たびたび起きるウナギの“産地偽装”事件。
10月には京都市でウナギ料理店などを経営する社長の男(54)が逮捕された。
この事態に様々声が・・・。
ウナギ卸業者:『またか』という感じでもありますし。
ウナギ専門家:お店も“国産”扱っていると集客能力があがる。
ウナギ産地偽装の背景にある闇と実態を徹底取材した。
■ウナギの産地を偽装して販売か
「土井活鰻」社長 土井貴史容疑者:うちはさばきたてのウナギを炭焼きしている。
取材に対してウナギへのこだわりを語り、軽快な手さばきでウナギを焼く男。先週、京都府警に逮捕された。
京都のウナギ料理店『土井活鰻』の社長・土井貴史容疑者(54)は中国産のウナギを国産と誤認させるような表示をして販売した不正競争防止法違反の疑いが持たれている。
3年前、関西テレビが店を取材した際には…。
「土井活鰻」社長 土井貴史容疑者:先祖代々愛知県三河産が取引先で、息子も修業に行っていたくらいで、ひいおばあの時代から続いている。
これは警察が押収した店のメニュー表。
『愛知県一色町から厳選して仕入れております』などと表記。
一方で、押収された段ボールをみると「中国産」となっている。
警察はこれが「国産である」と“惹起させる”表示と判断し逮捕に踏み切りした。
調べに対して土井容疑者は「産地偽装とは思っていない」と話し、容疑を否認している。

■店の女将「利益目的でもないです。国産と中国産で変わらない値段で仕入れていました」
一体、どういうことなのか?「産地偽装」の認識について店を取材した。
店の女将:中国産のウナギを愛知県の三河一色の業者から仕入れていました。お客様に安心してもらうために『三河一色から仕入れている』と書いていました。認識があいまいでした。
では、客をだまそうとする意図があったのかと問うと…。
店の女将:ありません。利益目的でもないです。国産と中国産で変わらない値段で仕入れていました。時期によっては、中国産の方が高い時もあります。
冬などは中国産の方が国産より質がいいため、店で提供していたというのだ。

■店は現在も営業 中国産ウナギのうな重「味で判別するのは難しい」
逮捕の翌日、店に行ってみると…。
記者:逮捕の翌日のきょうもお店は営業しています。
実際に記者が店を訪れ、商品を購入してみた。
記者:うな重を買うことができました。店員の方に話を聞くと、現在は中国産として販売しているようです。
質のいい中国産ウナギとは一体、どんなものなのだろうか?
記者:しっかり炭火焼のにおいがする。身も肉厚で、重量感もあってしっかりしている。歯ごたえもあって、国産として出されたら一般消費者としては、味で判別するのは難しい。
素人が見分けるのは困難なウナギの産地偽装。
これまでも、たびたび起きていた。
2010年には、大阪の水産加工会社の役員が逮捕。4年前には、奈良県の会社で偽装が発覚した。

■養殖ウナギの産地表記のルールは「一番長く養殖された場所」
なぜ、産地偽装は繰り返されるのか?取材班はウナギの卸業者に話を聞くことができた。
こちらで取り扱っているのは、基本的には愛知県産の国産ウナギだが、中には中国産を要望する卸先もあり中国産のウナギも取り扱っているという。
その違いを見せてもらうと…。
うなぎじん田 甚田國晴社長:国産、こいつが中国産。ほぼ一緒です。同じウナギです。
同じ品種の左側は国産のウナギ、右側は中国産のウナギ。並べてみても見分けはつかない。
甚田社長によると食用のウナギにはニホンウナギ、アメリカウナギなどいくつかの種類があるが今、日本で流通している中国産ウナギの多くが「ニホンウナギ」だ。
この状況が、産地偽装が相次ぐ原因となっているという。
実は養殖ウナギの産地表記のルールは、“どこで稚魚がとれたか”や“種類の違い”ではなく、「一番長く養殖された場所」が産地となる。
つまり同じニホンウナギでも、養殖された場所によって中国産や国産に変わるのだ。

■プロでも見た目・味で判別するのは難しい
うなぎじん田 甚田國晴社長:さばいて焼いてしまえば、一般的には国産と同じように見えます。見ても分からないと思いますし、食べていただいても、分わからないと思う。
(Q.パッと出されて、どちらか分かる?)
うなぎじん田 甚田國晴社長:言われても、答えることはできないと思います。
同じニホンウナギなら国産と中国産を見た目や味で判別することは、プロでも簡単ではないという。
うなぎじん田 甚田國晴社長:(偽装は)繰り返されるのではないかと思ったりはしてます。今後、ウナギのシラス(稚魚)の価格でどうなるかわからないですけど。それによってはまた出てくるかもしれない。
中国産の方が安ければ、国産と偽ることでその分利益を多く上げられる。
ただ、それだけではない現状もあるのではないかと甚田社長はいう。
うなぎじん田 甚田國晴社長:昨今の値段の差はそんなにない。外国産であろうが国産のウナギであろうが、そんな差はないんですよね。ただ一つ言えるのは、やっぱり外国産、特に中国に関しては1年間通して安定した品質のうなぎが送られてくるのかなあとは思います。

■中国産ウナギの品質はウナギのぼり
安定して品質もいいという中国産のウナギ。
一体、どんな場所で養殖されているのだろうか。
“ウナギの聖地”ともいわれる中国広東省・台山市。
あわせて3000万平方メートル以上、甲子園球場865個分以上の広さの養殖場がある。
広大な土地を生かして、安定的に毎年日本へおよそ4000トンのウナギを出荷。
日本からの品質への要求が高いことから、近年そのレベルもウナギのぼりに向上しているという。
ウナギの生態や養殖に詳しい北里大学の吉永教授は、中国産のウナギについて…。
北里大学 吉永龍起教授:いま国内消費に関しては、中国産の方が国産を上回っていますので、中国産がこれからなくなることはないでしょうし、品質に関してはそれほど変わらないんじゃないか。

■国産ウナギはブランド化 「消費者に安心を届ける」
品質の良い中国産ウナギの台頭で、国産ウナギは苦しい状況になっているのだろうか。
れいわ水産 田川裕二代表:これが美陵鰻(みささぎうなぎ)です。
大阪府藤井寺市で国産のウナギを養殖するれいわ水産。上質な味を追求するため、エサなどにこだわりウナギを育てている。
れいわ水産 田川裕二代表:魚粉と栄養素が入ってる10種類以上のものを一緒に入れてるんですけど、1日1回。もっと大きくなったら1日に2回あげるときもありますけど、その辺はバランスみて、あと体調みてやってますね。
さらに、こちらでは、大阪産「美陵鰻(みささぎうなぎ)」として打ち出すことでブランド化を進め、消費者に安心してウナギを食べてもらう取り組みをしている。

■生産者と飲食店の距離を近づけ信頼を高める努力も
田川代表は取り引きをしている飲食店とウナギを使った新メニューの試食会を開くなど生産者と飲食店の距離を近づけることで、お客さんへの信頼を高める取り組みをしている。
とある試食会では参加したお店から好評の声が。
この時期におすすめのウナギの鍋、記者も食べてみると…。
記者リポート:臭みもなくて、噛めば噛むほどウナギの味が染み出てきますね。
れいわ水産 田川裕二代表:(産地は)安心の部分だと思いますけれども、国産だから安心だっていうわけでもないですし、中国産だから悪いわけではないので、生産者側と店舗側との協力で情報をもっともっとオープンにしていくのが大切だと思います。

■「システム作りが必要」と専門家
業界全体の信頼を傷つける産地偽装。
これをなくすための対策について専門家は…。
北里大学 吉永龍起教授:(産地を)調べるのがなかなか難しい問題でもありますので、実際にウナギが最終的に我々の食卓にどう並ぶかというところまで、ちゃんとトレース(追跡)できるような、そういったシステム作りが必要だと思います。
私たちがおいしく安心してウナギが食べられるために、生産者から消費者までのルートの透明化が求められている。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月27日放送)


