街の喫茶店で愛される「ごまドレッシング」
醤油ベースにゴマと練りごまを使った濃厚なドレッシング。
島根県松江市の「喫茶MG」。50年以上にわたって親しまれる街の喫茶店だ。

今回注目したのは、喫茶MGブランドで売り出す「濃厚ごまドレッシング」(648円)。

柳瀬友美カメラマン:
ごまの風味が一気に口の中に広がります。少し酸味もあって、どんな料理にも合いそうです。
2020年9月から販売し、半年で1000本以上を売り上げる人気ぶり。取材したこの日も…
購入した常連客:
よく買います。人にもあげたり家で使ったり、ここにしかないので。

このドレッシングのカギを握るのは、安来市の大正屋醤油店。木樽で仕込む伝統の醤油など、その歴史は95年を数える。

店独自のドレッシングを東京の小売店に出しても、半年で約100本ほどの売れ行きだったが、喫茶MGのドレッシングは半年で1000本以上と、これまでの10倍。群を抜いた驚きの数字だ。

――こんなに売れると思ってなかったですか?
喫茶MG・浅野敦子さん:
もう全く思ってなくて。買ってもらった方がすごく喜んでくださって、作ってもらって良かったなと思って。

コロナ禍で売り上げ3割減…店の活気を取り戻すため
このドレッシング、実はコロナ禍の中で生まれた。
1969年に開店し、長く親しまれる喫茶MG。ヒレを使った人気のカツ丼に、手作り・作りたての飽きの来ない定食メニュー。長年通う常連客も多い人気店だ。

しかし…
喫茶MG・浅野敦子さん:
開店してからあれくらい人が少なかったのは初めてだった。(お客さんが)一桁だった時もあった。
2020年は新型コロナの影響でで4月、5月の売り上げが通常より3割減り、開店以来初めて経験する不安な日々が続いた。

そんな時に訪れたのが、約10年来の常連客で大正屋醤油店の営業部長である森山博己さんだった。
森山さんも醤油の営業を県外で約2年続けていたが、コロナ禍で思うように営業活動ができず、島根に戻っていた。そんな中、久しぶりに訪れた喫茶MGで店の窮状を知った。
大正屋醤油店・森山博己営業部長:
コロナでお客さまが減っていたので、なんとか少しでも役に立ちたいと思って。

森山さんがヒントを得たのが、喫茶MGのごまドレ。
濃いめでインパクトの強いオリジナルごまドレッシングを大正屋醤油店で作り、喫茶MGブランドとして売り出した。すると、発売から半年で1000本を超えた。

大正屋醤油店・森山博己営業部長:
そこまで売れたらいいなとは、実は考えていなかった。それが思わぬ結果で私自身、非常に驚いています。
「お客さんに恵まれた」客との縁を紡いだ52年
少しでも店に来るきっかけを作りたかったという森山さん。思わぬ反響に驚いたという。なぜこんなに売れるのか?その秘密はこんなところにもあった。
優しくお客さんに話しかける浅野さん。「あっちゃん」として、多くの客に親しまれている。

ドレッシングを購入した人も…
常連客:
頻繁に来ていました。
喫茶MG・浅野 敦子さん:
50年来の…
常連客:
年がばれます(笑)

昔からの常連客が購入。また、県外のかつての常連客にも広がっているという。その美味しさも重なり、リピーターも増え、売り上げにつながった。
大正屋醤油店・森山博己営業部長:
縁を大事にしてきた。地元のお客さまを喫茶MGさんが非常に大事にしてきた51年(52年)だと思います。その結果が、このごまドレッシングが1000本売れたということにつながったのかなと思う。

縁を大切にする52年の絆がつながった。
喫茶MG・浅野淳子さん:
このごまドレッシングのおかげで、絆が続いている。すごく感謝しています。いいお客さんに恵まれました。

コロナ禍の中で生まれた、喫茶MGのごまドレッシング。
濃厚なごまの風味。それを支えるのは、50年以上愛され続けた“濃厚な”店と客との絆だ。
(TSKさんいん中央テレビ)