コロナ禍の巣ごもり需要から生まれた発想も…

愛知や岐阜のものづくりの企業がクラウドファンディングで資金を集め、自社の技術を生かして開発した、異なる分野の製品の展示販売会が4月24日、名古屋市中区で開かれた。

展示販売会が行われたのは、中区の久屋大通公園にある「FabCafe名古屋」で、愛知の企業3社と岐阜の企業1社が出品。

アイデアを持っている人や、生産技術のある企業などを繋いで、製品の製造から販売までをサポートする「AMN=愛知ものづくりネットワーク」が、東京のデザイナーを4社に紹介し、製品化を実現。開発資金はいずれもMakuakeで募った。

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愛知・春日井市で段ボールの緩衝材などを製造する「長江紙器」が出品したのは、高さ22センチ、直径が28センチの段ボールで作った組み立て式の子供向けの椅子で、背もたれのない「スツール」。

その見た目から「corncob(コーンコブ)=とうもろこしの芯」と名付けられた。

子供向けの製品でありながら、耐荷重は800キログラムで、大人も座ることができる。

6枚の段ボールから76の部品をくり抜いてプラモデルのように組み立てて作るが、工具も接着剤も不要。40分ほどで作ることができるという。

「長江紙器」の代表取締役・長江晃さんは、新型コロナウイルスの影響で家にいる時間を楽しんでもらおうと組み立て式にしたと話す。

クラウド・ファンディングで1月16日から3月15日の間、30万円を目標に資金を募り、約80万円が集まった。現在は7920円(税込み)で販売を始めていて、長江紙器では今後、足のある椅子や一緒に使える机などを作っていきたいとしている。

岐阜・大垣市の桝の製造メーカー「大橋量器」が出品したのは、冷凍したお米を電子レンジにそのままかけることができる桝のおひつ「COBITSU(こびつ)」。

開発のきっかけは、様々な商品を検討する中で「桝でお米を炊くことができないか」というチャレンジ。

水と米を入れて電子レンジで炊いたところ、お米はおいしく炊き上がらなかったが、その時のごはんとヒノキの良い香りに気づき、製品化を決めたという。

電子レンジ(500W)で3分温めると解凍でき、茶碗としてそのまま使えることも特長。

クラウド・ファンディングで1月30日から3月15日の間、20万円を目標に資金を募ったところ、約1040万円が集まった。

一般販売は10月からで、送料込みで5000円を下回る金額での販売を予定しているという。

愛知・幸田町で自動車に使うプラスチック部品を製造する「鈴木化学工業所」が商品化したのは、樹脂で作った急須「十年急須」。

こちらも、発想のきっかけは新型コロナウイルスの影響。家で過ごす時間が増え、お茶を飲んでリラックスしたり、集中力を高めたりする時間の重要性が高まっていると感じたという。

また、鈴木化学工業所が作っている自動車の冷却水を入れるタンクの形が、急須に似ていることも製作のきっかけになった。

急須は二重構造にすることで保温性を高め、飲みごろを長くキープできるように。樹脂で作ることで軽くなり、簡単に割れることもない。取っ手を一体化して持ちやすくするなど、使いやすさにもこだわった。

「十年急須」というネーミングについて、鈴木化学工業所は「車の部品は『耐久10年10万キロメートル』と言われ、それに倣って長く使ってもらえる商品にしたいという思いから名付けた」という。

クラウド・ファンディングで1月30日から3月15日の間、20万円を目標に資金を募ったところ、約220万円が集まり、現在は6000円(税込み)で販売されている。

愛知・西尾市の切削加工メーカーで、自動車や産業用ロボットの部品製造に強い「セイワ」が開発したのは、段ボール箱などを開けるための開梱ナイフ「OOPARTS-001」。

新型コロナウイルスの影響で宅配サービスが進み、段ボール箱を開ける機会も増えているが、開封をスマートにできないかと考え、OOPARTS-001にたどり着いたという。

この開梱ナイフは、円柱の金属を削って形作られているが、見た目はオブジェの様にシャレていて、インテリアにも最適だ。

九ラウンド・ファンディングで1月30日から3月15日の間、20万円を目標に資金を募ったところ、約176万円が集まり、現在は11,000円(税込)で販売している。

企画したAMNは、今後も暮らしを楽しく豊かにするモノを生み出し、ユーザーの心を動かすことのできる「コトづくり」を目指していきたいと話している。

東海テレビ
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