国が選定したSDGsのモデル事業として注目されている、愛媛・松山市の「スマートアイランド構想」。
過疎化や少子高齢化といった、離島が直面する課題を解決しようというこの取り組み。その柱となるのは「太陽光発電」。

散歩は小型の電気自動車で

松山沖に浮かぶ忽那諸島のひとつ、中島。
4月、島内にある高齢者福祉施設でSDGsに関するある実証事業がスタートした。

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高齢者を乗せて海沿いの公道を走っていたのは、ゴルフ場にあるカートのような車。
開放的なつくりが特徴的なこの車は「グリーンスローモビリティ」と呼ばれる二酸化炭素を排出しない小型の電気自動車。
最高速度は時速19kmとゆっくりだが、公道を走ることもでき、今 注目を集めている乗り物。

松山市総合企画戦略課・伊藤智祥さん:
中島は今、高齢化率が65%を超えておりまして、お年寄りが多い。人口も少しずつ減ってきております。お年寄りの移動手段というところが、これから課題になってきますので

この車に期待されているのは、離島などの過疎地域での高齢者の移動手段。
中島では年々深刻化する少子高齢化に伴い、高齢者が安心安全に移動できる交通手段の確保が求められていた。

松山市総合企画戦略課・伊藤智祥さん:
まずスピードが出ない。(時速20km未満の)最高時速が19kmになる。もうひとつの特徴が開放的ということで、オープンなので景色を味わいながら楽しく走れる

実証運行として、このグリーンスローモビリティが貸し出されたのは、約140人の高齢者が入所する特別養護老人ホーム「姫ヶ浜荘」。
デイサービスを利用する高齢者の送迎や散歩に使われている。

利用者:
海も見えるし、気持ちよかったです

利用者:
足も弱って家でごろごろしよるから、あんまり(外に)出ないから、乗せてもらうことがすごいうれしいです

利用者:
最高です。(スピード)ちょうどいいです。年寄りやけん、あんま早くない方がいいけん

姫ヶ浜荘・片山和子施設長:
今、コロナ禍でもありますし、車だったらどうしても密になるじゃないですか。これだったら風を感じていただいて、色んなところにも行けることができまして。
笑顔になっていただけるということで導入。在宅の方は、おうちでいる方もたくさんおられるので、少しでも外に出るということで気分転換を図っていただいて、楽しい生活をしていただく

このグリーンスローモビリティを使って松山市が取り組んでいるのが、離島の環境に配慮した観光都市を目指す「スマートアイランド事業」。
この事業は、企業や大学などで構成する松山市SDGs推進協議会と協働で行われている。SDGsの達成に向けた優れた取り組みとして「SDGs未来都市」など国のモデル事業にも選ばれている。

太陽光発電でCO2排出なし

その取り組みとして期待されているのが、「地産地消のエネルギー」。

市職員:
こちらの太陽光パネルで発電しています

島内にある中島総合文化センターの屋上を覗くと、そこには巨大な太陽光パネルがずらり。
ここには50kWの発電能力をもつ太陽光パネルが設置されていて、グリーンスローモビリティにはここで発電された電気が使われている。

松山市総合企画戦略課・伊藤智祥さん:
全国的にも、瀬戸内海が太陽光発電にすごく向いているといわれております。温暖な気候と少雨ということもありまして、中島で自然のエネルギーを生かして地域を活性化させようと考えております

目指すは太陽光エネルギーを活用した持続可能な地域社会。

松山市総合企画戦略課・伊藤智祥さん:
持続可能な地域ということで、当然島民の暮らしが安全安心を確保しながら、持続できるというもの。課題を解決しながら、にぎわいを生み出そうと。
これからほかの事業者、病院や介護系の事業者に使ってもらうような話をしている。宿泊者の島内散策にも活用していただくことで、どういったニーズがあるのかというところを調査していきたい

この事業の実証期間は2年間。高齢者の移動手段だけでなく、観光客の島内散策などにも活用していきながら、中島のにぎわい作りにつなげたいとしている。

(テレビ愛媛)