大阪・関西万博の「大屋根リング」の関連工事を巡り、竹中工務店の元所長の男が背任の罪に問われた事件。
7日、別の工事でも水増しし、会社に損害を与えた疑いで、男が再逮捕されました。
関西テレビは、建築業界の内情を知る人物に接触。
下請け業者から現場責任者への「見返り」は、決して珍しい話ではないといいます。
取材を進めると見えてきたのは、不正が横行する“業界の闇”でした。
■竹中工務店で万博関連工事の総括作業所長だった男を背任容疑で再逮捕
来週で閉幕から1年となる大阪・関西万博。
世界最大の木造建築物、「大屋根リング」、その工事費用が個人のリフォーム代に使われたとみられます。
7日、背任の疑いで再逮捕されたのは、竹中工務店の元社員で万博関連工事の総括作業所長を務めた河井辰巳容疑者(61)。
メディア対応を行うなど、万博関連工事の中心的人物でした。
河井容疑者は、奈良県の下請け業者に「大屋根リング」上の転落防止ネットの工事費などを水増し請求させ、会社に1000万円あまりの損害を与えた疑いが持たれています。
■内装工事費などを水増し請求させ、約1300万円の損害を与えた罪ですでに起訴
ほかにも、会場内の仮設事務所の内装工事費などを水増し請求させ、およそ1300万円の損害を与えた罪ですでに起訴されています。
河井容疑者は、水増し請求をさせた下請け業者に、自宅や親族が経営するカフェのリフォーム工事を発注。
その代金は水増し請求した金からまかない、総額は6000万円を超えるとみられます。
■「現場責任者」という立場が、“不正”の一因に 専門家
6年前の河井容疑者の自宅と現在の様子を見比べると…壁に木材を使ったリフォームが施され、大きく様変わりしています。
関係者などによると、自ら水増し請求を持ち掛けたとみられる河井容疑者。
下請け業者の代理人弁護士は…
【下請け業者の代理人弁護士】「発注側の所長から下請けに水増し請求の要望があったので、従わざるを得なかった」
建設工事の契約に詳しい専門家は、万博工事における「現場責任者」という立場が、“不正”の一因になったと指摘します。
【筑波大学・楠茂樹教授】「建設工事もたくさん同時期に進んでいた。どうしても現場の監督者や責任者に権限とか裁量が集中しやすい。非常に窮屈な状況の中で見逃されてしまった」
■建築業界の内情を知る人物は「大なり小なり常時あること」
さらにランナーは、建築業界の内情を知る人物に接触。すると、業界に根付く悪しき「慣習」が見えてきました。
(Q.事件を聞いての印象は?)
【業界関係者】「今までそんなんはしょっちゅうあったことやから。お互い渡す方ももらう方も『暗黙の了解』、『紳士協定』やと。やっぱり安定した仕事欲しいがためにそういうことするのは、大なり小なり常時あることやから」
下請け業者から現場責任者への「見返り」は、決して珍しい話ではないといいます。
【業界関係者】「(現場責任者には)発注権があるからね。(例えば)10億で発注しますやんか。儲かるやろ?(その分)なんぼか持ってきてなと。
そうやないと次、仕事もらわれへんやん。キックバックというか「お礼」っていう意味合いやな。現場は損してへんやんか」
(Q.元請けは容認している?)
【業界関係者】「容認といっても幅があるやんか。利益の幅があんまり減ってきたら怒られるけど。ある程度確保してたら後はどないでもええわけやんか」
■工事の発注元だった万博協会は
工事の発注元だった万博協会は、一連の事態をどう受け止めているのでしょうか。
6日、協会の担当者が事件後、初めてカメラの前で取材に応じました。
【日本国際博覧会協会工務局 洞正寛担当部長】「やっぱり万博っていうのは、国民に支えられてやってきた事業ですし、これで万博に対するイメージが下がってしまうんじゃないかということについては我々としても危惧をしている」
事件による「イメージの低下」を懸念する一方、工事の発注額自体は適切だったといいます。
(Q.そもそもの発注額は高すぎるものではない認識?)
【洞正寛担当部長】「そうですね。(万博工事は)非常に限られた期間の中で大規模な工事をしていただくという、かなり厳しい条件の中で施工していただいているので、今回の発注額としては適正だったと考えております」
■今後、建築業界のあり方は変わるのか
大手ゼネコンの元現場責任者が逮捕され、大きな衝撃を与えた今回の事件。建築業界のあり方は変わっていくのでしょうか。
(Q.事件を受けて下請け業界への影響は?)
【業界関係者】「全然出ることあらへん。関係ない」
警察は河井容疑者の認否を明らかにしていませんが、不正な請求を繰り返していたとみて実態解明を進めています。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年10月7日放送)
