社会人2部リーグ所属の「FCボンボネーラ」

岐阜県関市が本拠地のサッカーのアマチュアクラブ「FCボンボネーラ」。選手たちは普段、他の仕事をしながらアマチュアからの飛躍を目指し練習をしている。

2021年、このチームに元日本代表の点取り屋、ハーフナー・マイク選手が加入した。

チームが掲げるビジョンはJリーグ参入。専用のグランドもロッカールームもないチームだが、環境は十分に整っていなくても、選手たちには大いなる「野望」がある。

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岐阜がホームのサッカーチームと言えば「FC岐阜」。一方、関市がホームのチームは「FCボンボネーラ」だ。

午前中で練習を終えて、ある選手が向かったのは居酒屋。

始めたのはトイレ掃除だ。アマチュアクラブの選手の大半は、サッカー以外に仕事を持っている。

サッカーをする誰もが憧れるJリーグ。日本のサッカー界は、名古屋グランパスなどがしのぎを削るJ1を頂点にすそ野が広がっているが、Jリーグと呼ばれるプロリーグはJ3まで。

その下のJFL、社会人1部、社会人2部、都道府県リーグの4つはアマチュアリーグで、「FCボンボネーラ」は現在、このピラミッドの6番目に位置する「東海社会人2部」に所属している。

目指す頂は遥か彼方。しかし、大きな野望がある。

FC.ボンボネーラの監督兼代表の加藤益己さん:
アマチュア全国リーグのJFL、JFLの上がJ3。Jリーグのチームを倒して、ジャイアントキリングを起こせれば。

掲げるビジョンは「2023年にJFL、25年にJ3」。ボンボネーラの野望は、Jリーグ参入だ。

Jリーグ参入に向け超大型補強 ハーフナー・マイクが入団

Jリーグを目指すアマチュアクラブの選手。その経歴も様々だ。

契約を終え、Jリーグの舞台を離れた選手や大学卒業後すぐにチームに加わった選手など、30人がプレーしている。

そんなチームに2021年、野望実現への本気を象徴する“最終兵器”が加わった。元日本代表のハーフナー・マイク選手だ。

Jリーグはもちろん、海外のクラブでも活躍した点取り屋。父親はJリーグ発足当時から、グランパス不動の守護神として活躍したレジェンド、ディド・ハーフナーさんだ。

ハーフナー・マイク選手は、昨シーズン終了後に「FCボンボネーラ」が目指しているビジョンを聞き、「新しい挑戦ができ面白そう」と入団を決めた。

専用のグランドもロッカールームもない…あるのはJリーグ昇格への強い気持ち

力強い戦力が加わったボンボネーラ。今季(2021年)初の公式戦では、新エースも格の違いを見せつけ、9-0でFCオリベ多治見に勝利。

しかし、戦力がいくらアップしてもすぐには変えられないのが、アマチュアクラブの「環境」だ。専用のグラウンドはなく、毎日の練習は自治体の公共グラウンド。シャワーもロッカールームもない。あるのは「野望」と「気持ち」だ。

FCボンボネーラの選手(22):
大学卒業と同時には(プロに)なれなくて、諦めずにやり続けたら、こういういいチームに巡り合えるので、あのとき辞めなくてよかったなと思います。

FCボンボネーラの選手(21):
サッカーを続けたい、やるなら本気でいたいというのがあったので、この道に進みました。

サッカーを続け、アマチュアの舞台から飛躍を目指して…。

FCボンボネーラの加藤監督は、「今はプロはJ3まであり、若い選手が目指せる場所があるので、プロではないがプロ根性を持ちながらやっていきたい」と話す。

「頑張れば小さな町からでもJクラブが」20もの地元企業がチームを支える

今シーズンから導入した新しいユニフォームには、心強いサポートが集まっている。

関市に本社を置く建設会社「伸和建設」もチームを支えるひとつだ。アマチュアながら20社のスポンサーを持つFCボンボネーラは、選手自らも営業活動をしていて、多くの地元企業が彼らの「野望」を支えている。

伸和建設の社長:
小さな町からも、頑張ればJクラブができるんだよと。そりゃすぐにでも結果を出してほしいです、本音を言ったらね。

FC.ボンボネーラの監督兼代表の加藤益己さん:
(クラブを)大きくしていこうと思うと、スポンサーさまがついてくださるのはありがたい。ただサッカーするだけではなくて、地域に根差した、地域に特化したことをやりながら、応援して頂きたい。

チームを引っ張る元日本代表「一歩ずつみんなで成長していきたい」

「岐阜県サッカー選手権大会」の準決勝。

この日の相手は、同じリーグに所属する「長良クラブ」。2020年にこの大会を制し、天皇杯にも出場した。0-0でPK戦までもつれたこのゲームで、最後にPKを決め勝利を手繰り寄せたのは、やはりハーフナー・マイク選手だった。

ハーフナー・マイク選手:
最後、きっちり決められてよかった。一歩ずつみんなで、勝利をかみしめて成長していくクラブにしていければ。

「他のチームから目標にしてもらえるようなチームになれば、もっと岐阜が盛り上がる」と、加藤監督はチームの飛躍を願う。

2025年にJクラブに…岐阜のアマチュアサッカークラブの「野望」は本気だ。

(東海テレビ)

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