FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回取り上げるのは、経済部・井出光記者が伝える「電化製品などの事故の注意喚起映像 誰が作っている?」。

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事故の注意喚起映像は「NITE」が作っている

経済部 井出光記者:
まずはこちらをご覧ください。1カ月前(5月27日)に「イット!」で放送された映像です。トースターにたまったパンくずなどが原因で、発火事故が起きてしまうという注意喚起の映像になります…

経済部 井出光記者:
4月はキャンプ用のコンロ。3月は自転車。2月はモバイルバッテリーなど、生活に身近な電化製品の注意喚起を放送しています。こちらよく見ますと、小さな文字で必ず「nite」とロゴが入っています。この団体が映像を撮影し、提供していただいて私たちが放送しています

経済部 井出光記者:
NITEとは一体何なのか。ちょっと長い名前ですが、製品評価技術基盤機構National Institute of Technology and Evaluation)という経済産業省の傘下にある団体です。英語の頭文字をとってNITEと呼ばれています。全国11カ所に拠点があり、職員は約400人、全員が国家公務員です。製造業者や輸入業者に立ち入り検査をする強い権限を持っていて、さまざまな製品の安全性を確認して危険があれば注意喚起をする。それが彼らの仕事になります

経済部 井出光記者:
事故の再現映像制作もそうした一環なのですが、NITEの職員はある悩みを抱えていました。それがマンネリ化です。この時期ですとエアコンや扇風機の注意喚起が定番になっているのですが…

加藤綾子キャスター:
あ~なるほど。毎回同じような映像になってしまうということですよね?

経済部 井出光記者:
そうです。「これでは見ている人に飽きられてしまう」と職員たちは悩んでいました。そこで今回は最近見ることが増えた、携帯扇風機の注意喚起はどうかと思いついたわけです。実は携帯扇風機が炎上するなどの事故はこの2年(2019年から)で37件報告が上がっています。例えば、私たちが家庭で一般ごみとして捨てると、ごみ収集車に回収されたときに内部で圧力が加わり、中に内蔵されている電池が爆発する恐れがあります…

経済部 井出光記者:
では、こうしたことに対する注意喚起の映像はどのように撮影されているのか?今回私たちは特別に許可を得て撮影現場を取材しました

実験する職員の表情は職人さながら

経済部 井出光記者:
こちらは群馬県にあるNITEの実験センターで、さまざまな発火や爆発の実験が行われています。これは圧力を加える機械なのですが、この日はこれをごみ収集車に見立てて携帯扇風機をつぶし、発火させる実験を行っていました

経済部 井出光記者:
カメラは1秒に4000コマも撮れる特殊なカメラを使い、入念にセットし確認しながら撮影を行っていました。その表情は職人さながら。そしていざ発火シーンの撮影です

NITE 向井裕太さん:
注意喚起の映像としては若干、火を映したかったかなというのがあるので、今回狙った映像としてはちょっと失敗かなというところ

経済部 井出光記者:
実験は煙だけで失敗だったのですが、10回目でようやく成功してその映像がこちらになります。携帯扇風機に対して圧力が加わり、煙が出ると勢いよく炎が上がります。プレスを失敗の時より約2mm深く押し込んだことでうまく発火したのです。職員の中にはこの道、十年のベテランもいて、経験から2mmという変更を判断して、成功につながりました

加藤綾子キャスター:
やっぱり注意を促すために興味を持ってもらわないといけないですし。わかりやすく伝えないといけないというところ。そこが難しいですよね?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
アイデアがないとうまくいかないですね

加藤綾子キャスター:
今、(シャレに)お気づきでした?アイデアがないと(NITE)伝わらない…

映像の登場人物も職員が演じている

経済部 井出光記者:
ありがとうございます。テレビでは爆発映像に目が行きがちなんですが、実は身近なシチュエーションを想定したシーンもついています。ご覧ください。和室に一人の男性がいますが、壊れた携帯扇風機をごみ箱に投げ入れます。これが一般ごみとしてごみ収集車に回収され、発火事故につながる危険性を示しています

経済部 井出光記者:
実はこれを演じているのもNITEの職員なんです。なぜそこまでするのか。職員にお話をお伺いすると「少しでも印象に残る映像を見てもらって、自分事と思ってもらって事故を減らしていきたい」と語っていました

加藤綾子キャスター:
私たちが普段何気なく見てるその映像は、皆さんの苦労と努力の映像だということですよね?

経済部 井出光記者:
そうなんです。ですのでこれから大活躍の携帯扇風機は一般ごみとして捨てず、回収ボックスに入れるなどの必要があるので、捨て方は自治体のホームページで確認してください

加藤綾子キャスター:
ここはしっかりと私たちが確認しないといけないところですね

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
われわれも行動にむすびつけなきゃいけないですね

加藤綾子キャスター:
本当にそうですね

(「イット!」6月24日放送より)