島根・浜田市の遊漁船の船長が、コロナ禍による経営難をきっかけに新ビジネスに踏み出した。「芋船長」と呼ばれている男性が新たな夢に向け大きく舵を切っている姿を追った。
サツマイモのつぼ焼きを新たな収入の柱に
浜田市の港で、主に県外客をターゲットに釣り船を運営する新井啓希船長(44)。
コロナ禍による移動自粛を受け、2020年は、それまで月約100人いた利用客が激減し、ゼロの日も続いた。

海宝丸・新井啓希船長:
随分、頭を抱えましたね。そこから県内のお客さんをという風に考えて、食べるものをと切り替えをしていきました。最近では芋船長と呼ばれています

この日、新井さんの姿が益田市内のショッピングセンターにあった。

原田笑アナウンサー:
いい匂いが漂っていますね。こちらは何屋さんですか?
海宝丸・新井啓希船長:
きょうは、つぼでお芋を焼いています

新たな収入の柱として2021年1月、新井さんが始めたのは、つぼを使った焼き芋の移動販売だった。「芋船長」と呼ばれるゆえんだ。

海宝丸・新井啓希船長:
戦中、戦後など、それぞれ厳しい時代があったけれど、それをずっと乗り越えてきたのがサツマイモ

海宝丸・新井啓希船長:
この苦しいコロナの時代においてもいけるんじゃないかと思ったのがサツマイモだった
あふれ出る蜜…昼過ぎには完売も
焼き方は、今流行している「つぼ焼き」だ。

海宝丸・新井啓希船長:
今もう蜜が出ていますね
コストを抑えるため、自身でつぼを開発。一般的なつぼの半分ほどの費用で開発に成功した。その全容は企業秘密だ。
サツマイモの選定や焼き加減にもこだわり抜き、約4カ月かけ、納得の味にたどり着いた。
海宝丸・新井啓希船長:
完成した時はうれしかったですね。すごく。先が見えました
一番のポイントとなる焼く時の温度も企業秘密。
徹底した温度管理で焼き上げること約2時間。芋から蜜があふれ出るのは、サツマイモの水分を閉じ込めて焼くつぼ焼きならではだ。

原田笑アナウンサー:
とろけます。すごく滑らか。のど越しまで滑らかです。甘みがぎゅっと濃縮されていて、とてもおいしいです

つぼ焼き芋は、1つ200円から500円で、週に4日ほど浜田や益田のスーパーなどで販売している。お昼過ぎには売り切れることもある人気ぶりで、月80万円の売り上げを目指している。
買いに来た人:
すごく、とろっとしておいしい。通りかかって見たら買うようにしています
買いに来た人:
ものすごくよかった、蜜たっぷりでやわらかくて。毎日来てほしいです
「小資本でも始められる仕事を広めたい」
コストを抑えたつぼの開発に成功したこともあり、新事業に用した資金は50万円以下。この経験をコロナ禍にいかそうとしている。
海宝丸・新井啓希船長:
フランチャイズも含めて、小資本でもスタートできる仕事を皆さんに広めていきたい

新井さんは、もう次の挑戦に向け動き始めている。
海宝丸・新井啓希船長:
ここは、カフェのイートインスペースになる予定ですね

アフターコロナを見据え、浜田市で空き家になっていた元歯科医院を改装。サツマイモスイーツをメインにしたカフェをこの秋、オープンしようと準備を進めている。
海宝丸・新井啓希船長:
小資本で始めた移動販売でも、固定店舗まで成長させられるというのを自分で示していきたい。それを若い起業家の皆さんにも示していきたい

コロナ禍をバネに新事業という大海原へ大きく舵を切った新井船長。その航海は始まったばかりだ。
(TSKさんいん中央テレビ)