パチパチと爆ぜる音と暗闇をほのかに照らす炎のゆらぎが魅力の“たき火”。そんなたき火を部屋の中でも楽しめる商品が7月29日に登場する。
(6月30日追記:発売日を2021年9月に延期)
それが、株式会社タカラトミーアーツの「FireWood Home(ファイアウッド ホーム)」だ。

組み上げたまきの形をした“たき火ガジェット”で、独自開発したプログラムで炎のようなゆらぎを再現したLEDライトと、内蔵されたスピーカーから聞こえるたき火の音(音量はミュート・小・大の3種類)で、本格的なたき火の雰囲気を楽しめるというもの。音は、里山に登って実際にたき火をして、火の燃える音やまきが爆ぜる音を収録したとのことだ。

たき火の“火をおこす行為”も味わえる
「アウトドアモード」と「ライティングモード」の2種類を搭載しており、雰囲気やシチュエーションに合わせて使い分けすることができる。
「アウトドアモード」は、火を付けてから消すまでをリアルな演出で、実際のたき火のように再現。マッチを擦るようにタッチセンサーをなぞると、まきの中にある「種火部分」にライトが点灯するのだ。
そして、ブレスセンサースイッチを指で押さえてから中央に息を吹きかけると、“種火”から炎のようにライトが強く点灯。“火”が弱くなった時には、再び息を吹きかけて炎のように大きくできる。なお、タッチセンサーを左右に繰り返しなぞることで消灯となる。

もう一つの「ライティングモード」は、インテリアライトとして楽しむことができるもので、LEDを5段階の好みの明るさで調整することが可能。またオート調整を選ぶことで、光が自動で変化し約2時間後に消灯させることもできる。

実はこの商品、2012年に発売した、部屋の中で渋いまきの光を楽しむ“大人のインテリア”玩具「FireWood」をリニューアルしたもの。今回の「FireWood Home」は、幅17センチ×高さ11センチ×奥行き16センチで、単3のアルカリ乾電池3本を使用する。
価格は5940円(税込み)で、全国の雑貨店、量販店、玩具専門店の玩具売場などでの販売を予定している。

本格的なたき火の要素を持ちながらも、自宅で気軽にキャンプ気分を味わえる「FireWood Home」は、現在も続く外出自粛の中で“おうち時間”を過ごすのにぴったりな商品かもしれない。
しかし、そもそもなぜ“たき火”に着目したのだろうか? 本物の炎に近づけたというその仕組みも気になる。タカラトミーアーツのライフ企画課、FireWood Home開発担当の村田素子さんに話を聞いてみた。
たき火の心地よさを自宅で味わってほしい
ーー「FireWood Home」を開発することになったきっかけは?
2012年、当時の担当者が無類のたき火好きで、このたき火の心地よさをご自宅でたくさんの人に味わってもらいたいと思い企画したと聞いております。

ーー他にも、たき火に着目した理由はある?
当時の担当者が“たき火好きだった”というのもありますが、今回(2012年発売のFireWoodをリニューアルし)再販売をしたのは、アウトドア需要の高まりもあり、FireWood発売当時よりも多くの方がたき火の良さに魅せられているのでは…と裾野の広がりを感じたからです。
また、「おうちキャンプ」「べランピング」などの言葉もあるように、コロナ禍で外出も気軽にできない中、アウトドアの楽しみを家の中で味わうといった新しいトレンドにぴったりの商品だと考えたためです。私も感じていますが、炎を眺めて音に耳を傾けていると、不思議と気持ちが安らぎます。そんな癒しをご家庭でも味わっていただければと思います。

純粋な“たき火音”のみを収録するのに試行錯誤
ーー炎の揺らぎを独自開発したプログラミングとは?
LEDを独自のリズムで程よくちらつかせることで炎の揺らめきを表現し、種火プレートという本体中央のプレートを不規則に揺らす機構を取り入れることで、炎をリアルに再現しています。
ーー2種類のモードを作ったのはなぜ?
たき火の行為そのものを味わっていただくのがアウトドアモードです。火が消えてしまいそうになったり、そこに空気を入れることで、火を育てるといった行為そのものを楽しむためのモードです。
ただ、実際にご自宅で楽しまれているときにはTVを見たり、他の作業をやられながらたき火を感じたいという方もいらっしゃるかと思います。そういった方のために、火を育てる手間のかからない、ライトとして楽しむライティングモードもご用意いたしました。

ーーこだわりの部分を教えて。
たき火の音にこだわりました。前回の商品(2012年発売FireWood)では、たき火の音がイメージと異なるというコメントや音のループが目立つというコメントがありました。そのため、今回はリアルな音にこだわり、里山で実際にたき火をしてその音を収録しました。
何度か試す中で、爆ぜる音が小さくて空気の音が大きいと、実機を通すと雨のような音に聞こえたり、実際のたき火を前にして聞く音と家でたき火をイメージして聞く音には若干の違いがあることが分かったりと、いろいろと課題も出てきて、どうしたら自然のたき火の音に近づけるのかを何度も試行錯誤して制作しました。
ーーでは開発過程で苦労したのも、やはりたき火の音?
こだわり部分と同じく、たき火音を収録するのに苦労しました。キャンプ場では人の声や鳥の声、車の音、自動販売機の音など意識はしないけどたくさんの音が混ざっています。そういった音のない場所を求めて、人里離れたところに機材を持ち込み、静かに静かにたき火を収録しました。機材を近づけたいけど燃えたら困る…というドキドキもありました。
ボーっと何も考えないでいる時間を提供
ーーオススメの使用方法は?
お部屋を暗くしてお試しいただくのが良いかと思います。20歳以上のお客さまには、暗い部屋でお好きなお酒を用意していただき、晩酌しながらぼんやり眺めてもらえればと思います。

ーー実際の使用感はどうだった?
たき火の音と光は不思議と頭の中で考えていたことを忘れさせてくれる効果がある気がします。とにかくボーっと何も考えないでいる時間ができます。
ーー3月16日に発表してからの反響は?
「欲しい」「炎に癒される」「晩酌のお供にしたい」など、たくさんのお声をいただきました。予約数も非常に好調です。そういったお声・反響をいただきありがたいです。たき火ファンの広がりを感じます。
ーー「FireWood Home」を手にした人にはどういった気持ちになってほしい?
今はいろいろと状況が見えないこともあり考えてしまうことも多いかもしれませんが、この商品を使ってとにかく何も考えずにボーっとしてほしいです。

炎の揺らぎを再現したライトという視覚からだけでなく、苦労を厭わずにこだわり抜いて収録された“純粋なたき火音”という聴覚からの演出で、より本格的なたき火が再現された「FireWood Home」。
これがあれば、外出する機会が少なくなったという人はもちろんのこと、外に出るのを面倒に感じる人でも、家の中でたき火体験ができ、手軽にリラックスタイムを手に入れることができるかもしれない。
自宅で“炎”に癒される体験をしてみたい人は、購入を検討してみるのもいいかもしれない。
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