止まらない個人情報の流出。
流出した個人情報は闇サイトで販売されることもあるといい、売買された情報を元に、なりすましなどの詐欺行為が行われる危険性があるということだ。
様々な詐欺グループへ直撃取材多数の犯罪ジャーナリストの多田文明氏が、最新の詐欺の手口を解説した。
■不安につけ込む詐欺が増える
サイバー攻撃を受けた岩井コスモ証券で4975人分の個人情報が流出していたことが判明。さらに7口座分で、客の意図しない売買注文が発注され、うち5口座で取引が成立していたと発表された。
また、26日にはJR3社で会員約17万人のメールアドレスなど個人情報が漏えいし、家電量販店「ジョーシン」では最大600万件を超える個人情報が漏えいした可能性が報じられた。
情報漏えいの件数は、9月以降だけで可能性も含めると1億件以上とも言われ、「自分の個人情報はすでに流出していると考えたほうがよい」という意見も。
多田氏:もう売られちゃってると思ったほうがいいですね、完全に。
多田氏によると、「詐欺グループは最新の個人情報を得て犯罪行為に及ぶ」という。
多田氏:特に今、不安になっています。こういう時に電話やメールで『あなたの個人情報が漏れています』と言ってくる可能性がある。

■進化して再流行 架空料金請求詐欺
多田氏がまず解説したのは、架空料金請求詐欺。ショートメッセージで未納料金を請求する、昔からある手口だ。
従来は文面に電話番号が載っており、かけると“詐欺師”であるオペレーターが出て、お金の請求や個人情報の聞き出しが行われていた。
現在は文面に載っているのはURL。タップすると偽サイトに未納料金が表示され、「電話はこちら」のボタンを押すと、“オペレーター”につながる。
多田氏は、この変化の理由を次のように説明する。
多田氏:電話番号を載せて送ると、この電話は詐欺だということが分かってしまって、警察に通報されたり、ネットで拡散される。そうなると詐欺ができなくなるので、タップさせることで、(詐欺側の)電話番号がばれずにずっと詐欺ができる。
心当たりのない金融会社の名前であれば、利用していない人はアクセスしない。しかし、実際に利用している人に当たればよいという、“数を打つ”手口だという。
そこに個人情報の流出が重なる怖さがある。本当の取引先が知られてしまえば、利用中の銀行やクレジット会社を名乗って、ピンポイントでうその連絡が来る恐れがあるためだ。
対策として多田氏は、URLをタップしないこと、連絡が必要な場合は自分で正規の連絡先にアクセスすることを挙げた。

■同情を誘う“農園詐欺”に直撃取材
2例目は、多田氏が独自取材したケースだ。
最近、SNSには次のような投稿が出回っている。
SNSの投稿:助けてください。実家の新鮮な桃がピンチです。両親が人生を捧げて育ててきた新鮮な桃。今年は大豊作ですが、行き場がなく、このままでは木の上で腐ってしまいます。
このように“苦境”を訴えるうえ、「1箱12個入りで1,000円」と安く旬の果物でもあるため、つい購入する人がいるという。
多田氏:すべてが詐欺というわけではないものの、詐欺サイトにつながることが割と多い。
実際にSNSで広がって大変な状況の農家が助かったという実例もある。
本当に困っている農家の声が届きにくくなる点も問題だ。

■突然届く「口座凍結のお知らせ」
多田氏が“助けようとする体”で申し込むと、メッセージアプリにつながり、宅配業者のサイトで購入を申し込む流れになった。
申し込み後に表示されたのは、実在する大手を思わせる名前の宅配業者名義の画面だった。
見出しは「口座凍結のお知らせ」だ。
購入者が「実名認証」を完了しなかったため、注文と口座残高が一時的に凍結された、凍結金額は626万4850円だと書かれていた。
意味が分かりにくい内容ですが、多田氏によれば、「購入者が実名認証をしないせいで生産者の口座が凍結され、荷物を発送できない」という趣旨だ。
農家を助けたい優しい人ほど、急がなければと焦る。
URLにアクセスすると警告が表示され、送り状を取得するよう促される。押すと「送り状の取得に失敗しました」と出て、カスタマーサービスへの問い合わせを求められた。

■個人情報を聞き出しサポートセンターへ
ここで初めて、宅配業者を名乗るアカウントと直接やり取りするようになる。
多田氏が解除の方法を尋ねると、「実名登録」を完了すれば自動的に解除されると返答がある。
必要な情報として挙げられたのは、名前、電話番号、生年月日、銀行名だ。口座番号は不要とされ、実名認証は無料、詐欺ではないとも書かれていた。
多田氏が情報を伝えると、「銀行に確認する」との返信があり、今度は「サポートセンターと友達になってやり取りするよう」案内された。

■電話で明らかになった手口
多数の“直撃取材”を経験している多田氏。
サポートセンターに電話をかけ、その様子を録音した。
通話相手はまず、銀行の公式モバイルアプリの有無を確認し、口座のスクリーンショットを送るよう求めた。
この“要求”について、多田氏は「預金状況を把握し、ターゲットにすべきか、どのくらい引き出せそうかを見極めているのだろう」と分析する。
さらに相手は「実名認証」の手続きに「模擬振込」で認証を行うと続ける。
多田氏が「模擬振込は具体的には?」と聞くと、通話相手は「普通の振込と同じ形で認証を行います。システムから発行された認証シリアル番号を手順に従って入力して、できたら『手続完了』画面が表示される。お金がなくなったり、引き落とされることはない」と説明した。
多田氏:そんなもの(「模擬振込」)は存在しません。ネットバンキングの口座からお金を送金させようとしている。『模擬振込』で振り込んでしまった場合は、お金が戻ってこない可能性が非常に高い。
理解が難しい言葉を出し、説明するふりをしてお金をだまし取る手口だという。

■詐欺師は優しく説明する
多田氏が「お金をだまし取られたりしない?」と尋ねると、通話相手は「詐欺の疑いがあるなら、宅配業者か警察に確認してもよい」という趣旨を述べた。
多田氏が続けて宅配業者の事務所の場所を聞くと、「東京の板橋の事務所」と答えたため、住所を尋ねたところ、「少々お待ちください」と言われたまま電話を切られた。
多田氏は何度もかけ直したが、翌日にはアカウントが消えていたということだ。
相手の声について「外国籍の人が日本語を話しているような印象で、日本語が上手だと褒めると口が軽くなった」ということだ。
“詐欺師”は説明するふりをしながら優しく話してくるという。
注文した物が届かないため、もう一度振り込んでしまう人も多く、被害が出ているということだ。

■購入履歴を悪用した連絡にも注意
今後、多田氏は、「特に旅行の予約履歴に注意が必要だ」と指摘する。
過去の予約が知られていれば、旅行会社や予約内容を持ち出して連絡してくる恐れがある。
詐欺かどうかの見分け方について、多田氏は次のように指摘する。
多田氏:メールで来た内容はみんな疑ってください。そして、公式に自分でログインしたサイトで全部調べてください。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年10月27日放送)


