パソコンやスマートフォンのカメラで撮影した顔の表情から血圧を測定する新しい技術を島根・松江市出身の研究者が開発しました。
将来は、遠隔での高齢者の見守りにも活用できる画期的な技術だということです。
血圧計と言えば腕にベルトをまきつけて計測するスタイルがお馴染みですが、全く異なる方法で測定する新しい技術が誕生しました。
「非接触型バイタルセンシングシステム」。
使うのはパソコンやスマートフォン。
カメラで顔を撮影すると…。
安部大地記者:
心拍が52になってますね。血圧は97と62です。
スマートフォンの画面に表示されたのは血圧と心拍数。
リアルタイムの測定結果です。
パソコンやスマホのカメラで撮影された映像から顔の血管や目の表面の毛細血管の状態を分析し、血圧と心拍数を算出します。
厚生労働省が定める医療機器の水準に匹敵する精度があり、国際的な科学雑誌「nature(ネイチャー)」にも掲載されました。
慶応義塾大学理工学部・満倉靖恵教授:
どれだけ顔が動いても黄色(マーク)が追ってくる、どんな状況であっても、それを着実に認識精度よくとることができる。
この「非接触型」の血圧測定技術を開発したのは、慶応義塾大学理工学部の満倉靖恵教授。
脳波の微弱な電気信号から人の感情や病気の兆しを推定する信号処理技術研究の第一人者です。
満倉教授は松江市の出身、高校卒業後、岡山県の大学に進学、徳島大学や東京大学などで脳波の研究に取り組んできました。
2015年には感情を可視化するユニークな計測器も開発しました。
原点にあるのは、誰もが抱いたことのある「他人の気持ちを知りたい」という思いです。
慶応義塾大学理工学部・満倉靖恵教授:
人の気持ちを知りたい。日本人は特に言ってることと考えていることが違って、ギャップが大きいことを改めて知る機会もあって、海外に行った時『なんで思っていることを言わないんだ』というのを結構言われて大きな転機になった。
忙しい研究の合間を縫って松江市に「里帰り」した満倉さん。
訪れたのは、国宝にも指定されている神魂神社(かもすじんじゃ)です。
Q.どのような場所?
慶応義塾大学理工学部・満倉靖恵教授:
本当に心が落ち着いて、悩んだ時や研究に行き詰まった時はここに来るとスーッと『解』が見つかるような、そんな気分になる場所。
ふるさとの古社は今も精神的な支え。
研究で行き詰った時には度々訪れ、頭の中を一度整理するそうです。
慶応義塾大学理工学部・満倉靖恵教授:
松江はホーム。何かあってもここに戻ってくれば、そこが安らぎの場になる。今は東京に住んでいて、戦う場だと思っていて、世界は出ても戦う場だけど、落ち着ける場所だなと思っています。
カメラで撮影できれば血圧が分かるこの技術は今後、リアルタイムで高齢者を見守り、遠隔での健康管理にも活用できるといいます。
慶応義塾大学理工学部・満倉靖恵教授:
やっぱり心配で、いつも両親のことを考えているような人もいると思う。テレビを見ているだけで健康状態が分かるようなシステムにして、そういう形で心配を取り除くことはクオリティ・オブ・ライフを上げることに重要なのかと思う。
先端技術をどのように暮らしの中に生かすか。
最先端の科学者は時にふるさとの杜に包まれ、前に進んでいます。
