日本企業の中国ビジネスが転換点を迎えている。
帝国データバンクが9月下旬に公表した日本企業の「中国進出」動向調査によると、2026年6月時点で中国に進出している日本企業は1万118社となった。2012年のピーク時の1万4394社と比べて約3割減少し、2024年の1万3034社からも2916社、22.4%減少した。
統計データのある2010年以降で最少となっている。
ただし、これを日本企業が中国市場を見限った結果と捉えるのは適切ではない。
中国には依然として巨大な市場と高度な製造業の集積があり、現地で事業を継続する経済合理性も存在する。重要なのは、中国経済の構造変化、現地企業との競争激化、地政学リスクの高まりなどを背景に、日本企業の進出・投資戦略が変化している点である。
中国進出の従来のメリットが変化
当然ながら、日本企業が中国進出を拡大してきた背景には、豊富な労働力、比較的低い生産コスト、巨大な国内市場、充実した物流網、部品メーカーを含む産業集積があった。
中国に生産拠点を設けることで、部品を効率的に調達し、現地市場への販売や第三国への輸出にも対応できた。
しかし、中国では賃金水準が上昇し、国内企業の技術力や生産能力も向上した。その結果、日本企業が従来享受してきたコスト面での優位性は相対的に低下している。
労働コストに加え、物流費や現地法人の維持費などを総合的に評価すれば、中国以外に生産拠点を設ける方が合理的な場合もある。
もっとも、中国の産業集積や供給網は依然として強みであり、他国に移転すれば同じ生産効率を実現できるわけではない。中国進出企業の減少は、政治的要因だけでなく、従来の経済的メリットが変化したことからも理解する必要がある。

