秋が深まるなか、今年の冬は「暖冬」になると予想されている。その背景にあるのは、過去最大級とも呼ばれる「スーパーエルニーニョ現象」だ。スキー場の経営、冬の味覚・寒ブリの水揚げ、そして立山の積雪量まで、富山県内の各所に影響が及ぶ可能性がある。一方で、「雪の日が少ない=雪が降らない」ではないという点も見注意しなければならない。

今冬の予報は「暖冬」 その背景は「スーパーエルニーニョ」
気象庁は、12月から2月にかけての気温が平年より高く、降雪量は少なくなると予想している。その主な要因とされるのが「エルニーニョ現象」だ。南米チリ付近の海水温が平年より高くなる状態で、発生した年には日本が暖冬になる傾向がある。
今年はさらに深刻で、基準値を4度も上回る過去最大級の規模となっている。「スーパーエルニーニョ」とも表現され、通常のエルニーニョ現象よりもさらに強い暖冬傾向になる可能性がある。
「県内で一番標高が低い」となみ夢の平スキー場の不安

暖冬の影響をもろに受けるのが、スキー場だ。砺波市にある「となみ夢の平スキー場」は、エルニーニョ現象が発生し記録的な暖冬となった2018年度、わずか6日間しか営業できなかった過去を持つ。

山本建一さんは「県内で一番標高が低いスキー場なので、暖冬になればもろに雪が降らない影響がある」と話す。今シーズンも例年通り12月のオープンを見込んでいるものの、「雪が資本になってくるので、雪がないと無理だな。泥の上をソリで滑るわけにもいかないので」と表情を曇らせる。
富山市の牛岳温泉スキー場も、今シーズンの営業開始を例年より1週間遅らせる方針を示しており、雪不足への警戒感が県内各地のゲレンデに広がっている。
スポーツ用品店にも影響 予約は例年比1割減

スキー・スノーボードのシーズンレンタルを扱うスポーツ用品店「アピアスキースノーボードシーズンレンタル」でも、暖冬の影が忍び寄っている。沢田裕実さんによると、現在の予約は約350人で、例年より1割ほど少ない状況だ。


「去年よりは出だしが遅いように感じる。今年暖冬だけどどうなのかねという声はよく聞く」と沢田さん。過去暖冬の年は、シーズンレンタルだけでなく、短期間で安く借りられる特別プランも検討していたという。「暖冬だと(売上が)落ち込むということで、何か対策を立てなければという感じで」と、先を見越した動きを始めている。

冬の味覚・寒ブリの水揚げにも影響か


暖冬の影響は、富山の冬の食卓にも及ぶ可能性がある。本格的なブリシーズンの到来を告げる「ひみ寒ぶり宣言」で知られる氷見のブリ漁が、今年は厳しい状況に置かれるかもしれない。

富山県水産研究所の野原葉研究員は「漁獲には結びつかないような環境の条件がそろってしまう」と指摘する。直近でスーパーエルニーニョとなった2015年度の冬は、水揚げが少なく宣言自体が出なかった。

その理由は海水温の変化にある。暖冬で沖合まで海水温が高くなると、ブリの回遊範囲が広がり、富山湾の沿岸に設置された定置網にかかりにくくなるとみられている。野原研究員は「昔はとれなかった南方系の魚で増えている魚も何種類か。とれる魚類の変化があるのは事実」とも述べており、温暖化による長期的な漁業環境の変化が着実に進んでいることをうかがわせる。
立山の積雪、過去最少になる可能性も


山岳エリアへの影響も深刻だ。立山の雪を研究する富山大学地球環境科学の青木一真博士は、近年、暖冬となる年が明らかに増えていると話す。「最近はやっぱり冬でも雨が降ったりとか、積雪量が少なくなってきている。標高が雨と雪の境が上がっている。山を見ていると、地球環境の変化がいち早くわかる」と青木教授。今年の冬、室堂の積雪量が過去最少となる可能性があるとしている。
「雪が少ない」ではなく「降る日が少ない」 ドカ雪への備えも必要

ただし、暖冬予想だからといって、まったく雪が降らないわけではない点には注意が必要だ。スーパーエルニーニョが起きた2015年度の冬にも、1月の1週間で80センチ以上の雪が降った記録がある。
「エルニーニョ現象だから雪が少ないのではなく、雪の『降る日が少ない』ということだ。

実際、県内の年間降水量のデータを見ると、近年でもその総量にはほとんど変化がない。雨の降らない日が増える一方、降るときには一気に降る――。暖冬の年も同様に、雪の日数は少なくても、ひとたび降れば「ドカ雪」になる可能性は十分にある。
(富山テレビ放送)

