9月、青森県で行われた国スポ・セーリング。これまで表彰台には立てたもののいちばん高い所に上れなかった競技歴20年以上の選手がいます。かつてペアを組み、道半ばで旅立った先輩への思いを胸にきょうも大海原へと帆を張ります。
帆に風の力を受けて速さや技術を競う「セーリング」。
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「一番の魅力は大きな海で楽しめるというところですけれども、やっぱり自然相手なので、レースになったらラッキーな人もいればラッキーじゃない人もいる。いかにそれを、その優勝をたぐり寄せるかっていうところがまあ結構面白いところだと思う」
宮ざき歩美選手34歳。
唐津市出身で高校1年生のころ先輩の誘いでセーリングを始めました。
これまで国体・国スポに13回出場し、そのうち10回は表彰台に上がるなど経験豊富な実力者です。
9月青森県で行われた国スポではセーリングスピリッツ級で悲願の初優勝を果たしました。
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「やっと1位という表彰台に上れたことがほっとした。やっぱり、いちばんてっぺんに、上れて嬉しいなと」
宮ざき選手は普段、電力会社の関連企業で鉄塔が立っている敷地の保有管理などに携わっています。
【同僚】
「第一に「うおっ」って感じですよね。すげえ、1位なんだっていうのが。その人が、横で仕事してるんだって思って、なんかちょっと態度改めようかなって思ったところはありましたね」
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「大会に行く前に、お客様にお会いして次なんか大会とかあるの?とか、私を知ってくれている人が応援してくれてるって思うと、やっぱり頑張れる力に変わる」
セーリングスピリッツ級は国スポのみの種目で、一人が舵をとりもう一人が船のバランスを取ります。
宮ざき選手がペアを組んだのは中山由菜選手25歳。
宮ざき選手はバランスをとり、中山選手は舵を握って船を操作します。
【中山由菜選手】
「3年間あゆみ先輩と乗って、ずっと佐賀国体から2位が続いていて、次こそはって今回優勝できてとても嬉しかった」
刻一刻と変化する天候や水面の状況。
セ―リングでは状況判断力や豊富な経験が求められます。
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「風があるところが1番トップスピードになりやすいので、それをいかに2人で探して、そこまで操作できるかっていうところが大きなポイント」
艇は風が吹いてくる方向に直進できません。
風上に進みたいときにはジグザクに進む「タッキング」と呼ばれる動作を繰り返しながら二人三脚で最速のルートを見極めます。
【中山由菜選手】
「何歳年を取っても本当に動きが変わらなくて、急にこうしたいって言っても、それに何でも対応できる。ストイックに自分をちゃんと攻めてる姿勢とかすごいなって思っています」
2人の息はぴったりですが、宮ざき選手がもともとペアを組んでいたのはアトランタオリンピック銀メダリストの重由美子さんでした。
2人は長年頂点を目指しましたが叶えることはできず、重さんは病気のため8年前に亡くなりました。
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「また回復して乗りたいから、その時はまたぜひ乗ってね、ってお声かけはいただいてました」
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「長らくお待たせしましたと。もともと1位で一緒に大会取りたいねっていうのは組んでいたときからの目標だったんですけど、重さんとは取れずじまいだったのでお待たせしましたという気持ちがいっぱいです」
【重さんの兄】
「喜んでいると思いますよ。もうずっと遠征も何年と付き合って、やっていた仲ですから喜んでいますよ」
ようやく報告できた1位の喜び。
重さんとの経験は今につながっています。
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「重さんと乗っていなかったら重さんの後に組んだ子たちとも、たぶん表彰台上れなかったですし、今年の1位も多分なかったんじゃないかなって思います」
平日は仕事をしながらセーリングとの両立を図る宮ざき選手。
今後の目標について尋ねると。
【宮ざき歩美選手】※たつさき
「ヨットの魅力をいろんな人に知ってもらうためっていうところの、普及だったりとか、後輩育成だったりとかっていうところを頑張っていきたいなとは思います。重さんが私に教えたように、私も違う方にその知識を分け与えられるようになりたいなとは思っています」
