「信用していいのは私だけ」いびつな支配関係

福岡・篠栗町で、当時5歳の息子を餓死させた事件。
逮捕・送検された母親とその「ママ友」の女のいびつな関係が、次第に浮彫になってきた。

2人の女が親しげに写っている一枚の写真。
保護責任者遺棄致死で逮捕、送検された碇利恵容疑者(39)と、知人の赤堀恵美子容疑者(48)だ。

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碇容疑者ら2人は、2019年8月頃から、当時住んでいた篠栗町のマンションで碇容疑者の三男、5歳の翔士郎ちゃんに十分な食事を与えず、餓死させた疑いが持たれている。

福岡県警捜査一課・平瀬正孝課長:(記者会見)
(Q・食事を与えなかった理由は)

碇家に入ってくる収入。これを赤堀が搾取したということが根っこ(にある)

写真の笑顔とは裏腹に、赤堀容疑者はいびつな支配関係を築き上げていた。

「ママ友があなたの悪口を言っている」
「あなたの夫が浮気をしている」
「信用していいのは私だけ」

赤堀容疑者のウソを信じ込んだ碇容疑者は次第に周囲から孤立し、2019年5月には離婚。
その後、赤堀容疑者は浮気調査費用や元夫との裁判名目で、碇容疑者から多額の現金を騙し取った疑いがあるという。
貯金も含め、碇容疑者が渡した現金は1千万円を超えると捜査関係者はみている。

当時、碇容疑者の知人にはこんな電話がかかってきていた。

碇容疑者の知人:
(電話で)旦那と離婚して家賃が払えなくて大変だから、お金を貸してくれないかという内容でした。その後、毎日(電話があった)。1週間ほど、トータルで数百件になるのかな。
泣きつくような人では無かったので、ちょっとびっくりはしました

「言いつけを守れない子には食事を与えるな」

電気・ガスなどを止められ、困窮を極めた碇容疑者に対し、赤堀容疑者は金銭を騙し取る代わりに僅かな米やパンを差し入れ、「言いつけを守れない子には食事を与えるな。監視カメラ10数台で見張っている」などと食事を制限していた。

その後の捜査関係者への取材で、翔士郎ちゃんは長期に渡る空腹やしつけといった虐待のストレスにより、免疫に関する臓器「胸腺」が萎縮。

また、死亡したときの体重は5歳児の平均の半分ほどにあたる10.2キロで、胃に食べ物は殆ど残っていなかったという。

碇容疑者は容疑を認めている一方、赤堀容疑者は…
「食事の管理はしていない」

この事件を巡って、児童相談所と篠栗町が会見を開いた。

児童相談所・担当者:
家庭訪問を行っているが、なかなかお会いできなかった

2019年9月、幼稚園からの通報を受け、篠栗町などは16回に渡って家庭訪問を実施。
しかし、翔士郎ちゃんに会えたのは5回にとどまったという。
その際、赤堀容疑者による妨害を受けたことも明らかにした。

児童相談所・担当者:
母親と話をしている時に間に(赤堀容疑者が)入ってきたり、家庭訪問を行った際になぜ来たのか?と言われたことはある
(Q・痩せてなかったのか)
捜査の都合で言えない。傷は無く、顔色も良かったので、差し迫った危険は無いと判断

幼い命を未然に救うことはできなかったのか―?
今後、第三者機関による検証が行われる可能性が高いという。

(テレビ西日本)

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