この秋、インフルエンザが例年より早く猛威を振るっています。
関東を中心に感染者数が急増し、学校では学級閉鎖が相次ぐ事態となっていると言います。
なぜこの時期にここまで広がったのか、そしてワクチンはいつ打つべきなのか。
感染症を専門とする関西医科大学附属病院の宮下修行医師がインフルエンザの疑問に答えました。
■ 観測史上最長「東京・36日連続の雨」が“温床”に?
東京都では、8月27日から10月1日まで、実に36日連続で雨が降り続いています。
これは観測史上最長の記録を更新する異常な“長雨”だということです。
この気象条件が、インフルエンザ感染拡大に直接影響したと、関西医科大学附属病院の宮下修行医師は指摘しました。
【宮下修行医師】「新型コロナのときもそうですし、インフルエンザもそうですけれども、やはり『三密』、密になるところで感染が広がっていきます。特に換気ができていないところでは感染拡大してしまう」
雨が降り続けば、家の窓を閉め、外出を控える人も増えます。また、屋内に多く人が集まるようになり、換気が滞ります。こうした環境が感染拡大の条件をそろえてしまったと話します。
実際、関東では患者数が多い一方、関西では比較的少ない状況が続いており、宮下医師は「東京の方の長雨が影響しているというのは間違いない」と指摘しました。
■湿度よりも“密閉・密集”が影響
インフルエンザは「乾燥したときに広がる」というイメージについて、宮下医師は、湿度よりも「密閉・密集」の影響が上回るケースがあると指摘します。
【宮下修行医師】「当然ながら乾燥している方が(感染が)広がりますが、密集したところに閉じ込められた時間が長ければ長いほど感染してしまうという考え方です」
さらに、インフルエンザには特有の感染経路があると説明します。
【宮下修行医師】「インフルエンザの場合は新型コロナと違って、子どもから大人に拡散する。だから学校でまん延して、休日に子どもが親と屋内施設へ出かけることで、ウイルスが家庭や地域社会へと広がっていく構図が浮かび上がる」
■ 観光客とともにウイルスが日本へ持ち込まれ…
今回の流行を引き起こしているのは、インフルエンザA型の中でも「H1N1」というタイプです。
このウイルスは、南半球・台湾・香港・東南アジアなどで7月から9月にかけてピークを迎えるというものです。
これらの地域から訪日した観光客とともにウイルスが日本へ持ち込まれたと考えられているということです。
宮下医師は、「インフルエンザは典型的なインバウンドのもので、いわゆる日本の夏に寒いところから運び込まれるというのは、これは毎年のことです」と語ります。
毎年繰り返されるパターンではありますが、ことしは“長雨”という条件が重なり、例年以上の感染拡大につながったとみられます。
■ 第2波のリスクも「A型にかかった人はB型にかかりやすい」
感染が一度落ち着いたとしても、再び流行する恐れがあると宮下医師は指摘します。
インフルエンザには通常、A型が2種類、B型が1種類の計3種類が存在します。
異なる型にはそれぞれ独立した免疫が必要なため、A型にかかったあとでもB型には感染する恐れがあるということです。
【宮下修行医師】「残念ながらインフルエンザにかかりやすい方というのは、免疫の関係がありまして、A型にかかった人はB型にかかりやすいです。Aの『H1N1』が流行っていますけれども、ここでもう1つ『H3N2』というのが流行ると、3回かかってしまうということになります」
去年もA型の流行が11月にピークを超え、その後年をまたいで春にB型が流行した経緯があり、今後も同様の展開となる恐れがある以上油断は禁物です。
■ ワクチンは今すぐ打つべき?
「ワクチンを打っても3カ月で効き目が切れてしまうのではないか」「第2波のときに間に合わないのではないか」という理由から、流行が始まってからワクチンを打つことを迷う人も少なくないかもしれません。
しかし宮下医師は、現時点でのワクチン接種を勧めました。
前提として、インフルエンザワクチンの目的は“感染予防”ではなく“重症化予防”であると宮下医師は強調します。
【宮下修行医師】「インフルエンザのワクチンの最も重要なポイントは、感染予防ではないんですね。『重症化予防』なんです」
インフルエンザのワクチンの有効率は30〜60%で、接種してもかかることはありますが、それでも接種する意義は、“症状を軽く済ませること”にあるということです。
■A型の方が重症化しやすい?
また、重症化した場合、子どもでは心筋炎や脳炎、大人では肺炎が命に関わる合併症となる恐れがあるということです。
【宮下修行医師】「どちらかというとA型のほうが強いタイプのものが多いです。いま(流行しているインフルエンザ)の方が重症化しやすいと思っていただいて結構です」
免疫の持続期間については、「大体3カ月から長い人で半年持ちます」と説明した上で、第2波がいつ来るかは予測できないからこそ、現時点で打っておくことに意義があるそうです。
ことしの混合ワクチンにはA型2種類、B型2種類の計4種類が含まれており、主要な型に対して幅広く対応できる内容となっているということです。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年10月1日放送)
