きます。好きなことは、得意なことは、家庭での役割は何か、学校やコミュニティーではどんな活動ができるか。
この生徒は本と人とのコミュニケーションが好き。そこで彼女のパッションを活かして学校の新聞部で本の批評記事を定期的に書き、ブログでもっと発信して行きます。また人とのコミュニケーションが得意な彼女は次に病院での読み聞かせのボランティアをします。友人たちの家を回っていらない本をもらいそれを近所の図書館に寄付します。そこでも子供達に読み聞かせのボランティアをします。ついには子供達と一緒に絵本を作って、それを出版してくれるスポンサーを見つけ、100部刷って地域の保育園や小学校に配ります。
ここにあるのは自分の好きと得意を使い、優れた共感力と協働力を発揮し社会に貢献する生徒の姿。100点だけよりずっと魅力がありますよね。こんな子が大学に来てくれたらきっと学校のために貢献してくれる、学んだことを使って社会に貢献してくれると思えます。企業の採用にしてもそうでしょう。
こうしてアメリカは学力+αに優れた世界最高のエリート予備軍を養成して行くのです。

非認知能力育成と可視化の鍵は親の情報量
21年から実施予定だった文科省の大学受験改革では初の調査書なるものが導入されることになっていました。そこには「自分はこう言う人間だ」と点数では見えない自分を語る機会が与えられていたのです。グルーバル社会での生き残りをかけ、今は頓挫している日本の大学受験改革も遅かれ早かれ実施されます。その時勝利を決めるのは100点の回答用紙ではなく、合格点圏内の回答用紙とお子さんの非認知能力の可視化です。
これからの受験は情報戦。新しい受験制度と人物評価における採点担当者の心理を学び、お子さんの人間的魅力を最大に可視化する。そのためにまずは取っ掛かりとしてアメリカ大学受験バイブル「The Gatekeepers」を読んでみてはいかがでしょうか?エリート大学の採点方法と評価の基準の秘密が暴露されています。
もう一つ今親にできることがあります。それはお子さんの非認知能力のマッピングです。学力は学校と塾に任せ、家庭では高校生活の点と点を繋げる手伝いをする。お子さんの課外活動、部活動、ありとあらゆる行動を記録し、お子さんの好きに応じて役立ちそうな活動など探してお子さんに提案する。そうして人間的魅力を証明する点と点をどんどん増やしつなげていくことです。100万円かけることも可能ですが、十分家庭でできることばかりです。
日本にも必ずやってくるグローバル社会に対応した大学受験に備えるためのヒントになれば嬉しいです。
