個人情報を“人質”に取る形で、ネット上への公開を迫る。
GMOへのサイバー攻撃で、これまでにない手口が明らかになりました。
きょう=27日の正午過ぎには、1人分の個人情報が掲載されたとみられるサイトが公開され、攻撃者は毎日正午に公開を続けると予告しています。
■GMOにサイバー攻撃 身代金要求 そして“個人情報”とされる内容がWEBに
今月20日、GMOのFXサービスのサーバーに対する不正アクセスが確認されました。
その後、利用者に身に覚えのない取引が行われるなどの被害が発生しています。
その4日後の24日、“攻撃者”を名乗る側が声明を発表。
その内容は、顧客情報と引き換えに100万ドル(=およそ1億6000万円)を要求するものでした。
そして27日の正午過ぎ、1人分の個人情報が掲載されたとみられるサイトが公開されたのです。
“攻撃者”はさらに、順次、毎日正午に公開を進めるという脅迫的な予告もしています。
公開されたと“個人情報”は、名前、顔写真、住所、電話番号、使用している金融機関、家族構成、そして使用したことがある通販サイトにまで及んでいます。
個人情報の真偽は不明で、GMOは「事実と異なる内容が含まれる恐れがある」として内容を精査するとともに、「情報を取られる」としてアクセスや拡散をしないよう求めています。
■「取り返しのつかない被害」 自己責任ではないとの指摘
エッセイストの犬山紙子氏は「お金の場合は、補償しますということで取り返せるかもしれないんですけれども、個人情報は、真偽は分からないとしても、これが公表されるということは、本当に取り返しのつかない被害だと思います」と話しました。
さらに、犬山氏はこの先にも続くと“予告している”いう点を「本当に悪質」だと指摘しました。
一方で、被害に遭った側の責任ではないとも述べました。
【犬山紙子氏】「資産運用が勧められ、デジタル化も進めなければ社会が回らない状況のなかで受けた被害は、決して自己責任ではないと思う。被害者への十分なケアをしてほしい」
GMOはホームページで、公開された情報と称するものにアクセスしたり、拡散したりしないよう注意を呼びかけています。ネット上に公開されれば不特定多数が見られる状態になるため、事態はより深刻です。
■専門家「こうしたパターンは見たことがない」
サイバー攻撃に詳しい大阪大学の猪俣敦夫教授は、今回のケースについて「こういったパターンは見たことがない」と指摘します。
猪俣教授によると、盗んだ情報はダークウェブに出すのが一般的で今回のように公開する形で“人質”に取ることは、これまでなかったといいます。
これが新たなサイバー攻撃の形になるのではないかと懸念される中、犬山氏は「周りも、GMOではないものを使っている人たちも、みんな戦々恐々としています。本当に難しいと思うんですけれども、しっかりとした対策をしてほしいです」と話しました。
■「集めない、出さない」企業と個人にできること
ジャーナリストの浜田敬子氏は、「企業がセキュリティを堅牢にしても、それを破るAIの進化が上回っている。そのため、不正を完全に防ぐのは難しい」と指摘しました。
そのうえで挙げたのが、個人情報を必要以上に集めないという対策です。
【浜田敬子氏】「FXの取引をするのに、身分証明は必要だと思いますけど、家族構成や通販履歴はいらないですよね。年収はどれくらいか、持ち家かどうかまで、マーケティングの一環として集めていたわけです」
企業はこれまで、営業やマーケティングに使えるかもしれないとして、多数の個人情報を集めてきたと指摘し、企業は必要以上に集めず、個人も任意のアンケートには答えないなど、できるだけ出さない。まずはそこから進めるしかないと指摘しました。
■身代金「払えば払うほど、ターゲットになっていくことも」
攻撃者が企業に対して出している身代金要求への対応について、浜田氏は次のように話しました。
【浜田敬子氏】「払えば払うほど、ターゲットになっていくということもあると思います」
「JIPDEC 企業IT利活用動向調査2026」によると、身代金を支払った会社のうち、システムやデータを復元できなかったケースが多くあり、払ったからといって、個人情報が取り戻せるわけでも、現状が復元できるわけでもないといいます。
浜田氏は「(支払ったことにより)『これは取れるんだ』と別の人たちに思わせ、同じ手口の犯罪を誘発することにもなる」と指摘し、身代金は「絶対に払ってはいけない」と述べました。
■「国家間のルール作りが必要」
浜田氏は、「最も必要なのは、AIに関するルールを国家間で決めること」だとも訴えました。
AIの悪用によって個人情報の漏えいだけでなく、フランスではスーパーマーケットの冷蔵庫の温度が上げられる事案があり、インフラへの攻撃もあり得るといいます。
米中首脳会談では、AIのルールについて合意に至りませんでしたが、誰もがどの国でも被害に遭う恐れがある以上、国家間のルール作りが必要だと指摘しました。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月27日放送)
