“視聴者と双方向”でネット販売
動画をライブ配信し、視聴者がリアルタイムで質問をしながら商品を購入できる新しい形のネットショッピング「ライブコマース」。
コロナ禍で一次産業の売り上げが冷え込む中、新たな取り組みとして注目されている。
キーワードは、「リアル」と「デジタル」。
リポーター:
いかがですか、こちらの絶景ですよ! 四国のイタリアですから。イタリアは地中海に囲まれていますが、宇和島は宇和海に囲まれています
愛媛・宇和島市の三浦半島先端に位置する宇和島市菰渕(こもぶち)。

ここで行われたのは、今注目の「ライブコマース」。
ライブコマースとは、インターネットを使ったライブ配信で、視聴者と双方向のやり取りをしながら商品をネット販売するという新しい取り組み。

動画配信の現場をよく見ると、撮影に使っているのは、ごく普通のスマートフォン。配信もパソコン1つで行うという手軽さ。
技術スタッフ:
今、カメラあそこにあるじゃないですか。カメラ(映像)を電波で飛ばして、こちらに送るんですね。そして、ここで音もあわせてインターネットに送って、インターネットから皆さんに配信するという感じで皆さん視聴できる
こうして、ネット配信された動画は…
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
今配信が始まりました。次々とコメントが届いているんですが…え! すごい。中国からも見てるんですね

イベントは、事前にインターネットなどで告知していて、ネット配信されたこの動画は、世界中どこでも見ることができる。
“リアル”な魅力を配信…動画を見ながら質問も
この日紹介したのは、宇和海で養殖されている高級魚「スマ」。“全身トロ”のふれこみで全国に売り出しているが、新型コロナの影響を受け、飲食店などへの出荷が激減している。

神明水産・田中俊也さん:
(このスマは)朝8時に釣ってきました。すぐ後ろのいけすで養殖しています
この水産会社では、菰渕で養殖したスマを切り身やハムなどの商品にしてネット販売。
そしてライブ配信では、リアルに魅力を感じてもらうため、目の前でスマをさばく。

リポーター:
赤身なんですね
神明水産・田中俊也さん:
赤身の魚で脂がのってるので、きれいなピンク色
リポーター:
カツオと似てる?
神明水産・田中俊也さん:
カツオ・マグロ系の魚
ライブコマースの1番の魅力は、ライブ動画を見ながら質問できるところ。この日も実際に、こんなやりとりがあった。
スタッフ:
「配送どうやってするんですか?」って(という質問がきてます)。配送方法! 冷蔵? 冷凍?

神明水産・田中俊也さん:
冷蔵で送ります
テレビ愛媛本社からパソコンで見ていた名護谷アナも…
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
お刺し身がすごくおいしそうだったんですが、やっぱりお刺し身なんですかね、一番おすすめなのは。ちょっと聞いてみます。反応してもらえるかな
スタッフ:
田中さんの好きな食べ方教えてって
神明水産・田中俊也さん:
僕は、握りがおすすめ。脂が多い魚なので、酢飯とすごく合うんですよ

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
すごい、しっかり答えてくれました。うれしい
そして画面の中には、商品購入の案内が。
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
今紹介されているおいしそうなスマですが、オンラインで、この場で注文することもできるみたいです。「カートに入れる」を押せば購入できるんですね

動画画面からスムーズな導線で商品購入を促す。まさに、デジタルでリアルな体験ができる新鮮な感覚。
県外の視聴者も多数…コロナ禍の新たな活路に
この日 1回目の配信が終わった。途中、通信状態が不安定になるトラブルもあったが、宇和海という絶景をバックに、商品の魅力は十分に伝わった。
ライブ配信を企画した「クリエ」・出口友子代表:
今ので(視聴数は)どのくらいだった?
スタッフ:
390(人)
ライブ配信を企画した「クリエ」・出口友子代表:
(想定と比べると?)もうちょっと頑張りたいですね。でもいい数字。(どのくらい売れた?)まさに今連絡が、「売れたよー」ってメールで来てるので

この日はスマ以外にも、みそなどの加工品や、真珠、養殖鯛も販売。コロナ禍で地域経済が冷え込む中で、手探りではあるものの、新たな活路を見いだした。
神明水産・田中俊也さん:
リアルな質問が来るので、どう対応していけばいいかが今後の課題かなと思います。生産者は、そこまで(販売戦略に)関わってこなかったので、そういうことも時代が変わっていく中で対応しなくてはいけないのかな

みそなどを販売した「井伊商店」・井伊友博さん:
リアルタイムでお客さんのコメント欄とか見えて、いろいろ刺激をもらいました。こういった時期なので、こっちに来て直接買うのが難しいので、すごくいいイベント、ライブ配信だったと思います

ライブコマースを企画した「クリエ」によると、この日3回のライブ配信の視聴者は、約2,200人。その半数は、東京や大阪など愛媛県外からの視聴者だった。

またアンケートでは、購入した78%の人が「愛媛を応援できるものを買いたい」と答えていて、手応えを感じている。
ライブ配信を企画した「クリエ」・出口友子代表:
リアルなイベントで集客ができない今、ライブコマースで前向きな新しいことができるということに、プラス売り上げにも貢献していけたらいいなと。四国のものが海外に売れることを目指して。WEBは国境を超えるので、そこが愛媛に売り上げをもたらす意味では、可能性があるビジネスではないかと思う

ライブ配信で愛媛の魅力を知ってもらい、地域経済を後押しする。
コロナ禍でのリアルとデジタルの融合は、大きな可能性を秘めている。
(テレビ愛媛)