コロナ禍で外食産業の不振が続くため、様々な愛媛県内産食材の需要が低迷している。
今回、注目するのは愛媛が誇る海の幸マダイ。
県内のある中小企業が持つ本格的な技術を使って、完全な「地産・地消」を目指す。

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いけすの中を元気に泳ぎ回るタイ…全国一の生産量を誇る、愛媛の養殖マダイ。
ただ、新型コロナの影響で2020年から全国的に飲食業の需要が落ち込んだため、出荷量は例年の半分程度にまで落ち込んでいる。

愛媛のマダイのおいしさを知ってもらい「少しでも消費の拡大につながれば」と、出荷先が無くなったタイを買い取ってサービスで配布したり、オリジナルの寿司を開発して販売したりと、「魚食」を盛り上げる動きも多くあった。

"農産業界"が海の幸の加工に参入

そんな中、魚にはまるで縁のない会社が今回、業界への参入に名乗りを上げた。

正本健太キャスター:
松山市内中心部にやってきました。食の応援を中小企業がという形で、立派な会社ですけれども、ここは何の会社なんですか?

中温・大澤邦夫社長:
私どもは農産物を加工している会社です

こちらは、サトイモなど県産野菜を下処理して袋詰め販売する食料品加工会社。
まるで畑違いな会社が水産物の加工販売に挑んだのは、農産品加工で培った技術を使って、養殖マダイに付加価値を付けようという勝算があった。

頭も骨もすべて食べられるように加工

中温・大澤邦夫社長:
農産物と水産物。それのコラボでいろんな商品を開発したい。特殊な技術、ノウハウでタイを骨のまま食べられる

コラボしたのは、タイをさばいて切り身などを提供する水産加工品会社。

中温・大澤邦夫社長:
背の部分と腹の部分、頭の部分や中骨の部分をもう少し付加価値を付けて、商品にするっていうことを考えたわけです

おめでたい食材として昔から日本人に愛されているタイ。
だが、実は骨など全体の約6割は、だしをとるなどのために使われるだけで食べられない部位。

中温・大澤邦夫社長:
この頭にしろ、中骨にしろ、中落ちが非常に機能性の部分でDHA・EPA・コラーゲン・カルシウムが非常に多かったことですね

スーパーで販売する切り身などの加工作業で出る大量の廃棄ロスを防ぎ、栄養価も高い食品を提供したい…大澤さんは農産品加工で培ったある技術を使って、画期的な商品を開発した。

中温・大澤邦夫社長:
農産関係ではペーストは非常にあるんですけど、農産物のノウハウを活かした中でペーストにしようと

正本健太キャスター:
きれいに切り落とした頭の骨の部分と中骨の部分ですか。これが食べられるんですか

中温・大澤邦夫社長:
そうです

もともとクリなどを真空調理しペースト状にする機械を使って、タイの頭や骨まで食べられる商品の開発に成功した。

正本健太キャスター:
本当に魚のつみれ状態というか。魚本来の苦味もありつつ、骨は全く感じないですね。つみれの団子のような味で。濃厚でおいしいです。これが捨てられていたって思うと、もったいない気持ちになりますし、ここまでタイも加工できるんですね

料理の幅が広がる商品も

大澤さんによると、本格的な真空調理技術で作った真鯛のペーストは愛媛県内初という。
まずは農産加工品とコラボして、「タイのペースト付のタケノコご飯の素」を県内のスーパーなどで販売している。

今後は、タイの切り身を低温調理して保存可能なパック商品として開発・商品化を目指している。

中温・大澤邦夫社長:
生産者からの意見を聞きながら、少しでも生かせられるような商品づくりを考えていきたいと思ってます

まるごと食べられるタイで需要を呼び起こし、さらにフードロスにも貢献し「タイ」もの。

(テレビ愛媛)

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