「避難所ではプライベートスペースのない中でたくさんの人と共同生活をするため、着替えができず、洋服のまま寝起きしていたそうです。当然ブラジャーも付けっぱなしなので、ものすごくかゆくなってしまったそうで、中には膿んでしまったという人もいました」
亡くなる人もいるような状況の中、自分の体の不快はなかなか言い出すことができず、つい我慢してしまったのだという。
さらに、洗濯の問題もあった。
「共同で洗濯をしなければならず、さらに避難所のたくさんの人の目がある中で下着を洗濯して干すことに非常に抵抗を感じたそうです」
下着を干すことで女性がいることが分かってしまうこともプライバシーや防犯の観点からも課題となっていた。
日常の課題解決がフェーズフリーに
防災着としてのポテンシャルを実感した鈴木さんらは、冒頭に紹介したような防災着としての普及にも力を入れるようになった。
ただし、鈴木さんたちはあくまで「普段着」であることにこだわる。
「no-buは機能だけでなく、“着たくなるデザイン”にこだわっていて、ブラをしなくても綺麗なシルエットになるように設計しています。あえて防災着として買うのではなく、普段着として着ていただきながら、非常時にも役立ててほしいですね」
ふだん使っているモノやサービスが、そのまま非常時でも役立つというコンセプトは「フェーズフリー」と言われ、今注目されている。
ユーザーから届いた様々な反響は、これまで見えづらかった「ブラジャーをしなくてはならないことによる行動の制限や身体への負荷」を可視化させた。
家族の前でもノーブラでリラックスして過ごしにくい。
暑い日でもTシャツ一枚で外出しづらい。
かゆみやかぶれを我慢してブラやブラキャミを着けなくてはならない。
旅行や出張で荷物が増える。
実は、避難所で表面化した課題の多くは、災害時に突然生まれるものではない。平時から女性が抱えている小さな不自由や我慢が、非常時に増幅されたものでもある。
no-buのストーリーは、女性の日常の困りごとの解決が、非常時にも役に立つ可能性を示しているといえるだろう。
画像提供=株式会社キャンプ

