日本企業が開発したAIを搭載したメガネは、検索から翻訳までできる注目の技術ですが、今、こうした技術を悪用する動きがあります。
中国・広東省にある大学では、AIメガネを悪用した学生によるカンニングが発覚し、大きな問題になっています。
中国で浮き彫りとなった問題は、日本のAIメガネ開発にも影響を与えているといいます。
私たちの暮らしを便利にする最先端の技術はどこに向かうのか、取材しました。
中国で行われた展示会で参加者らが身に付けているのは、人工知能が搭載されたAIメガネです。
市場が拡大する一方、最新技術を使ったカンニングが問題となっています。
AIメガネによるカンニングが発覚した場所は、広東省にある華南農業大学です。
中国メディアによりますと、2026年7月、男子大学生が期末試験に臨む際、日本円で約7万円のAIメガネを装着。
このメガネは、縁の部分を指でタップすると試験問題の写真を撮ることができ、AIの検索機能を使うと緑色の文字で解答がレンズに表示される仕組みだといいます。
試験開始から約10分後、メガネを怪しんだ試験監督が「あなたのメガネには問題がある、帰りなさい!」と指摘したことで男子大学生のカンニングが発覚しました。
この大学では他の期末試験の会場でも、AIメガネなどを使ったカンニング行為が複数確認され、大学側がAIメガネやBluetoothイヤホンなど、通信や撮影機能のある電子機器の持ち込みを禁止するなど対応に迫られました。
中国では、3日間5000円でAIメガネをレンタルできるサービスもあり、中には「試験問題を調べて答えを出せます」といったうたい文句でアピールするメーカーも。
また、レンタルサイト上には「試験で使うと見つかりやすい?」「おすすめしない。ランプが光るよ」などのコメントがありました。
あるレンタル業者によりますと、注文のピークは大学の期末試験期間中だといいます。
AIメガネなどによるカンニングは、中国国内の様々な大学の試験会場で相次いでいて、2026年6月に行われた大学統一入試「高考」の前には、当局がAIメガネや携帯電話などを会場に持ち込んだ場合、たとえ使用しなくても不正行為とみなすと通知しました。
こうしたAIメガネの悪用は、日本でも起き得るのでしょうか。
国内市場の最前線を取材しました。
“メガネの町”福井・鯖江市の企業などが開発したというAIメガネ「SABERA」。
jig.jp・田中雄一郎CFO:
ARグラスというのが一般商用向けですと、我々が日本企業としては初めてのもの。ボタン一つでここに表示させているものを見ることができるというのが特徴。
重さは38グラムと一般的なメガネと変わらない軽さで、スマホにつなぐことでレンズにデジタル情報が表示されます。
このメガネでどんなことができるのでしょうか。
内蔵されたマイクで音声を拾い、AIが翻訳や文字起こしをしたものをレンズ上で見ることもできます。
様々な機能がありますが、開発した企業によりますと、あえてカメラは搭載しなかったといいます。
その理由が、悪用の危険性です。
jig.jp・田中雄一郎CFO:
カメラがあるとカンニングということもできるし、そういうことも我々も意識して、プライバシー(の問題)だけじゃなく、悪用される使い方もあるなと。その中で我々としては一番シンプルな形、誰でも使えるような形を目指してカメラなしに選択しました。
日本でも過去、最新技術を悪用したケースがありました。
2024年2月、早稲田大学の入学試験中に当時高校3年生の男子受験生が、スマートグラスで撮影した問題をスマホに送信し、SNSに流出させ、大学の業務を妨害した疑いで書類送検されました。
世界的にも急速に市場が広がる中、開発者からは「日本において、スマートグラス全般を対象にした包括的な規制法とかはないというのが現状です。ただみんなが安心して使えるような法律・ルールができてくるといいんじゃないか。それによってスマートグラスが普及するのではないか」との声が聞かれました。
中国では、学生によるカンニングが相次いで発覚したことでメガネ規制が進んでいます。
中国メディアによりますと広東省では、試験会場に入る際に、監視カメラの前で自らメガネを外して監視員が検査を行うそうです。
そして上海市は、フレーム付きのメガネを着用している受験生に対して検査に協力するよう求めています。
さらに河北省は、普段からAIメガネを使っている受験生に対し、通常のメガネの準備を呼び掛けています。
日本国内では、2026年度の大学入学共通テストから、通信機能のある電子機器類は電源を切っていても、かばんの中に入れておかないと不正行為とみなされるということで、より厳格化というのが進んでいるようです。
