いま列島でイノシシによる被害が相次いでいます。
その背景には、豪雨災害を引き起こした記録的な秋の長雨の影響がありました。
階段状に美しい水田が連なるのは、日本の棚田百選にも選ばれている広島・安芸太田町の「井仁の棚田」です。
実りの秋を迎え、稲の収穫を終えた棚田には異変が。
乾燥させるために干している刈り取った稲が、イノシシによって食べられ、地面に稲が散乱している様子がみられました。
イノシシによる食害です。
イノシシの被害について、近隣住民は「聞いてますね。田んぼの中を歩かれたりしている。中には歩いて足跡もあるのと…。あとちょっとで収穫なのになってところでやられるので」と話します。
この棚田付近では9月、道路を歩く親子とみられるイノシシの姿がありました。
棚田の周辺ではイノシシの目撃情報が相次ぎ、作物が荒らされ、地域の住民が対策に追われていました。
被害が相次いだ井仁の棚田では、今週、2回にわたってドローンを使った上空からの調査を実施しました。
ドローンには熱を感知する赤外線カメラを搭載。
棚田周辺の山林などを約1時間捜索しましたが、イノシシは確認できなかったといいます。
井仁の棚田の農家:
(イノシシが)やぶやら雑草の陰にいたら分からんし、結果的には所在も分からなかった。
集落の周囲には約4kmにわたって防護柵が設置されていますが、被害は拡大するばかりだといいます。
秋が深まる中で全国各地で相次ぐイノシシ被害。
その背景には、列島を襲ったある異常気象の影響が指摘されています。
映像に映るのは、激しく土を飛ばし鼻先で地面を掘るイノシシです。
千葉・館山市ではこの秋、イノシシの捕獲数が急増。
地元農家17人で構成された「布沼イノシシ捕獲隊」が連日、捕獲活動に取り組んでいます。
取材班は30日朝、捕獲隊が仕掛けたわなの見回りに同行しました。
周囲には、イノシシの足跡や掘り返した跡があちらこちらにみられました。
30日、わなにかかっていたイノシシはいませんでしたが、至る所でイノシシの痕跡が見つかりました。
捕獲隊の早川さんが記録している捕獲ノートを見ると、ここ1カ月の捕獲数は17頭。
2日に1頭のペースで捕獲されていました。
布沼イノシシ捕獲隊・早川満隊長:
特に今回、千葉豪雨とか大雨で、土砂崩れに伴って木が倒れれば餌も食べるものもなくなり、その分、下におりてきたんだなって。
豪雨の東京で餌不足になり、人里に下りてくるイノシシが増加したと話す早川さん。
被害は農作物にも及んでいます。
コメ農家・佐野亮太さん:
見てもらったら分かる通り、この黒いところが全部イノシシで荒らされちゃってる状態。
イノシシに掘り起こされ荒れ果てた田んぼ。
コメ農家・佐野亮太さん:
稲がある時とかはイノシシの臭いがついてしまったり、稲刈りが終わってお米にしたときの販売価格に数十万円ぐらいは被害が出てる。
取材班が訪ねたのは、館山市などで捕獲されたイノシシなどをジビエとして加工・販売する施設。
2027年は異例のペースでイノシシが運び込まれているといいます。
館山ジビエセンター・沖浩志代表:
一番昨年度がすごく多くて、年度で800頭ぐらい来た。今年はまだ半年ちょっとだが、もう650頭ぐらい。下手したら1000頭超えてしまうのかなと。
秋の長雨による山の変化で人里に下りてきたイノシシ。
ジビエセンターの沖代表とともに向かったのは、豪雨によって栗林ごと流された現場です。
館山ジビエセンター・沖浩志代表:
もともと栗がたくさん落ちていたのが、豪雨災害の時に一通り落ちて、今度土砂崩れが起きたので、イノシシここで(栗を)食べていたやつがエサ(栗)がなくなってしまったので。(イノシシが)周りに散らばって、一部は里に下りていく。
