次々と買い求める“癒やしの食パン”
高級生食パンがブームになる中、愛媛・西条市の古民家カフェで作るこだわりの食パンが今、注目を集めている。
味もさることながら、人気のヒミツはそのフォルム。食べた人に福と癒やしをもたらしてくれるという。
地産地消がコンセプトの西条市の直売所「いとまちマルシェ」。

ある“癒やしの商品”を求め、次々とお客が訪れる。
買い物客:
息子が2歳になるんですけど、実家で飼ってる三毛猫が好きで、それで喜ぶかなと思って
買い物客:
ネコの形とかクマとか、ウサギさんとか、かわいいなと思って。切って楽しみながら家族で食べられたら楽しいなと思いました
買い物客:
楽しみです
かわいいパンの名前は、「福福ねこ食パン」に「畑のくま食パン」。

その名の通り、ネコやクマなどの顔をかたどった、こだわりの食パンだ。
松村光雄さん・流美さん夫妻が経営する古民家カフェ「CafePilz」内のパン工房「アヒルパン」で作っている。

ちなみに、アヒルパンの名前は、カフェでアヒルの「ベーグル」さんを飼っていることからつけた。

アヒルパン@CafePilz・松村光雄さん:
見た目もかわいくて、もちろん味もおいしいんですけども、見た目もかわいい商品になっています
この食パンは、カットすると、断面にかわいい模様が現れる。

カボチャやココア、イチゴなど、食材の色を生かしたデザインとなっている。

デザインは40種類以上 食材にもこだわり
脱サラして、2014年にカフェをオープンした松村さん。
2019年12月に開発したこのネコ型食パンを、店頭イベントやネットで販売したところ、かわいいデザインとほんのり甘い食感で、たちまち人気商品になった。

新型コロナの影響で、2021年4月からカフェは営業を自粛し、2人は今 食パンづくりに専念している。
アヒルパン@CafePilz・松村流美さん:
ベーグルを長いこと作ってたんですけど、ずっと食パンがしたかったんですよ。友達が「こんなネコの食パンの型があるよ」と教えてくれたのがきっかけです
パンづくりを一手に引き受けるのは、妻の流美さんだ。

食材には、こだわりがある。
農薬や肥料を使わず、米を栽培する西条市内の農家から特別に分けてもらった米こうじを使い、生地を発酵させる。

色や味の違う食材を練り込んだ生地の組み合わせで、デザインのパターンはどんどん増え、今では40種類以上に。
クマの食パンは、2021年1月に誕生したばかりの「畑のくま食パン」。トマト味で、愛称は「鎌田くん」だ。

「鎌田くん」には、西条市内の鎌田農園の形が悪かったり、傷があったりするため出荷できないトマトが使われている。

鎌田農園・鎌田竹広さん:
トマト栽培する上では、こういう形の悪いものが必ずできますから、こういうものの利用が広がれば、農家としても助かります
アヒルパン@CafePilz・松村流美さん:
上にスライスチーズとかを乗せて焼いてもらえると、ピザっぽくなるんですよ。トマト好きのお子さんに喜んでもらえると聞いたので、うれしいです
見た目の問題だけで売りものにならない野菜を有効活用する。
1人で手づくり…ネット販売も1カ月待ち
ただ、こだわりのパン作りは、全て流美さんが1人で手づくりするため、週に2回。どんなに頑張っても、1回に作るのは60個が限界だという。

かわいくておいしいアヒルパンの食パンは、イベントなどに出店すると、早い時には30分ほどで完売することもあるという。
全国にもファンが多く、ネット販売も1カ月待ちの人気ぶりだ。
アヒルパン@CafePilz・松村光雄さん:
小さな商品なんですけども、(食べて)福が来てもらえるような気持ちになってもらいたいと思います

アヒルパン@CafePilz・松村流美さん:
食べてくれる人のおなかと心を満たせたら、ちょっとでもワクワクしてもらえたら、うれしいです

ふっくら、そしてしっかりと焼き上げた食パンからは、幸せの甘い香りが漂う。

新型コロナの影響で、家に閉じこもりがちな毎日。かわいいパンが、少しでも癒やしを与えられたら…
アヒルパンは、きょうも心を込めてパンを焼き続ける。
(テレビ愛媛)