「予算カット」発言などで進退が注目されていた簗農林水産大臣が辞表を提出しました。
高市政権発足後に不祥事で辞任した閣僚は初めてです。
簗農水大臣:
今、総理に辞表を提出したところです。国会審議にご迷惑をこれ以上おかけするわけにもいかず、また農林水産行政にも集中できない状況がこれ以上続くことは避けなければいけないと。そのように考えて自ら決断した。
14日午後6時半過ぎ、憔悴(しょうすい)しきった表情で記者団の取材に応じた簗大臣。
簗農水大臣:
(Q.総理から何か言葉は)総理とのお話については控えさせていただきたい。辞意をお伝えさせていただいた。(Q.地元への説明の予定は)今後、関係者の皆さまに大変なご迷惑をかけたのでおわび申し上げる。
高市総理は…。
高市総理:
私としても内閣総理大臣として、国会審議、もとより農林水産行政に集中できない状況が続くということは看過できず、重要な課題に一つ一つ答えを出していく必要があることから、簗大臣の申し出を受け入れることとした。大臣が辞任する事態に至ったことについて、任命責任を重く受け止めている。
簗大臣をめぐっては、「道路予算カット発言」や「無料シャトルバス送迎」が問題視され、14日の衆議院予算委員会でも野党が追及。
事前に栃木県の選挙管理委員会に問い合わせ、支援者らの無料送迎に違法性がないことを確認したとする簗大臣の13日の答弁について。
公明党・伊佐進一議員:
栃木の選挙管理委員会は、問い合わせがあれば公職選挙法違反にあたる可能性があると答えるはず(と言っている)。
簗農水大臣:
うちの秘書がその辺はしっかり対応していると私は信じているが、(違法性ではなく収支報告書への)計上方法について照会したかもしれないと、(秘書)本人もそのようなことを申しているので。
「秘書が確認した」と繰り返した上で、選管から「問題ないと回答を得ていた」とする答弁を一夜にして修正しました。
さらに追い打ちをかけたのが、新たな公職選挙法違反疑惑の浮上でした。
国民民主党・村岡敏英議員:
残念ながら農水大臣になった簗大臣、いろんな疑惑が出てまいりました。シャトルバス、さらにデジタル(記事)だが、買収の疑惑ということで、電話かけの人に(金銭を)払ったというのも出てきた。大臣の見解は。
簗農水大臣:
ご指摘の様々な件につきまして、真摯に受け止めて説明を尽くしてまいりたい。
内閣改造から1カ月もたたないうちに事実上の更迭となった簗大臣。
野党からは批判が相次いでいます。
立憲民主党・斎藤国対委員長:
辞表提出されたということだが、遅きに失したのではないかというのが率直な感想。総理の任命責任を問う質疑は避けては通れない。
国民民主党・玉木代表:
簗大臣も高市総理も判断が遅すぎるということに尽きる。この間、様々な国会の審議の中でも重要なテーマを議論する時間が割かれたことは、非常に国民生活にとっても良くない結果だった。
高市政権の発足後に不祥事で辞任した閣僚は初めてで、総理の任命責任が問われることとなります。
ここからはフジテレビ・松山俊行解説委員長とお伝えします。
――急転直下での辞任となったが、辞任を決定づけたものは何?
自分を支持しなかった首長のいる自治体の予算をカットしたという発言については、簗大臣に国会で説明をするようにと、続投を示すような発言をしていた。しかし、新たに選挙演説会場まで有権者をシャトルバスで送迎していたという事案が発生した。これについては、公職選挙法に抵触しかねない問題ということで、一段ハードルが上がったと見ていいと思います。
そしてもう一つの要素としては野党の動きです。参議院では野党がまとまって簗大臣の問責決議案を検討するという動きになってきました。参議院はいまだに少数与党で、場合によっては可決される可能性が出てきました。結果的に、野党が辞任を促したという形だけは何とか避けたかったということが言えると思います。
さらに、簗大臣には別の疑惑が近く報道されるという情報が入ってきたことももう一つの要素だと思います。これは、電話かけなどを行う選挙運動要員を買収していたんじゃないかという疑惑です。ここまでくるとさすがにこの国会審議、簗大臣は乗りきれないだろうということで、最終的には政権としては辞任させるという方向にかじを切ったんだと思います。
――かなり長引いた印象も受けたがそのあたりはどうか?
予算カット発言といわれるものについては、実際に働き掛けを行っていたのかどうかという問題もありますが、その働き掛けがなかったとしても、有権者に対してそういう発言をすること自体がどう喝的だということで、自民党の中からもかなり批判が多くなっていたんです。実際に田村憲久元厚労大臣などが国会質疑で追及していましたから、身内の自民党からも厳しい質問が出ていることを考慮したんだと思います。
その中で、なかなか続投という流れから変えるきっかけがなかったと思いますが、新しく出てきたシャトルバスの送迎問題。これは違法性に絡む問題なので、この問題を理由にだったら辞任に持っていけるということで、一つのポイントになった可能性があります。
ただ、高市内閣の支持率は一貫してそれほど下がっていないと。2ポイント減とか、それぐらいの程度しか下がっていないという判断がありましたので、それが結果的に判断を遅らせたもう一つの理由と言えるかもしれません。
――今後の高市政権においてこの問題は今後も尾を引きそうか?
この疑惑の中で浮上した、実際に予算カットの働き掛けがあったのかどうかという国交省などの調査はまだうやむやになった状態で、メモの存在についてもまだはっきりしていません。
また、シャトルバスの送迎も違法性があるのかどうかも調査がまだ途中段階ということで、野党はこの点も含めて、実は簗大臣だけではなく他にもこういうケースがあるんじゃないかと追及する構えを見せているので、まだ長引くと思います。
