日本料理の全国大会で、長野県山ノ内町の旅館に勤める25歳の女性が、2年連続で最高賞を受賞しました。調理部門の経験はまだ1年半ですが、たゆまぬ努力が結果に結びつきました。
■経験はまだ1年半の若手料理人
繊細な包丁さばきでショウガを木の葉の形に―。
料理人の東方瑠奈さん25歳。
山ノ内町渋温泉の老舗旅館「春蘭の宿 さかえや」で働いています。
春蘭の宿 さかえや・東方瑠奈さん:
「お客さんの料理を作っているというのは、忘れないようにしたいなと思っています。自分目線じゃなくて、お客さま目線」
調理部門の担当になったのは2025年3月で、まだ1年半の若手料理人です。
東方瑠奈さん:
「今年の新卒で1人入ってきたんですけど、それを除くと私が一番下っ端です」
■料理長も認める努力家の快挙
ただ料理への気持ちは人一倍強く、料理長も認める努力家です。
春蘭の宿 さかえや・山西雅人 料理長:
「ガッツある子で、やっていることに対して何事もめげずに、一つ一つ丁寧にやっていくような仕事ぶりで」
料理人になってわずか半年後、若手の登竜門とされる「日本料理全国大会」の「技能コンクール部門」で最高賞・厚生労働大臣賞を獲得。
さらに、2026年8月に挑戦した「自由出品部門」で、再び最高賞・厚生労働大臣賞を獲得する快挙を成し遂げました。
東方瑠奈さん:
「すごくみんな喜んでくれて、助けがあって取れた大臣賞だったので、その人たちのためにも、取れてよかったなっていう感覚でした」
■入社後は接客部門で4年働く
小さい頃、祖母と一緒に料理をしていたという東方さんは、料理人を目指し、調理専門学校に進学。
卒業後の2021年に「さかえや」に入社しましたが、配属されたのは接客部門。フロントや仲居として働きました。
東方瑠奈さん:
「最初は料理人って1年、2年の(経験の)差がすごく大きいのかなと思っていて、不安というか葛藤があった」
調理部門に異動したのは入社から4年後の2025年3月。念願の料理人としての道を歩み始めました。
東方瑠奈さん:
「やっぱり楽しいなって思ったのはありました。ずっと(料理人を)やっていたら今より技術もあっただろうし、学べることは多かっただろうと思うけど、その半面で、サービスやっていたから視野が広がったというか、その経験は大きかった」
調理部門では、経験や実力によって担当する仕事が変わります。
現在、東方さんが担当しているのは、最も重要な料理全般の味を決めるポジションです。
■ベテランに交じり大会へ挑戦
大会への挑戦を勧めたのは山西雅人料理長でした。料理人歴約40年のベテランで、同じ大会で最高賞を獲得した経験があります。
春蘭の宿 さかえや・山西雅人 料理長:
「自分の持っているものが強くて、意思が強くてやることをしっかりやっているので、職人向き。コンクールみたいなのやればついてこられるんじゃないかという気持ちで誘った」
今回出場した「自由出品部門」は、旅館の料理長など、ベテラン料理人が多く出場する部門です。
東方さんはほかの料理人やスタッフたちからもアドバイスをもらいながら、大会用の料理を構想。日々の業務に加え、寝る間も惜しんで準備をしたといいます。
東方瑠奈さん:
「与えてもらった機会は、1個も無駄にしたくないというか、できることはなんでもやろうと思って」
出品したのは「7品」の懐石料理で、信州の四季の移ろいを表現。
信州サーモンなど県内産の食材を使い、調理の仕方、盛り付け、器選びまで、自分で考えました。
アユとそうめんを使ったお椀は、特にこだわった一品です。
東方瑠奈さん:
「(そうめんを)アーチみたいに空洞にして固めたくて、何回やってもできなくて。シンプルに見えて、時間をかけたのはこのお椀。きれいに仕上げたかった一品」
■最高賞よりうれしかったこと
繊細な技術や美しい盛り付け、メニューの創造性などが高く評価され、出場した約40人の中から、見事、最高賞を獲得しました。
東方瑠奈さん:
「賞を取った瞬間のうれしさよりも、(挑戦することで)できるようになったこととか、努力したことの方が印象に残っているというか、うれしかった」
■「おごらず精進を」今後の目標
春蘭の宿 さかえや・山西雅人 料理長:
「正直、本当にもうびっくりで。やっぱり努力した人には、そういう結果がついてくるというのを、まじまじと感じさせてもらった。自分としてはこの賞におごることなく、料理の道を精進してもらいたい」
努力の積み重ねが結果に。この経験を糧に、料理人としての道はまだこの先も続きます。
春蘭の宿 さかえや・東方瑠奈さん:
「新しく学んだ技術とかも今回あるし、新しく知ったことも多くて、それを普段の料理とか仕事に生かさないと、今回やった意味はなくなっちゃうなと思って。目標でいうと、料理長の味とか技術を全部学んで、やる、やらないは別として、自分で料理を組んで、自分でお店を開けるレベルまで、技術を学んでいきたいなと思っています」
