北海道で暮らす働くママの1日を追いかける観察ドキュメント「ママドキュ」。
子育ても仕事も頑張りながら働くママさんたちのリアルな1日をのぞくと、限られた時間で家事・育児をこなす究極の時短ワザの連続でした。
今回の主役ママ。札幌市に住む みささん(38)。
6歳のこはるちゃん、4歳のかいとくん、2人の子どもを育てるシングルマザーです。
みささんは、親子の外出などに同行する付き添い専門のシッター会社を経営しています。2年半前に始めたサービスですが、今、経営危機に直面していました。
子育てと夢の実現に奮闘するママの1日を追いました。
朝7時30分、朝食作りから密着開始。
「パンは何塗るの?」と子どもたちに聞く みささん。「子どもたちに何種類かから選ばせて、言われた通りに用意する。私が決めて文句を言われるのが嫌で」と話しますが、やはり自分で選んだものだと進んで食べてくれるといいます。
2年前、今の事業を立ち上げた直後に離婚し、シングルマザーになった みささん。幼い子どもたちを育てながら会社を経営しています。でも、できるだけ苦労を表には出さないようにしてきたそうです。
「私はないですけど、SNSをみると『シングルで頑張っています、苦労しています』系って、アンチも結構いる。今どき多いし、シングルじゃなくても、ワンオペで頑張っているお母さんもいるんだから、苦労自慢しないの、みたいな」とみささん。
ママたちが困った時に頼れるサービスを提供している みささん自身は、実は誰かに頼ることが苦手なタイプです。
そんな みささんが最近、心が救われたというサービスがありました。それが、家事代行「オーバー」。代表のくらさきさんが個人で依頼を受けていて、1時間2500円と利用しやすい料金設定です。特に掃除を得意としているそうです。
「細かいところまで手が回らないけど、一方で不快になっていく。見て見ぬふり。その部分をものの1時間で、まるっと細かいところまでやってくれるのは、めちゃくちゃありがたい」と、みささんは話します。
普段、子どもたちは保育園に通っていますが、この日は子連れで仕事ができそうということで、一緒に出勤です。
「いつもタクシーなんですけど、めっちゃ恥ずかしい話、創業資金がほぼショートしててヤバい」と、みささん。
実は今、経営危機に直面していました。
「知らない人に大事な子どもを預けて、その場を離れることに抵抗があるのであれば、その真逆のサービスはどうか」と、みささんが付き添いシッターのサービスを始めたのは2年半前。
カフェでゆっくりしたい、美容室や病院に行きたい。そんな時に親子に寄り添う、もう1人の大人の手。元夫の転勤で札幌に移住してきた みささん自身が、孤独に子育てをする中で必要だと感じたサービスです。
でも、現実は―。
「親子向けのサービスを経営している人は、皆さん直面しているはずなんですけど、お金はかかる、経費はかかるけれど、お母さんからはさほどお金を頂戴できない。単価があまりにも低い。単価を上げることもなかなか考えられない領域なので、どうやって会社を、ビジネスを成り立たせていくのかは難しい。このサービスを、自分の貯金を削りながらやっていくのか」と思い悩む日々でした。
付き添いシッターを続けていくために、みささんは新しいサービスを始めました。それが、“ごっこ遊び”の提供です。
暮らしに身近な企業とコラボし、その企業の“ごっこ遊び”の空間を、みささんがプロデュース。地元企業の協力を得て、親子の居場所を作りたいのだそう。
コラボした企業からは開催場所や費用面のサポートを受け、みささんたちがその企業の良さを子育て世代にアピールすることで、企業側にもメリットを感じてもらう狙いがあります。
この日は、その第1弾。予行練習も兼ねて、自身の会社、付き添いシッター「Sotto(ソット)」とコラボしたシッターさんごっこです。
保育士資格を持つスタッフらが子どもたちと遊んでいる間に、お母さんたちには少し息抜きをする時間を提供したいと考えています。
参加した母親は、「助かりますね。ありがたいです。3月に北海道に戻ってきたばかり。子ども同士(仲良くなる)きっかけになれば」と話していました。
9月5日に行われた第2弾は、人気のパン屋さん「どんぐり」とコラボしたパン屋さんごっこ。事前予約で枠が埋まってしまうほど大好評でした。
みささんは「お母さんたちからは、さほどお金を頂戴しないでも、お母さんたちの居場所や子どもの遊び場、社会問題に近いようなところを、企業の理解を得ながら解決していくハブになれたら」と話します。
午後4時30分、夕食の買い物へ。
「こういう1日頑張った日は、手抜き。ミートソーススパゲッティに入れます」と手に取ったのはミックスベジタブル。冷凍食品も活用しながら、夕飯を作ります。
ママのお仕事に1日付き合ってくれたかいとくんは、もう限界。
一刻も早く夕食を作らないといけません。
急いでいるのに「ママ、一緒に作ろう」と、こはるちゃん。「やっぱりちょっと火とかは怖いから、目を離せないかな」とじっと見守る みささん。
早く作りたいけれど、我慢の時間です。
ミートソースのお肉は食べ応えのある粗挽き。冷凍のミックスベジタブルを活用して、包丁いらずです。
そこに缶のミートソースを加えれば、味付けも不要です。1品で満足感のあるミートソースパスタが、あっという間に完成しました。
晩ごはんの準備ができた頃には、かいとくんは夢の中。「パスタ、パスタ、パスタ」と、みささんが声をかけても起きる気配はありません。
午後5時30分、仕方なく、こはるちゃんと2人で晩ごはんです。
崖っぷちで踏ん張って続けてきた付き添いシッター。
「お母さんに届けたいものは“付き添いのマッチング”。一番は、私のように、夢を追いかけるお父さん、お母さんの力になりたい」と、みささん。
必要とされていると感じるからこそ、ここで諦めるわけにはいきません。
