プラモコンテストで子どもの作品に誹謗中傷
小学6年生までの子どもを対象にしたプラモデルのコンテスト「こどもプラモコンテスト21」をめぐって、子どもの作品に関する“誹謗中傷”があり、それに対して主催者が出した“声明文”が話題になっている。
「こどもプラモコンテスト21」は、三重県伊勢市にある、プラモデル工房を併設したカフェ『ホビーカフェガイア』が主催する、プラモデルの大会。

参加者は“完成したプラモ作品の写真”を送り、それを「参加者」「特別審査員」「作品のページを見に来た全ての人」の投票で“最優秀賞”などが決まる仕組みだ。

作品の募集は1月1日から始まり、参加者の作品が公式サイトに掲載されているのだが、参加者の作品に対して、以下のような誹謗中傷がSNSに書き込まれたのだという。
「親が作って、こどもの名を借りて投稿している」
「(制作に使用されているツールは)小学生が使うのは間違っている」
誹謗中傷に対する主催者の“神対応”が話題
これを受け、「こどもプラモコンテスト21」の主催者は1月14日、公式サイトに声明文「参加作品に対する第三者からの中傷について」を掲載。
声明文を知らせるTwitterの投稿には、1万1000以上の「いいね」がついている。
[公式声明]
— こどもプラモコンテスト (@KidsPlamo21) January 13, 2021
1/12に複数しました、参加作品に対する誹謗中傷につきまして、このたび公式声明を発表させていただきました。
特にお子さまと保護者さまには、この度の事態を深くお詫びいたしますとともに、今後の当方の対応について、どうかご一読いただきたく存じます。https://t.co/OEfFF4tTJP
そこでは、「根拠なき発言が外部の第三者から、お子さまの作品に向かって突きつけられる現状は、主催者としてもイチ模型人としても、また小学生の子を持つ者としても、ただひたすら悲しいことであります。今後、このようなことがないよう、また発生してもお子さまや保護者さまが悲しい思いをしないよう、ここに主催者として声明を出させていただきます」と前置きしたうえで、子どもたちに向けて、以下のようなメッセージを投げかけている。
プラモデルを作っているお子さまたちへ
インターネットの中には、本当のことを見ないで好き勝手に人の悪口をいうおとなが、ほんのちょっとだけいます。
悪口というのはとても強い言葉です。そのため、とても目立ってしまいます。
だから、インターネットや、知らないおとなの人のことを、みんな怖く思ってしまうかもしれません。
そんな世の中にしてしまったのは、わたしたちおとな全員です。ごめんなさい。
悪口を言うおとなはほんのちょっと。
プラモデルが好きなおとなの中には、悪口を言わない良い人のほうがいっぱいいます。
でも、ほんのちょっとでも、自分が楽しく作ったプラモデルの悪口を言われるのはイヤですよね。
このお手紙を書いているわたしは、51歳のおじさんです。
みなさんと同じようにプラモデルが好きで色々作っている、小学校2年生の女の子のお父さんでもあります。
そんなおじさんが、みなさんにお約束します。
悪口を言うおとなを今すぐいなくするのは、おじさんの力が足りなくてむずかしいです。
そのかわり。
悪口を見つけたら、おじさんがそのおとなに、ちゃんと説明します。
ちゃんと話をして、わかってもらえるようにがんばります。
みなさんの、プラモデルを作ったり好きな色にするのが楽しいその気持ちと、作ったプラモデルをみんなにじまんする場所は、おじさんが必ず守ります。
悪口を言うおとなのことはおじさんにまかせてください。
そしてみなさんは、プラモデルを楽しく作って遊んで、それをみんなにじまんしてください。
この声明文について、Twitter上では「素晴らしいお心遣いにじーんときました」「勇気ある行動に敬意を評します」など、称賛するコメントが多数、寄せられている。
「こどもプラモコンテスト21」の開催は今回が初めてだというが、どのような思いがあって、開催を決めたのか?
また、称賛のコメントをどのように受け止めているのか?
「こどもプラモコンテスト21」を主催する『ホビーカフェガイア』の齋藤憲一さんに話を聞いた。
子どもたちのプラモ作品を発表する場がなかった
――「こどもプラモコンテスト」はいつからやっている?
今回が初めての開催です。
――どのような思いがあって、開催を決めた?
「子どもの市場規模の縮小への懸念」と「子どもたちの作品の発表の場を作りたい」という思いがありました。
プラモデルは今、30代半ば~50代前半がメインターゲットになっていて、子どものプラモデルの市場は縮小しています。明らかに低年齢層が減っています。
また、大規模なプラモデルのコンテストは、子どもの作品の発表の場として機能していないと感じていました。
現状、15歳以下が作品を発表できる全国規模の場は3つしかなく、そのいずれも、参加できるジャンルが限定されています。コロナ禍でプラモデルに注目が集まっているのに、子どもたちは作品を作っても、それを発表する場がない。
こうした状況を受け、「こどもプラモコンテスト21」の開催を決めました。
現時点で4~5歳の子どもたちもコンテストに参加し、作品の写真を送ってくれているので、やってよかったなぁと思っています。

「正直、驚いています」
――「運営からのお知らせ」に対し、Twitter上では大きな反響、好意的な感想が寄せられている。これはどのように受け止めている?
自分としては当たり前のことを書いたと思っているので、正直、驚いています。
――コロナ禍でプラモデルに注目が集まっているという実感はある?
実感はあります。
作品を作る際に使う塗料などが手に入りにくくなったときに、注目が集まっていると感じました。
――プラモデルを作る子どもが増えたという印象はある?
これまではありませんでした。
ただ、今回、コンテストのために送られてきた作品の写真を見ていると、プラモデルを作る子どもは増えた、と感じています。

「お子さん自身に選ばせてあげてください」
――コロナ禍でプラモデルに興味を持ったお子さんをお持ちの親御さんに何かアドバイスはある?
お子さんと一緒に売り場に行って、いろんなプラモデルを見せ、お子さん自身に選ばせてあげてください。
大人が初心者向けとして選んだものを作るのではなく、自分で選んだ好きなものを完成させるのが大事なんです。プラモデルを完成させたときの達成感を味あわせてあげてください。
――コロナ禍のおうち時間で、子どもたちにどのようにプラモデルを楽しんでほしい?
リアリティなどに縛られる大人と違い、子どもの想像力、妄想力は仮に突飛であっても、それは面白いものです。
その妄想をプラモデルで具現化して、楽しんでほしいです。

三重県では県独自の「緊急警戒宣言」が出され、影響が出ている
――『ホビーカフェガイア』がある三重県では県独自の「緊急警戒宣言」が出された。売り上げに影響は出ている?
県独自の「緊急警戒宣言」は一部のエリア(桑名市、四日市市、鈴鹿市)が対象で、(ガイアがある)伊勢市は対象外なのですが、それでも影響は出ています。
ただ、宣言の対象外なので、協力金は支給されません。
――今、どのような支援が必要?
「持続化給付金」は、うちは100万円でした。1カ月で考えると、8万円です。
支給から1年(=12カ月)が経ったタイミングで、もう一度、持続化給付金を支給するなど、(給付金の)ボリュームの調整はほしいと思っています。

「こどもプラモコンテスト21」の作品の募集期間は1月31日まで。
投票期間は2月1日~2月14日までで、結果は2月20日に発表される。
小学6年生以下のお子さんをお持ちの方は、温かい主催者のもとで開催されるこのコンテストに、おうち時間を活用してチャレンジさせてみるのはいかがだろうか。