人手不足が深刻な保育現場で、その担い手になると期待されているのが、資格を持ちながら現場を離れている「潜在保育士」です。
週5日勤務の働き方を「1日2時間から」に変えることで、潜在保育士に現場復帰を促す取り組みが広がっています。
富山市ののぞみ保育園。0歳児から5歳児まで約80人の子どもたちが通っています。
子どもたちの様子をそばで見守る高井安代さん(56)。高井さんはこの施設に毎日出勤しているわけではありません。
この日はおやつや昼ごはん、お昼寝などで忙しい朝9時からの6時間だけ働くことになっていました。
高井さんが利用しているのは「ちょこっとほいく!」という人手がほしい保育施設と少しだけ働きたい人をつなぐアプリです。
ちょこっとほいく!では、働く時間は1日2時間から。単発での利用も可能で、保育施設が掲載する求人を見て、働く時間などの希望の条件とあえば申し込む流れです。
2年前からこのサービスを利用している高井さん。短大を卒業後、10年ほど幼稚園で働いていましたが、2人目の子どもの出産を機に退職。
専業主婦を経て子どもが手を離れたタイミングでパートを始めましたが、今はより自分のライフスタイルにあった働き方ができる「ちょこっとほいく!」で3つの施設を掛け持ち、週に2日から3日働いています。
*ちょこっとほいく!利用者 高井安代さん
「幼稚園勤務はやめたが週1回とか2回でも保育の仕事がないかなと思っていたので。仕事がない日は運動したり家の事、親の事に時間をつくったりできる。バランスがとてもいい」
保育園はイベントや活動次第では、普段より多くの人手が必要になります。
また園に通う子どもの数は4月以降にも増えることがあるため、園の経営にとっても、「ちょこっと」の求人が助かるといいます。
*のぞみ保育園 辻澤亮子園長
「ちょこっとは本当にスポットなので必要なかったら募集しなくても全然OK。パートを雇用すると全て保障しないといけない。法人としてはそれよりも必要な時に必要な人が来てもらえるシステムがありがたい」
人手不足が続く県内の保育現場。求職者1人当たりに対して、企業から何件の求人があるかを示す有効求人倍率は今年8月時点で3.12倍で、去年よりを上回っています。
さらに昨年度、富山県内で新たに保育士として登録された人は、257人と10年前から半減しており、保育士の確保は急務となっています。
*新田知事
「潜在保育士の皆さんが現場に戻ってくる機会が生まれることで、復職への不安感を徐々に取り除き、継続的な就業や中長期雇用など人材確保につながる可能性これらを検証していきたい」
県は潜在保育士が現場に戻ってもらえる環境を整えるため、今年8月にちょこっとほいく!を活用した実証実験を開始。
期間中、通常、施設側にかかる利用料を無料にすることで、サービスの利用促進を図り潜在保育士の掘り起こしにつなげるのが狙いです。
その結果、登録施設は約2カ月で12施設から31施設に増加。アプリを利用し、11人の潜在保育士が施設とマッチングしました。
さらに、ちょこっとほいく!は保育を学ぶ学生も利用することができ、将来的な保育士の確保にも効果が期待されます。
この日は、アプリの運営会社が富山福祉短期大学の学生に向け、マッチングの仕組みを紹介しました。
*学生
「短時間ということでいろいろ行けるから行ってみたいと思った」
*教員
「短時間だとプレッシャーも少ない?」
*学生
「はい」
*学生
「自分の気になる園に行けるのにプラスしてお金をもらえるのはうれしい」
*アプリの運営会社エンパワー・サポート 高井新司代表
「保育士不足というのは採用の問題というよりは構造の問題だととらえている。はじめはちょこっとだが長く保育を続けてもらうための仕組み。最初からフルだったら誰もやらない。きっかけは小さく、小さく始めて大きく伸ばしていくことを僕たちは仕組みで黒子として支えられたら」
