大唐人神輿が道後に戻ってきた
松山秋祭りの見せ場といえば、『神輿』同士を激しくぶつけ合う「鉢合わせ」だ。
道後温泉駅前に集まった観客の前で、男たちの気迫と歓声が広場を包む。
その熱狂の中に7年ぶりに姿を現した1体の神輿がある。
コロナ禍やかき手同士のけんかで一度は活動を休止した「大唐人神輿」が、地域の声に押されて復活を果たした。
2019年を最後に休止へ
市内各地で繰り広げられる豪快なけんかみこし。
松山秋祭りの中でも多くの観客で賑わうのは、神輿同士が激しくぶつかり合う道後温泉駅前の鉢合わせだ。
祭り直前のこの日、本番に向け練習を行っていたのは「大唐人神輿」だ。
重さ800キロほどある神輿同士が助走をつけてぶつかり合う鉢合わせを、けがなく行うためには、入念な手順の確認が欠かせない。
大唐人神輿はコロナ禍やかき手同士のけんかが続いたため、かき手が少なくなり、2019年を最後に活動を休止していた。
しかし、今回地域住民らからの熱い要望を受け、他の町内会の力も借りて7年ぶりに復活することになったのだ。
練習の中心を担うのは、髙須賀昭憲副頭取と杉原勝樹小頭だ。
杉原勝樹小頭は「これまで、他地区の神輿からの誘いもあったが、よその法被の袖を通すぐらいなら、ずっと出ている大唐人の法被に袖を通したい。かといって見に行っても『さみしいな』が一番あった」と話す。
髙須賀昭憲副頭取も気持ちは同じだ。
「やはり7年間、僕を含め忘れている部分がみんなあるので、思い出しながらやっているのが現状。令和ならではの大唐人の新しいお祭りをしようと頑張っている」
かき手たちにとって、待ちに待った復活だ。

待ち望んだ宵宮にかき手も気合十分だ
今月5日、今年も祭りが始まった。
宵宮に合わせ、5台の神輿が大街道商店街に集結。
髙須賀至大頭取は、練りを前に熱く語った。
「大唐人神輿、7年ぶりに宵宮に大切な仲間とともに、戻ってくることができました。大切な秋祭り、大切な神輿の伝統文化を次世代に継承できるよう、これから頑張りますのでよろしくお願いします」
待ち望んだ宵宮に、かき手も気合十分だ。
「ついに7年ぶりに復活したなという気持ちで臨んでいる。新しい子がいっぱいいるので、みんな一人一人が楽しく、けがなく、事故なく、それだけです」
副頭取の髙須賀さんは、はやる気持ちを抑えながら、責任者として祭りに臨む覚悟を語った。
そして、迎えた祭りの最終日。
待ちに待った瞬間がやってきた。

180人のかき手が鉢合わせの会場に堂々の入場
「おい、今から宮出しぞー!しっかり行くぞー!ええなー!元気出していくぞー!」
祭り最終日、大唐人神輿の180人のかき手は鉢合わせ会場に堂々の入場を果たした。
観客の熱気を前に気合いも高まる。
神輿のかき手たち:
「親がやっていて、自分自身は小さいころから見ていたが、入るのは初めてで友達らを連れて来ました」
「やっぱ楽しみですね。それだけっす」
「やるぞー!オー!」
対戦相手は「小唐人大神輿」、今年1回きりの真剣勝負だ。
少し押し込まれはしましたが、7年越しの思いをのせて正面からぶつかり合った。
大唐人神輿の代表は熱く語る。
「やはりこうやって集まって、みんなで久しぶりにやれたということが一番うれしい。これはこれで一つの糧になって、今後のやる気が出てくる部分になるのではと期待している」

地元のサポートが活気ある巡行につながる
道後で熱い戦いを終えた神輿が地区に帰ってきた。
「おかえり~」
地元町内会のメンバーが中心となって作った温かい豚汁が、かき手たちの疲れを癒した。
こうした地元のサポートが、活気ある巡行につながっている。
地区の人たち:
「年寄りでもワクワクして『すごいな』『楽しいな』っていう感じ」
「伝統文化の継承という意味でも、地域としても大事にしていかないといけないと思っているので一言、うれしい。うれしいです」
杉原小頭も「やはり笑顔が見られたので、子供たちも大変喜んでいたので、とてもそれがうれしかった。もう解散とか中止とかが無いように、人間のけんかもゼロでルールを守って、みんなが楽しいお祭りになっていけば」と語った。
髙須賀副頭取は力強く語る。
「7年ぶりに地元に、神様連れて帰ってこられたことが、地元の方含め、かき夫みんな喜んでいるので本当にうれしく思います。せっかく7年ぶりに復活できたので、今年でまた終わるのではなく、来年・再来年とずっと続けていくことが僕たちの役目だと思っています」
大唐人神輿は今、再び新たな歴史を刻み始めた。


