アメリカ産の輸入品が続々値下げ

2020年から大手スーパーは、元日に発効した日米貿易協定の影響によるアメリカ産牛肉の値下げを開始した。
日本とアメリカは2019年9月に農畜産品の関税引き下げなどを含む、日米貿易交渉の合意文書に署名した。

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これにより今後は、順次アメリカ産輸入品の関税が下がっていくため、さっそくイオンやイトーヨーカ堂などの大手スーパーが、アメリカ産牛肉の値下げに踏み切った。そこでアメリカ産の農畜産品が次々に値下げ。何が安くなるのか見ていく。

日米貿易協定の発効で関税が引き下げられ値下げが期待できる輸入品は牛肉・豚肉・小麦・果物類・ワインなど。

消費生活ジャーナリスト岩田昭男氏によると例えば、2019年までは38.5パーセントの関税がかかっていたアメリカ産牛肉が、100グラム250円だった場合、現在は26.6パーセントなので単純計算だと販売価格は229円になる。

大手スーパーでは何がどれくらい安くなるのか

スーパー各社は今後どんな輸入品を値下げする予定なのか。
イオンは1月9日から2月末まで全国の約540店舗でアメリカ産牛肉の販売価格を改定する。
値下げしたのは人気の高い牛肉ばら味付けカルビ、焼肉用など2種類。価格は100g148円が128円と10パーセントを超える値下げ。

また今後の値下げ品について担当者は…

イオンリテール広報部 大瀧和孝:
オレンジ・ブドウなどのフルーツは早ければ、1月に行うセールの中に一部の品目で組み込まれていることが考えられます

一方イオンの値下げに先駆けて、1月8日から6日間限定でアメリカ産牛肉の還元セールを全国133店舗で展開しているのがイトーヨーカ堂。
2019年の価格から約1割から2割引きにするのは、アンガスビーフ肩ロースステーキ用178円(100g税抜き)・牛網焼きバラカルビ焼用378円(100g税抜き)牛バラ煮込み用切り落とし148円(100g税抜き)の3種類。

さらに1月10日から値下げを開始するのが輸入品を数多く扱う成城石井。
1月9日、都内の店舗で行っていたのは値下げを店頭でアピールするためのPOP作り。値下げについて成城石井の担当者は…

成城石井商品部 服部吉宏部長:
当店ではワイン・クルミ・コーヒーなど約70品目を値下げします

値下げ期間は1月26日までで全国約170店舗で展開。
例えばワインはこれまで税抜き1990円だったものが、1690円になり、コーヒーも300円値下げするという。

アメリカ産の輸入品値下げが及ぼす悪影響

2019年の消費増税もあって街では期待が高まるアメリカ産農畜産品の値下げ。しかし、中にはこんな意見も…

女性:
アメリカ産牛肉が美味しかったら、国産牛は見向きもしないかもしれない

関税の引き下げ対象品についてはアメリカ産しか買わなくなるかもしれないという声。
国内の生産者への影響が懸念される中、北海道で牛の畜産業を営む男性に話を聞いた。

北海道で牛の畜産業を営む男性:
取引先のスーパーさんで以前よりも輸入牛の売り場の面積が増えたのを確認しております。
価格面ではとても太刀打ちできませんので率直に脅威を感じている

日に日に肌で感じるというアメリカ産の脅威。こうした現状に北海道で牛の畜産業を営む男性は…

北海道で牛の畜産業を営む男性:
(国産は)安心安全の面では優位性がある。
(生産者自ら)スーパーの店頭に立ってPRしたり、協力できることはありますので、どうにもならないような大きい物事に対しては組織となって国に要望を上げていく。
これしかないのかなとは思っております

取材した北海道で牛の畜産業を営む男性によると、最も恐れているのは今後も段階的に関税率が下がるということ。
牛肉に至っては2033年には現在の26.6パーセントから9パーセントまで下がり、それに伴い仮に値下げが続けば、日本の畜産農家にとっては相当な打撃になると懸念している。

(「めざましテレビ」1月10日放送分より)