学校観戦をめぐって賛否が分かれる中、東京パラリンピックが開幕した。一方、医療現場では国と東京都からの突然の協力要請に、丸投げへの不安を訴える声が上がっている。

「緊急事態宣言」を拡大へ

緊急事態宣言の対象地域をさらに拡大へ。
政府は新たに北海道・岐阜・愛知・三重・滋賀・広島から宣言発令の要請を受け対応を協議。25日に対象地域を正式決定する方針だ。

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東京では24日、新たに4220人の感染を確認。全国の重症者は1935人と、12日連続で過去最多となっている。

国の要請に医療機関は…

23日、厚生労働省と東京都は改正感染症法に基づき都内のすべての医療機関に対し、病床の確保や医師や看護師の派遣などを要請した。

病床確保について国が法律に基づく要請を出すのは初めてのことだ。
しかし、ひっ迫する医療現場がどこまで要請に応じられるかは見通せず、都内の医療機関からは国からの突然の要請に戸惑いの声が上がっていた。

新宿ヒロクリニックの英裕雄院長:
「現実的にスタッフの疲労とか考えると簡単に手を挙げられないという事情もあると思います」

中等症までの患者を受け入れている杉並区の河北総合病院ではコロナ病床はすでに満床状態だ。

河北総合病院・杉村洋一院長:
「(現状)43床で44人が入院していますね。1人オーバーです。
要請を受ける前から(病床が)足りないということで、もう1つ病棟をコロナ病棟に今変える準備をしています」

入院できない…在宅医療の最前線

症状が悪化しても入院できない、在宅医療の現場も深刻な状況が続いている。
8月11日、在宅医療を専門とする都内クリニック(ひなた在宅クリニック山王)の医師は39歳の男性の自宅へ。

前夜に症状が悪化したものの受け入れ先が見つからず、救急隊が14時間にわたり酸素投与を続けていた。

酸素濃縮装置を男性に装着し薬を処方。入院先が決まるのを待ったが、そして5日後の16日、容体が急変する。

医師:
「熱はない?食欲は?」

39歳男性:
「食欲はないです…」

男性は意識がもうろうとした状態。
自宅には沖縄から母親が駆けつけ、看病にあたっていた。

39歳男性の母親:
「助かるなら何でもいいです。一番に助けてください」

ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:
「お母さん、あのね今の状態ね、結構厳しい状況で…」

医師は母親に一時的な入院先に入るか、高度な医療体制が整った施設が空くのをもう1日待つか、難しい選択が迫られる状況だと説明した。

39歳男性の母親:
「(息子が)辛抱できるなら、あと1日待ってもらいたいなと思うんですけど。夜、毎日こうやって動いているかな?動いているかな?って…」

男性が入院できたのは8月18日。
最初に救急搬送を要請してから、1週間後のことだった。

39歳男性の母親:
「本当にわからなかったんですよ。自分の息子の身になって初めてこんなにひどい状況、こんなに病院が受け入れてくれないって…」

厳しい医療体制が続く中でのさらなる協力要請…

新宿ヒロクリニックの英裕雄院長:
「もう本当に疲弊も疲労も極度になっていますし、全てを医療界に丸投げしてるような形にはならないでほしいと思っています」

(イット!8月24日放送より)