妻の遺体を損壊して遺棄した疑いで46歳の医師が9月30日、逮捕されました。
【患者】「親身になってよく聞いてくれる先生で優しい先生でした。他の患者さんにも人気だった」
周囲から信頼される医師でしたが、川に妻の遺体を切断し遺棄した疑いが持たれています。
患者から慕われていたその医師は、なぜ凄惨な事件の容疑で逮捕されたのか。
「newsランナー」は遺棄現場などを犯罪心理の専門家とともに緊急取材し、心理を探りました。
■ 逮捕されたのは患者からも人気の精神科医
死体損壊と死体遺棄の疑いで9月30日に逮捕されたのは、精神科クリニックを営む医師・下村憲司容疑者(46)です。
警察によると、下村容疑者は去年8月、兵庫県尼崎市の当時の自宅で、妻の遺体の頭部や手足を切断し、複数の骨を川に捨てた疑いが持たれています。
去年9月には「妻と口論になり出て行った」として警察に行方不明届を提出していましたが、その後になって「骨を川に捨てた」と話したといいます。調べに対し、下村容疑者は容疑を認めているということです。
遺体損壊の現場とされる自宅では1日午前に捜査員が敷地内に入っていく様子が確認されました。
静かな住宅街の一角にあるその家には、小さな子どもがいて、家族で出かける姿を近所の住民が目にすることもあったといいます。妻とのトラブルについては「耳にしたことがない」と話す近隣住民もいました。
■ 患者からの信頼集めるも去年から“変化”も
およそ2カ月前まで下村容疑者のクリニックで診察を受けていたという患者は、その人柄をこう振り返ります。
【下村容疑者の患者】「去年ぐらいから、家に帰ってないという話はよく聞いていた。髪の毛も切りに行ってなくて、スウェットに白衣を着ている先生で、めちゃめちゃラフ」
「穏やかで本当にいい先生」として患者から慕われていた下村容疑者ですが、去年ごろから生活に変化が見られるようになっていたといいます。
下村容疑者が運営するクリニックのホームページには、9月中旬に「長期休診」を知らせる案内が掲載されていました。
■ 犯罪心理の専門家と現場へ 容疑者は「できるだけ早く処分したい」気持ち
「newsランナー」は、静岡県警の科捜研出身で犯罪心理学が専門の関西国際大学・中山誠教授とともに、現場を緊急取材しました。
下村容疑者と妻の当時の自宅は、静かな住宅街の一角にあります。中山教授は「大きな声を出せば聞こえるでしょうね」と周囲の環境を確認しました。
警察の調べに対し、下村容疑者は「浴室でブルーシートを敷いて損壊した」と供述しています。その意図について、中山教授は次のように分析します。
【中山教授】「『できるだけ早く処分したい』気持ちはあると思う。とにかく運びやすくする。死体遺棄を考えて、運びやすくするために損壊するのは非常に多いです。猟奇的な動機ですることはむしろ少ない。特に夏場であれば、放置してすぐに異臭がする。2〜3日ですごくにおってくる」
■容疑者は精神科医 解剖の知識「基礎的な事は学んでいる」
下村容疑者が精神科医であることから、中山教授は「基礎的なことは学んでいるはずで、大学・大学院の過程でやっていると思います。専門が法医学でなくても知識はあると思います」と述べました。
また、中山教授は元科捜研の立場から、時間が経過した後でも損壊の痕跡が残る可能性があると指摘しました。
【中山教授】「自供に基づいて現場の鑑識活動をして、血痕・体液に由来する成分を探すんですけど、場合によっては排水管の中まで解体する。排水管に流れ込んだだけじゃなく、どこかに壁の一部に飛び散った血とか、損壊したときに飛び散ったものとか、非常に鑑識は細かくやります」
■ 遺体遺棄現場での“違和感”
遺体損壊が行われたとみられる自宅から直線距離でおよそ3キロ、車で約10分の場所に神崎川が遺棄現場とされています。
この場所が遺棄現場となった理由について、中山教授はこう推察します。
【中山教授】「一番手近くのある程度大きな川。ここが一番近かったのではないか。比較的川幅もあって、流れもある。ここから遺体を捨てれば、『証拠隠滅できる』と考えたのかもしれない」
しかし、同時に“ある違和感も指摘します。
【中山教授】「やり方として中途半端。海に捨てるか、山の中に埋める方が見つからない可能性が高いと考えると思う。(神崎川の遺棄現場は)見えるところですから、周りから。
おそらく(遺棄したのは)夜でしょうけど、車とか通るところでもありますから、不審な行動してると後で目撃されるという可能性もある。
犯罪性の進んだ人間なら、あまりやらない場所だと思います。とにかく遺体を遠ざけたい、その一心だと思いますね」
中山教授は、今回の行動は「計画的というよりは、衝動的なものではないか」とみています。
■ 今後の捜査のポイントは「殺人の立証」
弁護士で元大阪府知事の橋下徹氏と、同じく弁護士の菊地幸夫氏がそれぞれの見解を示しました。
橋下氏は「捜査機関がしっかりと捜査をした結果だと思う。よくこういう形で立件されたと思うが、やはり次は殺人の立証ですよね」と述べ、今後の捜査で考えられる立証の難しさに言及しました。
【橋下氏】「亡くなったということしか今は分かっていないわけですから、それを殺害したということになれば、容疑者の供述だけじゃなく、その殺害方法を裏付ける物的な証拠の一部が出てくるかどうか。状況証拠だけでは立証はなかなか難しいと思います」
菊地氏も同様の見方を示し、捜査の積み上げが重要になると指摘しました。
【菊地氏】「どういうふうに損壊したのか、どの骨をいくつに分けたのかを記憶の限り供述で得て、川から実際に上がってきた遺体の一部がそれと合致するのか。そういうような積み上げで状況証拠から立証するという作業が要求される」
警察は引き続き、見つかっていない遺体の一部の捜索などを続けています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月1日放送)
