富山県内でインフルエンザの流行が続いている。これからの時期は感染症に特に注意が必要だが、長引く咳や痰に悩んでいる人は、インフルエンザとは別の病気である「NTM症」の可能性もある。近年患者が増えているというこの感染症について、富山大学附属病院の医師の話をもとに、症状や対策をまとめた。

「NTM症」とはどんな病気か

NTM症は、「非結核性抗酸菌」という菌による肺の感染症である。この菌は土や水の中にいる。

初期段階ではほとんどが無症状だという。進行すると、咳や痰が長引くようになる。その後、微熱や体重減少が現れ、さらに痰に血が混じる、咳と一緒に血が出る、呼吸不全といった症状につながることもある。

特に中高年の女性を中心に、患者数が多いといわれている。
富山大学附属病院第一内科の徳井宏太郎診療助手は、症状の特徴を次のように説明する。

「症状が出始めるとなかなか治らない咳と痰という形に。2週間以上経っても一切、改善のない咳や痰という場合、診察・レントゲン検査を」
インフルエンザと違い、人から人へはうつらない
注意したいのは、NTM症がインフルエンザのように人から人へうつる感染症ではない点である。
原因となる菌は、浴槽の給湯口やシャワーヘッドなどの水回り、そして土の中に存在している。これを吸い込むことで感染するという。
年間2万人以上が新たに発症、県内でも「10年で増えた」

新たに発症する人は年間2万人以上とされ、右肩上がりに増えている。
徳井診療助手は、県内の現場でも増加を実感しているという。
「(県内で)実際に診療していても、疑い、あるいは確定診断に至った患者は明らかにこの10年で増えていると思う」
増加の要因は、具体的には明らかになっていない。そのうえで徳井診療助手は、高齢化や生活環境、ライフスタイルの変化を挙げ、次のように指摘する。
「家庭の中の水道回りやお風呂の環境、設備が昔とは変わってきていることが患者数の増加と関連しているかもしれない」
また、医療者側の認知度や診断技術が向上したことも、患者数の増加に影響しているという。
進行すると命に関わることも ただし極端に恐れる必要はない
NTM症が高度に進行すると、肺の中に大きな空洞ができることがある。呼吸不全に至り、命に関わる可能性もある疾患だ。

一方で、急速に進むような性質の感染症ではないといい、徳井診療助手は冷静な対応を呼びかける。
「極端に恐れるのではなく、医師と相談しながら検査や治療を進めて」
家庭でできる感染対策
菌は身近な場所にいるため、日常生活での対策が大切になる。
お風呂場の対策
シャワーヘッドは清掃や交換をする。浴槽や給湯口も、ぬめりをしっかり取るように掃除する。こうした対策が菌の繁殖の予防につながる。
家庭菜園やガーデニングの対策
土埃は菌を吸い込むリスクにつながる。作業の際にマスクを着用すれば、そのリスクを減らすことができる。
2週間以上続く咳や痰は受診を
インフルエンザの流行が続くなか、咳や痰があると風邪や流行性の感染症だと考えがちである。しかし、2週間以上たっても改善しない場合は、NTM症の可能性も頭に入れておきたい。
診察やレントゲン検査を受けるとともに、浴室や庭仕事といった身近な場所での対策も心がけたい。
(富山テレビ放送)

